自由律句 37

自由律句 37

居候の部屋にひとり


他人が読んでいる新聞で知る


古本から出てきた誰かの誰かに対するメモ


買った本のレシートをそのまま栞にしている


老人の電動カートに追い抜かれた


潰れたレンタルビデオ屋のVHSがずっと家にある


短い坊主頭の所々が剥げている


小さな鳥居がいくつも壁に描かれている路地裏


鍵をかけて鍵をなくした


ニキビを潰そうとしている指が深爪


顔に見合わず深爪


知らぬ間に後輩がタメ口

自由律句 37

自由律句 37

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-06

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