七月の憂鬱、空虚。過去編

白紅魔

いじめ

 何げない日々が続いていた。とまあ、普通の日常だ。教室に奏でられる何げない会話。舞浜海憂は平凡な中学2年生。夕凪砂利という友人がいる。その子は大人しいけど、どこか腹黒そうで、スクールカーストでいえば中の上あたりだろう。

理由なんて特に無い。だけど、ギャル風な雰囲気を醸し出し、更には話上手だ。私の話も聞いてくれる。

「みゅー、はよ」

「おはよー、砂利。」

こんなふうに挨拶をして、1日は始まる。

チャイムが鳴って、授業が始まった。

つまらない授業。(早く終わってくれないかなー)と私は思った。

苦手だし、社会人になっても全てが活用されないってテレビで言われてるし、今、やってるところは絶対会社なんかで使わないよ。

溜息を吐く。

「溜息吐いてても、幸せは訪れないよ」と後ろにいる子に言われる。

いや、言われなくても分かってるし。幸せなんてないじゃん。そう私は思っていた。

あの時までは……。

そうして、一日が終わった。

一週間が経過しようとしている。もう木曜日だ。なんか楽しいこと、ないかな~と胸を踊らせていると、1人の女の子が目に入った。

めっちゃ可愛いじゃん。しかも、もてはやされている。ああ、幸せそうなその顔が憎い。地獄にでも堕ちてくれないかな…

そこで、海憂はある思いつきをしたのだった。この子の不幸を味わってる表情を見る為に、どんな手段でも使ってやろうと。

    *************

 放課後、中庭に出た。植物が(つた)のように巻かれている。砂利を呼びだしたのだ。

「ねえ、天光結架って子、いるじゃん?」

「あー喋ったことないけど、知ってる。それがどしたの?」疑問げに聞いてくる。

それは関係無かったら当たり前の反応だ。いきなり、友達でもない人の名前が挙がっても、へ?と返すほかない。

「あの子さぁ、いっつも楽しそうで幸せそうにしててムカつかない?」と投げかけた。

「みゅーの言いたいことも分かるよ。でも、うちはそんなに、てゆうか何とも思わないわ」

「そうなんだ」

「こり、つ、させてみない?」と海憂は提案する。

「でも、どうやって?」と砂利は返した。

砂利の言う通り、孤立はさせようと思ってできるものでもない。少なくとも容易ではないだろう。かなり難易度が高い。

それに、結架はクラス内での人気も高かった。成績優秀で、とってもモテるわけでもないけれど、数人の男子からも好かれている。

その非の打ち所の無さも海憂にとっては目障りだった。

「じゃあさ、麗奈(れな)綾乃(あやの)をまず結架から引き離そうよ」

「そうだね」と砂利が納得する。

「でさ、結架が実はメンヘラで、陰では超性格悪い、このクラスを嫌ってる人に仕立てあげて、結架がどれだけ実は嫌われてるかアンケート用紙作って、全員分の机に入れておこうよ」あははと海憂が笑いながら言った。

その笑顔に砂利は安心した様子を見せた。ここ最近、海憂はずっと憂鬱そうで、楽しそうなそぶりを見せなくて、つまらなそうにしてたから、友人としては少し嬉しいのだ。

人をいたぶることによって、こんなに笑顔になれるのだと砂利は気づいてしまった。

    *************

 次の日、金曜日。海憂は作戦通り、朝休みに麗奈と綾乃に聞こえるくらいの耳元で「消えて」と言った。そして、ロッカーを蹴ったりした。

さすがに、これには周りの生徒達も何があったの?と海憂のほうを向いた。

ただ、海憂は「なんかロッカー閉まらなくなっちゃったみたいで…」とそのまま作り笑顔で嘘を吐いた。

それに麗奈と綾乃は「違うよ」と否定したが、海憂と砂利に「さっき、うちらにロッカー閉まらなくなっちゃったって言ってたじゃん。」「黙ってたほうが身のためだよ。」と制止された。

その時、結架はトイレに行っていていなかった。

なんか悪い予感を感じ取ったようで、昼休み、麗奈と綾乃は俯せになって泣いていた。その様子に挙動不審になりながら、結架は(何があったの?)と二人に寄り添っていた。

そんな三人をクラス内の半数は冷ややかな目で笑っていて、それを見ていた砂利は「ちょっと初めからやりすぎちゃったんじゃない?」と海憂に聞くけれど、海憂は無視して結架の戸惑いぶりを冷酷な顔でニヤリとほくそ笑んでいたのだった。


そうして、休日は海憂は罪悪感を覚えることもなく、これからの結架の反応ぶりを予想しつつも、楽しみにしていたのだった。お風呂では鼻歌を歌っていた。学校に行くのが楽しみになっていた。

「お姉ちゃーん、まだぁ?」妹の明依の声が聞こえる。

「もうすぐだから、あと2分。」

そう言って、風呂場から出る。

    *************

 休日はあっという間に過ぎ、月曜日がやってきた。綾乃の姿はない。

今日はただの風邪かなと海憂は思っていた。

そして、休み時間、麗奈に結架には「ちょっと、ごめんね」と言い、麗奈と話をした。

「あのさ、結架って麗奈の事、陰で罵ってたよ。それにああ見えて裏の顔、酷いよ。このクラスを嫌ってるし、何より男子に対する扱いの酷さ。これ見て?」そう言って見せたのは裸で麗奈の彼氏と写る結架の姿だった。

思わず、麗奈な絶句して身を震わせた。

勿論、合成画像だが、麗奈は信じているようだ。

次に見せたのが、他の男子を蹴る動画で大勢の男子達が蹴られている。結架のことが好きな男子達ばかりだ。それなのに、その男子達は結架のことをなぜ嫌わないのだろうという疑問が生まれたが、それも含めて結架のことが好きなんだという気持ちを海憂と砂利が言ったことで解消はされた。

麗奈の彼氏は他のクラスにいる。でも、他のクラスだからそんなに騒ぎにはならないだろうと踏んだから、彼氏へのとばっちりはあるだろうが、どうでも良かった。

「これは酷いね。それにあたしの(なぎさ)君に手を出すとか最低、許さない」

「あたしでも、裸の付き合いまではしてないのになんでこうなってんの?ほんとお」

麗奈は怒り100%だ。

もう私たちのグループに入ってくれるのかと企んだのか、海憂は「結架には近づかないでね」と言い、それを当然のように「分かってるよ、あんなクソ(あま)」と侮辱した。

麗奈は割と信じやすい性格だった。その為、使えるかなと砂利が計画していたら、案の定まんまと騙されて、仲間になってくれたようだった。

すぐに火の粉は結架に飛んできた。休み時間が終わる直前。

「ちょっと、あんたさぁ、ふざけないでくれない?」怒り口調で物申す。

「何?麗奈ちゃん、目付き怖いよ…」

「あたしの汀と陰でエッチしてるとか意味分かんない」

そんなこと知らないという顔をする。
「私のほうが意味分からないよ。そんなことしてないもん」と結架は言った。

「嘘吐かないでよね、もう友達やめるから。それに陰で男子達をいじめてることも知ってるんだから」と言いきった。

そして怖い休み時間が過ぎた。

授業中、麗奈はずっとモヤモヤしていた。先週からのロッカーが蹴られた不可解なこと、彼氏との画像、結架の暴行動画、全てが結架が関わっていると察した。

全ては結架のせい。こうなったのも結架のせい。そう信じていた。

そして、そのモヤモヤを払拭する為に結架にプリントを千切って、そこに悪口を書いて、結架に届くように送った。

その紙を見た結架は暗く、机に向かって下を見ていた。

    *************

昼食はいつもは麗奈と綾乃と結架で食べていたが、その日は結架は一人で食べていた。

麗奈は分からなかったが、誘われたので海憂と砂利と一緒に昼食を食べた。結架の陰口ばかりしていた。

計画通り、結架への孤立化作戦は成功したのである。


 あとはアンケートだけである。
アンケートでどれだけの人が結架を嫌うか。そこに懸かっていた。

直筆で『死にたい。生きてても楽しくない。このクラスにいても楽しくない。成績悪いし、正直、私のレベルとは大違い。滅びてしまえばいい。』と書かせようと海憂はしていた。
この文の“生きてても楽しくない”は海憂の本心だった。

放課後、海憂と砂利は結架を呼び寄せ、誰もいない教室でこういうふうに書けと命令して、書かせた。途中、恐怖と緊張で泣いていたけれど、涙で用紙が濡れてふにゃふにゃになってもいけないので、泣き終わった後に何度もリトライさせながら書かせた。

そして、終い(しまい)には所持していたカッターで砂利は結架の腕を切りつけ、両腕を切り裂いていった。

「痛い」そう言うがやめてはくれない。

後ろから海憂に押さえつけられていた。

抵抗することはほぼ不可だ。

リストカットの痕のように手首をカッターで深く切られる。

いいところまでいったら、ようやく、やめてくれた。

自殺したい少女風に仕立てあげる為だ。秋といってもまだ最初の頃なので、半袖だ。隠すこともできない。

そのアンケートは2~3日でコピーが完了した。結架直筆なので、本人の物であるのはもちろん、それを「こんなふうに皆のことを思ってるんですよ、天光結架さんは。どう思いますか?裏ノートに書かれていたものです。偶然にも先生は見つけてしまいました。教卓にアンケートの回答は提出して下さい。」と添えられているため、自演と疑われることも確率は低くなりそうだ。

そのアンケートに書かれている文章が無理やり書かされているので、嘘なのは当然だが、友人にも見せていない初公開なものなので、戸惑う生徒も出てくると思う。

結架の直筆は成績優秀だったので、テストの終わりなどに「見せてー」とか「結架ちゃん、何点だった?」とか言われていたから知っている人は多い。結架の字は丁寧で美しい字だ。

だけれど、こんな状況で書かされたのでいつもよりまっすぐな線が歪んでいたりする。でも、気にする人はそんなにいないだろう。

それに文面の内容も辻褄が合っている。

アンケートは金曜日の放課後に海憂が全員分の机の中に入れておいた。週末明けの月曜日に机に入っていたというドッキリみたいなものだ。

    *************

 今週の水曜日の昼休み、麗奈は汀を問い詰めにD組に駆け走っていった。

「ねえ、汀!私に隠れて結架と付き合ってたってどういうこと?しかもヤってたとか」と憤慨した。

「知らないよ、俺」
「結架とはろくに話したこともないし。」

汀は自分の疑惑を晴らすために、無実だと説得しようとする。

だが、麗奈は信じてくれないので、ついには、「もう、汀とは別れる」と別れを告げてしまった。

「俺は麗奈が好きだ、今もその気持ちは変わらない。だから、お願い。待ってくれ」と追いかけようとしても逃げてしまった。

そして、麗奈と汀は今件の影響で別れることになった。これは二次被害だ。

    *************

そして、ついにこの日が来た。教室内の生徒らは騒いでいた。結架の腕や手首にはまだ傷痕が残っており、アンケート用紙を持つ生徒が何人もいた。

期日は今日が終わるまでと紙に書かれていた。あとは回収するだけだ。しかし、海憂と砂利が制作したものだとは知られてはいけない。いかに教卓の上のアンケート用紙を回収するかが唯一の難点だ。

バラバラに置かれていたアンケート用紙を集め、砂利がこういうのが得意だったので砂利に任せた。砂利は海憂じゃない友達と喋っているふりをして教卓からさっと後ろに隠して、喋り終わったら自分の席に着いた。

「ねえ、砂利ちゃんー結架ちゃんがいきなり自殺願望を口にして、悪口書いてたの知らない?」と女子生徒が言う。

別の女子生徒も「あー机の中に入ってたよね。ちょっと怖かったっていうか不気味だった。私は破って捨てたわ。」と口にした。

(破って捨てた?)驚愕な表情を砂利はした。破って捨てる人もいるのだと。そしたら、正確な嫌われ度が分からないじゃない。

その直後、砂利は何事もなかったかのように「うちの机にも入ってたよ。自殺願望は知らなかったけど、悪口書くのは結架にもある事じゃない?だってああいう子に限って裏の顔がヤバいじゃん」と無表情で言った。

実際、海憂と砂利の机の中にはアンケートなんぞ入っていない。ただ、嘘を吐かないといけない為、砂利はそのように言った。

「ほら、見て!あそこ、結架の腕!血が固まった痕があるよ」そう、砂利は指を指す。

「ほんとだ、死にたかったのかな…」

「病んでるね」

砂利らがやったと気づかせないように平然を保つ。作戦通りに行けば、メンヘラな結架の印象を与えることができる。

「陰でいじめられてたり、成績優秀だったから悪口言われたりはあったんじゃない?」と砂利。

「確かに」

「知らなかったんだけどそうなんだ。砂利ちゃんが言うなら、説得力ある気がする」

みな、結架への関心はそんなにないようだ。あと、砂利は“ちゃん”付けされることを毛嫌いしている。もともと砂利はじゃりとも読み、親が適当に付けた名前だからだ。親からの愛情もあまり感じられない。まだ、呼び捨てにされたほうが砂利的には良いらしい。

海憂は担任が教室に入ってくるまでに置いてある全てのアンケート用紙を回収した。

だが、もう一つの問題も浮上してきた。

「せんせー、結架の裏ノートってどこにあったんですか?」

「アンケートってせんせーが作ったんですか?」

次々と疑問が投げかけられる。朝のHRの時間だ。

「何の話ですか?天光さんがどうかしましたか?アンケートなんて作っていません」担任の先生は毅然とした態度を取る。

「みんなー静かにー」海憂が言った。

(これじゃあ、バレバレじゃん)と砂利は思ったが、声には出さなかった。ここで言っても仕方がない。担任に飛び火するだろうと予想は立てていた。

謎のアンケートは謎のまま、回収だけすればいいやと思っていた。だから、生徒の数人は半信半疑でいた。

デマを信じてしまう生徒もいるので、その生徒をターゲットとして仕掛ける。あとは取り巻きの人に加わるかどうかが問題だった。

そうして、授業が続き、海憂は窓を見つめて黄昏ていた。これからどうしようか‥‥。

デマのアンケートを配った背徳感と高揚感と達成感に溺れていた。

週が明けた今日も綾乃は学校に来なかった。先週の今日の曜日から一度も姿を現さない。

(こうなるとは思ってもいなかった)と海憂は思っていた。

休み時間や昼休みにもちょくちょく、アンケート用紙が提出されていた。

用紙を見て、うわあ凄い嫌われ率と思った。それに余白の自由に書いていいです欄には裏切られたとか信じられないとか天光さんは成績優秀で優しい子だと思ってたのにショックなどの声が寄せられていた。

アンケート用紙には普通という選択肢は無く、好きか嫌いかという単なる質問だった。いじめの策略なども記されていない。そして、本人―すなわち海憂と砂利―はいじめだと認識していない。

    *************

帰りは砂利と一緒に二人で帰った。下駄箱付近で、「あのさ、結架の靴、隠さない?」と海憂は言い始めた。

「え、それじゃ、帰れなくなっちゃうじゃん」と砂利は言った。
まだ、砂利のほうが優しい心を持っていた。

「でも、いいじゃん。そのほうが面白いし。靴、持って帰っちゃおうよ」と海憂は悪戯な笑みを浮かべながら、結架の靴を手に持った。

「え、うちは止めないけど…」砂利は引いている。すごく地面に落ちている虫の死骸を見下ろすかのような目で海憂へと視線を向けていた。

「その靴、どこに仕舞うの?」

「袋の中、でバッグに入れればいいじゃん」当然のように軽率に海憂は言う。

その様子を見ていた砂利は「何が起きても知らないからね」と言葉を投げ捨てた。

学校を出てから海憂と砂利はあまり喋らなかった。

最初に口を開いたのが砂利だった。

「で、アンケートの結果、どうだったの?」と急に聞いてきた。

アンケートが今日が終わるまでだったので、部活がある人を待つためにずっと遅くまで待っていた。

クラス内の結架以外の生徒が帰るまで、靴の数や教室に置いてあるカバンをチェックして、海憂と砂利は帰らずにいた。

結架はというと最終下校時刻が終了するまで絶対に帰らないでねと脅しておいたので、結架は言われた通りに帰らなかった。結架は人思いで、純粋を象った(かたどった)というそんな人だった。

だから、命じられた通りに行動していた。いじめの対象にされてもおかしくない、弱い人間だろう。

「アンケートは嫌い率、47%だった。さっき、計算した」

「本当?みゅーの計算ミスとかない?あとさ、アンケート破って捨てたとか言ってた子もいたよ」と砂利が言った。

「だから、生徒数おかしいなと思ってたんだ~やっぱり、変だよね」と海憂は納得の表情を見せた。

確率で言えば47かもしれないけれど、本当はもっと嫌われているかもしれない。

「それよりさ、学校の近くにあるクレープ屋、知ってる?パフェも食べれて美味しかったよ」話題を逸らしてきた。

「知らない。美味しそうだなぁ」と海憂は言うけれど、美味しそうだなぁの口調が棒読みだ。

「じゃ、寄らない?」

「いいけど、私、お金持ってないよ?」

「それに夜、遅いじゃん。親に心配されない?」と海憂が言った。

が、砂利は「うちの親、共働きで夜遅くにしか帰ってこないから」とぼそぼそと哀しそうな目で吐き捨てた。

砂利は小さい頃からあまり両親の愛情を感じてこない家庭環境で育ってきた。20時頃までの留守番なんて慣れたもんで、母親はパート(非正規社員)だが、夜遅くまで遊んでいるのだろう。育児放棄といっても過言ではない。事実、子供は望んでいなかったらしい。一人っ子だ。きっと長い間、寂しい思いをしてきたに違いない。留守番中、ひとり泣いていたこともあった。だけど、弱い部分を人に見られたくない性格なので誰かに悩みを打ち明ける事もなかった。

海憂はお金を持っていないが、砂利が数万円を手にしていた。

「うちがスった金で足りるでしょ?」

「スリ、ってえ、犯罪だよ」

「大丈夫だよ。スリってスリルがあっていいよねー、ダジャレみたい」笑いながら言っていた。余裕な表情だ。

「まあ、うちのお小遣いも少しは入ってるよ」

あっという間にクレープ屋というかお菓子屋に着いた。

そこでクレープを食べて、勉強も少しして、テイクアウトまでして帰った。砂利に罪悪感なんてものはないのかと疑問を覚えたがそこには触れなかった。

ケーキやパフェを買って帰った。

だが、砂利は問題ないけど海憂の家は寄り道なんて許されない家庭なのでバレたら母親に怒られる。


 海憂が家に帰ると「こんな遅くまで何やってたの!」と怒る母がいた。

そして、袋で寄り道していた事もバレた。

「あっ!お姉ちゃん、ケーキ!それにパフェもあるー」と明依が輝いた目をして言ってきた。

「もう、今回だけだからね。寄り道も砂利ちゃんとでしょ?今度、砂利ちゃんの親と話すから」とキレた口調で呆れ混じりに言い放った。

    *************

海憂と砂利がクレープ屋に寄っていた時、結架は制靴が無い事に気づき、焦っていた。どうやって帰ろうかと。誰かが隠していると嫌な予想をした。仕方なく、運動靴で家へと帰った。

家へと真っ暗闇の中、一人で帰ると幻聴みたいなものが聞こえた。

《結架ちゃん、ひとりぼっちだね》
《みんな、最初から結架ちゃんのこと、嫌いだったんだよ》
《死ねばいいのに》
《このクラスからいなくなって》

(嫌だ…やめて!)街中で泣き出してしまった。嗚咽しながら。それに街を歩く人々がぎょっと見て、失恋でもしたのかなと思われていた。

家に帰ると海憂とは違って、怒るというより、抱きしめてくれる母がいた。何故なら泣いていたからだ。心配をかけたくないという想いから涙を必死に拭おうとするが、涙は次から次へと零れ落ちてくる。

それに制靴ではなく、運動靴で帰ってきている事にも気がついた。

「学校で何かあったんじゃないの?」

「なんにもないよ」

「いじめられてるなら、早めに言ってね」と結架の母は優しい言葉で包み込んだ。

(制靴を無くしたことは確かだ‥でも、隠されたという確証はない)と結架の母は考えていた。

それに腕にある傷痕、手首の傷痕、それにも母は気づいていた。自分でやったのか他人にやられたのか、分からない。

すぐさま、結架の母は学校と教育委員会に問い合わせをした。

今日の夜、結架は泣いてばかりいた。お風呂でも悔やんで、自分の何が悪かったのか考えて、泣き続けていた。

    *************

次の日、学校に行くと案の定、デマを信じた集団に罵られ、自殺の練習をさせられた。

他にも「優等生ぶってる」とか「消えろ、死ね」とか「性格悪い、男子可哀想」などの悪口や暴言を言わせられた。

ポニーテールだった髪も引っ張られながら、切られて、教室の床に落とされた。シュシュやピンも外され、「ハゲ」や「髪の毛の長さへ~ん、揃ってない」と言われ、嘲笑われた。

「死にたいんでしょ?死ねば?」と言われながら、ベランダへと連れていかれ、校庭に向かって身を乗り出される。

リストカットの痕も目に見えて分かる。筋が通っているいじめに加担する人も増えた。

麗奈も噂を広めたのだ。

「麗奈の彼氏奪っておいて、反省の色もないのかよ」と女子生徒に言われる。

「こんなのが友達だったなんて、未だに信じられない。嫌になってくる、早く気づけばよかった」と麗奈が言った。

麗奈の彼氏とあんなことをしていた事はクラスを跨いで(またいで)知れ渡っていた。

「麗奈、かわいそー」

「ほら、麗奈に謝れよ」と別の女子生徒にも言われた。

汀もまた、浮気していたという件でいじめの被害に遭っていた。虚偽の事柄だが、汀が否定してもそれを信じる人は現れなかった。別のクラスでの事だ。あの写真も麗奈がグループLINEで流したので出回っていた。おかげで「キモい」などの悪口を浴びせられることになってしまった。

結架の机には罵詈雑言を含む、卑猥な言葉も含んだ落書きが乱雑な字で殴り書きされていた。

授業が始まり、HRも始まるので消しゴムで消そうとしても消えない。雑巾を使って、水で湿らせた後に消そうと考えたけど、雑巾もまた汚かった。便のようなモノが付いており、カビていて、緑色に変色していた。

これも海憂と砂利と麗奈らの策略なのだろうか。

水に濡らそうとすると雑巾に泥水をかけられ、蛇口を止める女子生徒が周りにいた。

(これではもう無理だ)と思ったのか、結架は諦めた。

こうして、落書きが書かれたまま、授業が始まったのだった。

    *************

 月日は過ぎ、9月が終わり、10月に入るとさらにいじめはエスカレートした。

ちょうどその頃、結架の母が問い合わせをした内容の返事が学校からも教育委員会からも返事が寄せられてきた。しかし、証拠不充分としていじめの捜査などはしてもらえなかった。結架の母はいじめが原因で娘が死んじゃうかもしれないんですよ!と再度連絡したが、力にならなかった。
もし、厳密に調べられたとしても、いじめが認められても、加害者が退学させられるわけでもない。つまり無意味だ。

物が隠されたりは日常茶飯事、結架は殴られたり、蹴られたり、平手打ちを喰らったりで、とてもいたぶられていた。

さらには制服を鋏で切られたりという被害にも遭っていた。

男子達の見世物にするためだ。それを見て楽しむ男子もいた。結架の事が好きな瀬戸内湘と双子である碇にとってはご褒美のようだった。じーっと見ていた。

庇おうと思ったけれど、とても勇気が出なくて言動には移せなかった。

二人は結架に恋愛感情を抱いていたが、どうすることも出来ず、悲しんでいたというか、虚しさだけが残って、自分に嫌気が差していた。そういう姿を見てつらいと思っていたけれど、いじめられている結架が一番つらい。早く終わってくれないかなとだけ密かにこの気持ちを心に留めていた。

双子だけれど、同じ人を好きになるなんて偶然だ。似た者同士なのかもしれない。

授業中、(いじめに負けてはいけない。このせいで成績を落としては勿体ない)と思っていた結架は集中して真剣に取り組んでいた。

が、途中消しゴムやシャー芯のような細い棒のような物が頭に当たってくることもあった。

だけれど、それでも授業には集中しようとしていた。


別の日の昼休み、トイレに行こうとして、用を足し、手を洗おうとしたその時だった。

バケツに入っている泥水を頭からかけられた。洗面台の目の前だった。これをしたのは麗奈とその他いじめっ子メンバー達だ。海憂も砂利もそこにいた。

結架は吃驚して、これまで出したことのないような悲鳴を上げた。

「きゃーぁあああー」顔も泥だらけだ。洗面所の水で顔を洗う。切られた制服から新しくした制服も着替えなければいけない。

嘲笑う声が女子トイレ内に響く。

「ほんと、やめてよね」

「大きな声、出さないでよ。目立つじゃない、バーカ」

どうやらこのいじめは麗奈の彼氏との裸の付き合いを嘘だと証明して、許してもらわない限り、永遠に続いていくのだ。厄介でしかない。

火種を蒔いたのは海憂と砂利の二人だ。

いじめを計画したのは海憂で、主犯格も海憂だが、砂利と麗奈がしていることは海憂を越える酷さだった。


10月の終わり頃、海憂に命じられて、砂利と麗奈は結架のカバンに砂を入れていた。麗奈とはあまり距離が取れないでいた。海憂と砂利は親友だったが、麗奈とは友達ですらなかった。たまたま仲間に加わってくれた子だ。

「もう、腕疲れた」と砂利が嘆く。

「は?まだまだだよ。もっともっと。ていうか、体力無さすぎじゃない?」と海憂が立ちながら言った。

「だったら、あんたがやってよ」とスコップを持ちながら、嫌そうな顔をした。砂利はそこまで体力が無いわけではない。普通だ。

砂利と麗奈はしゃがんでいる。

麗奈は蟻を潰して、それをカバンに入れる係だった。麗奈は名前と比例するかのように虫が大の苦手だった。

「きゃあああー」麗奈は足に蟻が登ってきたので叫喚を上げた。

いきなりの悲鳴に驚いた顔を見せつつも、麗奈をそんなんでビビってんの?というふうに海憂と砂利は見下した。

「大丈夫だよ、ちっちゃいし。潰せば死ぬよ」と命を重んじず、殺生を勧めるように砂利は言った。

「だって、怖いよ。痛いし」泣きそうな目で訴える麗奈。

二人は指差しながら、冷やかしをまじえ、笑っていた。

これでは海憂と砂利が麗奈をいじめているみたいだ。

麗奈は足に登ってきた蟻を手で潰した。そして、手を洗って帰ってきた。

「砂利ちゃんって三つ編みにツインテールでかわいいよね」ふいに麗奈が話しかけてきた。麗奈は砂利とは仲良くなれば、優しくしてくれるのだと思った。実際、砂利は第一印象も関わっても怖いイメージだ。

ギロリと鋭い目つきで麗奈は砂利に睨まれた。

「え、あたし、何か変な事言った?」

戸惑った様子で麗奈は聞いた。

「砂利はちゃん付けされると嫌がるからやめたほうがいいよ」と海憂は言った。

「この際だから、渾名(あだな)で呼び合おうよ」と砂利が提案した。

「うちが“さり”で海憂が“みゅー”で麗奈が“れーな”ね」と言い、渾名で呼び合うことになった。

「さ、砂利その髪型って自分でやったの?」と麗奈は聞いた。

「そーだけど。」

「いつも大変じゃない?」と麗奈に聞かれる。

「そうかな、これが普通。ささっと慣れれば出来るよ」平然と答える。

「凄いね」と麗奈。

「そーかな」

砂利はとてつもなく手先が器用だ。

「じゃ、髪、ゴム外したら結ってあげるよ」

「え、本当?嬉しい」

で、結局、麗奈の髪を編み込みにして最終的にはポニーテールにしてあげた。

「可愛い、上手く出来てる」と後ろから見ていた海憂が褒めた。

「触ってみて、丁寧に結わいてくれたのが分かる、ありがとう」と麗奈が礼をして言った。

「それは良かった。どういた」と砂利が言った。

「鏡あればいいのにー」と麗奈が理想を口にした。

「ほい」カバンから鏡を差し出した。

「砂利ちゃん!」

「あ゙?あんだって?」怒りを砂利は露にする。

「ごめん、つい…。砂利、怖い」思わず、麗奈は本音を口にしてしまった。

「わかるー」海憂も賛同する。

「あんたまで殺されてぇのか」と言いながら、砂利は海憂の頬をつねる。

「いたたたた、素でこれだからね」と海憂は教えた。

「そうなんだ」素直に麗奈は納得した。

砂利は手際良くスコップで砂を入れていった。その表情はどこか楽しそうだ。昔、砂利は小学生だった頃、名前が原因で複数人に砂をかけられ、いじめられていた過去があった。

(なんか、腕が進むなぁ‥楽しいなあ、やばい。気持ち良い)

砂利は自分の過去の体験を再体験することで快感を得ていた。

「砂利、疲れてそうに見えるけど楽しそうだね」と海憂が言う。

「だね。めっちゃ気持ちいいわ。」運動してきた後の水を顔に浴びたような爽やかな面持ちをしていた。

「これ、どのくらいまで入れればいいの?」

「七分目まででいいよ」と海憂が言った。

「おーけー」

そして、砂はカバンを埋めつくすまでに入っていた。そして、蟻の死骸も中に紛れこんでいた。

七分目まで入れおわり、どうやって運ぶか考えていたが三人で協力して教室の結架の机まで運ぶことになった。

運び終わった後、麗奈が砂利の話題を振ってきた。麗奈は砂利の事が好きなんじゃないかと思えるくらい詮索してくる。興味は持ってくれているようだ。

「砂利って、何でもそつなく物事を片づけていけるイメージあるよね。それに苦手なもの無さそう…」

その言葉に異論がある海憂は「砂利、ジェットコースター苦手だよ。物事をこなしてるように見えるのは錯覚か勘違いだよー」と言った。

言ったほんの数秒後に足を蹴られた。

「あのさ、あんたさ、タイマン勝負でもしたいってか?失礼すぎじゃねーの。うちは一対一で張り合いたいならいつでもウェルカムだけど」

「砂利ちゃん、落ち着いて」と麗奈が諭す。

だが、砂利は更に眉間に皺が寄った。

「お前は黙ってろ。あと、ちゃん付けするなって言ったよな?」と砂利は麗奈に向かって言った。

「もう、そんなに怒らないでよ。許してちょ」と海憂。

「ウザい。許したくねーわ。」

「許して。絶交とか早まらないで」と海憂は焦りつつ、せがんだ。

「まあ、分かったようで分かってないけど、そうやって秘密を親密じゃない相手にベラベラ言いふらさないで。次はないからな」と砂利は言った。

「失礼な発言したのは悪かったけど、ジェットコースター苦手なのは本当なんだよ」と海憂は追いうちをかける。

「だ~か~らー追いうち、かけんなっての」と砂利がぼやく。

「もしかして、一番、言われたくないのそれだったの?」と海憂が聞いた。

「そうだよ。秘密にしてって言ったじゃん」と砂利は恥ずかしがりながら言った。

「言ってたっけ?」海憂は忘れたかのようにきょとんとした顔をした。

「まあ、いいけどさ」

三人は授業をサボっているのだ。専科の授業だった。あたりは夕焼け色に染まっている。もう5時間目の授業が終わる頃だった。もちろん、教室の鍵は砂利の手柄で所持していた。

「そういえばねー聞いて!れーな。砂利はね、去年、一緒に遊園地に行った時、ジェットコースターが怖くて、さっきのれーなみたいに悲鳴上げて泣いてたんだよ。砂利が泣くとこ、その時初めて見た。それっきり見てないし、もうこれっきり見れないのかな」と麗奈に向けて言った。

「あんさあ、さっきうちが言ったこと、覚えてる?次はないって」気づいた時にはグーで殴られ、後ろに尻もちを付いて、蹴られていた。スカートの中だった。太ももや足首も蹴られた。

「ゆうな!!!」砂利は思いっきり叫んだ。
廊下中に叫び声が響く。

「痛っ、マジで痛い…。本気で暴力振るわなくていいじゃん。しかも何でそんなに怒るの?もう、れーなも友達じゃん」と痛みを必死で抑えながら言う。

「人をあんまり信用しすぎるな」小声で海憂にそう呟いた。

「それって、みゅーが砂利を泣かせたんじゃなくて?」と麗奈がひとりでに言った。

「それな」


教室に着いた。結架の席の机の上にカバンを置いた。秋色の葉がひらりと舞い落ちる。それは教室の窓からも見えた。非常に美しい光景だった。いじめという愚かな美しくない行為とは対照的に。

「重かったぁ」口を揃えて三人が言う。

ひと仕事を終えたようだった。

だが、授業が終わっても結架は専科の授業から帰ってこなかった。その授業でもいじめられて、怪我をして保健室にいるようだった。

当然、カバンのチャックは閉まっている。

作戦は難航していた。

放課後、結架は保健室から帰ってきて、カバンのチャックを開けたが、リアクションは薄かった。もう慣れたようだった。6時間目の授業の担当の教師もカバンの存在にも目もくれず、結架がいないことにも特に心配する様子はなかった。

カバンの中には蟻の死骸とともに枯れ葉やどんぐりも入れておいた。

教室のベランダからカバンの中身を篩い落とした。砂も同時に払った。嘲笑う生徒達の声。その声を無視して、結架は感情を捨てるかのように怒りをぶつけるかのように落としていた。

    *************

「あ、そうだ!今度三人で遊園地に遊びに行かない?」海憂が二人に提案した。

「なんでそうなるんだよ、死ね」砂利は猛反対している。

「いいねー、それ」麗奈はノリノリで行こうよと賛成している。

「砂利もね、行こ!」と強引に麗奈は嫌な顔をする砂利に誘う。

そうして、多数決で遊園地に行くことになった。

 10月下旬の連休、砂利は嫌がっていたが、海憂と砂利と麗奈で遊園地に行った。砂利はメリーゴーランドを意外にも気に入っており、嫌々ながらジェットコースターにも乗らされた。

悲鳴を上げていたけれど、泣きはしなかった、流石に。

最後に観覧車に乗り、乗り終わった後、記念撮影をした。スリーショットの隣に白文字でR・S・Mと書いた。三人のイニシャルだ。皆で来た記念にもなったし、良い思い出にもなった。息抜きにもなって肩の力も抜けたことだろう。砂利は怖がっていたけれど、海憂と麗奈がいるから大丈夫だと暗示を掛けた。砂利は高所恐怖症なのだ。

11月に入っても結架へのいじめは続いた。

9月や10月にしてきたものと同じ、物隠しや暴力や自殺の練習やら机の落書きなどだ。

黒板に結架の単純な悪口や汀との裸の付き合いに関連した卑猥な事まで書いてあった。

    *************

11月の中旬、とうとう結架は家出した。学校にも姿を現さなくなった。

一つのメモを残して。

学校には“天光結架です。皆に嫌われています。嫌われた原因も私が悪いのです。麗奈の彼氏とはあんなことはしていません。嘘です。信じて下さい。酷いことをもうしないでね、みんな。せめて一人くらいには好かれる人でありたかった。麗奈と綾乃と最初、仲良かった頃は楽しかったです。ごめんなさい、許して下さい、神様。学校からはいなくなります、さようなら。みんなは楽しい学校生活を送って下さい。先生もありがとうございました。”と。

家には“お母さん、お父さん、迷惑ばかり心配ばかり懸けてごめんね。学校で酷い目に遭っていました。これは本当です。家からもいなくなるけど死なないから。生きているから、捜索願いとかはかけなくていいからね。産んで育ててくれてありがとう。また逢える日を楽しみにしてるからね。とにかく心配かけるけどこれからも見守っててもらえると嬉しいな。それじゃ、バイバイ。”と。最後に名前と日付をいれて。

その頃、結架は一人で川が目の前に流れる芝生がある位置に座って佇んでいた。

佇む少女を見た30代くらいの男性は結架に声をかけた。傷だらけの身体を見て、心配してくれたのだ。当然ながら下心は無い。

「大丈夫?もう夜、遅いよ。家族心配するよ」と優しい声で投げかけた。

「家族はもういいから。ここで寝るの。」グレた少年少女のようだ。

結架には体力も生きる気力も無い。

「とりあえず、今夜は俺の家に泊まっていって。そんな所で一夜を過ごしたら風邪引いちゃうし、今後の事はこれから考えよう」そう言われ、男性の家に行った。今晩は泊まり、招かれた家の中には20代後半くらいの女性が一人いた。結婚しているのだろう。いや、結婚している。

男性は警察にも児童相談所にも通報しなかった。救急車も呼ばなかった。結架が望んでいたからだ。そしてそれを男性は察した。当時は虐待も疑われていただろう。でも、今は学校での事を話し、それを信じてくれている。

女性は最初、男性の言ってる事を受け入れてはくれなかったが、経緯を話し、やっとの思いで受け入れてくれた。一晩だけと許してくれた。

その後も住まわせることになったけれど、自然と結架は溶け込んでいった。

誘拐だと警察に思われては元も子もない。18歳になるまでと約束した。学校には行かせなかった。高校も当たり前だが行かなかった。

5年経った今もこの家にひっそりと住んでいる。19歳になって遠方の職場で働いている。これからこの家を出て、別の家に住む予定だ。

    *************

 結架がいなくなったことにより、いじめのターゲットがいなくなったから海憂はまた空虚な日々が続いてしまうと溜息を吐いていた。


 

七月の憂鬱、空虚。過去編

七月の憂鬱、空虚。過去編

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • サスペンス
  • 成人向け
  • 強い暴力的表現
  • 強い性的表現
  • 強い反社会的表現
更新日
登録日 2020-09-07

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted