対岸の君
君がいない世界なんて、慈しむに値しない。
君がいない人生なんて、生きるに値しない。
君を忘れた僕なんて、幸せなんかになれやしない。
君を絶対に忘れないなんて宣言しても、
視界に君の姿はないし、
だから聞こえているはずはないし、
帰ってくるはずもないんだけれどさ。
僕は君に出逢えて
心の底からよかったということを、
捨て台詞のように零す最期を遂げて、
それを君が向こう岸で
偶然拾ってくれたらいいなと、
いや、
向こう岸まで泳いで渡って、
君をみつけて、
直接告白しようと思う。
対岸の君