母乳探偵への挑戦状

虚文学 純

「わたくし、恋愛という市場に参入する決意を固めましたわ。まあ、わたくしにとっては容易い勝利を約束された世界です。わたくしには、他の女には稀有な、大いなるアドバンテージがある!
実は、わたくしは処女でありながら母乳が出る体質なのです。これを明かせば男共の劣情を煽るのは間違いありません、彼氏立候補者の行列がどれ程伸びることでありましょう………はい?気持ち悪がられるだけ?
そんなはずはありません、母乳が出る処女は、エロマンガの超人気カテゴリーですよ!現実との区別のつかないオタク野郎が我も我もとウンカの如くです!ホーッホッホッホッ!」
中学二年生のお嬢様、貴咲希・アイゼンハワーがかようにのたまっていたのが、半月ほど前のこと。現在に至るまで、彼氏は出来ていない。
今、彼女は自室で一人の老紳士と向き合い、語っていた。
「別に、彼氏が出来ない理由について考えていただきたいというわけではないのです。
わたくしが不思議で仕方ないのは、ある日の出来事。わたくしは、クラスの男子数人の前で、自慢の母乳を搾って見せました。彼らはとても興奮し、やんやと盛り上がっておりましたわ。」
紳士はうなずき、相槌をうつ。
「結構なことですな。」
貴咲希はそれに対し、眉をひそめ首を振った。
「ちっとも結構じゃありません!何故なら……彼らは、盛り上がっておりましたけれど、股間がちっとも盛り上がっていなかったのです。一人残らず全く勃起していなかったのですわ!一体どうしてなのでしょう?中学男子が、同級生女子の母乳に興奮しないなんてことがあるでしょうか?!有り得ません!!では、何故彼らは勃起しなかったのか…………!?」
紳士は敢然と立ち上がって大笑した。
「カハハハハハッ!なるほど、小生が呼ばれた理由がよくわかりました。」
「ええ、母乳に関わる全ての謎を、闇の底から叡知の光でさらけ出す、人呼んで母乳探偵!あなたにしかこの謎は解けないと思ってお呼びしたのです!」
探偵はツカツカと部屋の中を歩き、貴咲希にたずねた。
「その男子生徒たちは、どういった感じの子たちでしょう?」
「そうですね………全員、ヤンキーですわね。」
「なるほど、さもありなん。小生の推測通りです。」
探偵は、力強く言い放った。
「謎は解けた!!」
「ほ、本当ですかっ!?」
叫び声を上げたのは、探偵の助手、水無川少年だ。
「ああ、水無川くん。小生には全ての事情が見えた。まず、お嬢様の胸だが、恐らく片乳が非常な垂れ乳のはずだ。それこそ、股間に届くぐらいにね。」
探偵は確信を持っているようだが、水無川少年には信じられなかった。
「元・巨乳の最晩年期の老婆じゃあるまいし、中学生の乳がそんなに垂れるでしょうか?」
「彼女は処女で母乳が出る特異体質。何でもアリと考えていい。お嬢様、小生の想像は間違ってますか?」
「いいえ、いいえ、おっしゃる通りですわ!左乳だけ太ももに届くくらい垂れてますの!」
貴咲希は驚きの表情になっている。探偵は重ねて聞いた。
「乳首が大きくはありませんか?そう……指よりもはるかに。」
「ええ、全くその通りです!」
探偵は再び助手に語り出す。いよいよ解決編である。
「後は簡単だ。お嬢様の顔は厳つく、短髪ということも考慮すれば答えは一つ。彼女は、ズボンのチャックを開けてそこから乳首を出して母乳を搾ったのだ!それが、少年たちにはチ×ポコから射精したように見えたのさ!お嬢様が女だともわからなかったのだろう。ヤンキー少年たちは、人前で射精するバカに喝采を浴びせた。しかし、少年たちはゲイではなかったから、勃起しなかった。
以上が、真相の全てだ!」
貴咲希も、水無川少年も、見事な推理に驚愕を隠せなかった。
「そういうことでしたの…………では、わたくしは今後、どのように母乳をアピールすればモテるのでしょう?」
「それを考えるのは小生の仕事ではありませんな。では、約束の報酬三百万は今週中にお振り込み下さい。」
そして、母乳探偵は去ってゆく。次なる母乳事件を求めて。

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