アナザー・ライフ ~another・life~ Numberⅱ
アナザー・ライフ ~another・life~
Number ⅱ 『悪夢』
「まただ・・・」
―今日で13回目・・・、何回見れば気が済むのだろう・・・。
また、黎穏が傷つき、時には死んでしまう夢がこの頃見るのが多くなってきた。まるで、黎穏の身の回りに何かが、起こるのかを意味しているように思えてきた。
―こんなの嘘嘘。絶対こんなことあるわけないんだから。
理亜は、一応現実をきちんと見る。昔言った通りだ。
『うちはねぇ、これでもきちんと現実は見るんだからね!?そんな気持ち悪いものを誰が好きになるもんか!!』
―大丈夫。大丈夫。気にしない!じゃあ、早速、被服室でも行きますか。
そう。次の授業は家庭科。それも、調理実習だ。
―美味しいものが食べたいなぁ・・・!!よし!美味いの作るぞー!
理亜は、早歩きで被服室へつながる廊下を歩いていった。
∽
『オオォォー!!』
2年3組の理亜以外のクラスメイト全員が声を上げた。みんな目を輝かしている。
「龍谷さん、料理作るの上手だね!!」
誰かが言った。
「そ、そう?」
理亜は、顔が熱くなっていくのがわかった。照れている。
―そっか。調理実習、今日が初めてなんだっけ。
「よし!じゃあ、バンバン作っちゃうぞ!!」
長袖を肘のあたりまで捲り、「やるぞー」とアピール。それを見たクラスメイトは拍手と声を上げる。
理亜が、調子をのっている時。目の前を通って、こっちを向いてくる、ムスっとしたムカつく奴。
「おい、これをやれ。本当はこれ、お前が当番だろ?」
イヤミ臭い言い方・・・。黎穏だ。
「何?今、ちょうど、いいところなのに・・・」
「うっせぇ!当番は当番だ。しっかりとやれよ」
「うっさいなぁー」
「なんだと・・・・?」
いきなり怒った顔で、こっちを睨みつけるかの様に、黎穏が見てきた。
怒りをかったようだ。
「やる気・・・?」
「いいぜ・・・?ヤローじゃねーの」
クラスメイトは二人の喧嘩に巻き込まれないよう、端の方で固まっている。
「おいおい、やめろや、テメーら」
皆怯え上がっている中で、一人、喧嘩の中に割入ってきた人がいた。
「龍・・・」
理亜と黎穏のもう一人の幼馴染、炎神 龍。背が高く、サッカー部。意外と女子からはモテるらしい。
「こんなところで喧嘩しても、しゃーないだろ?」
確かに、言われてみればそうだ。こんなところで喧嘩しても、全く授業とは、関連性は無いし、これはあくまでも、理亜と黎穏の勝手な行動だ。何も関係ない。
―今は、龍の言った通りだ・・・。冷静にならなきゃ。
この場面では、龍の冷静さが、この2人のパワーに圧勝してしまった。
∽
「はぁ・・・。もう今日は、とんでもなく疲れたぜ」
放課後。今日は、うち、黎穏、龍の3人が学校の屋上にいる。
「黎穏の言うとおりだよ、まったく」
龍が、腕を組みながら呆れた顔で、ため息をついている。
『はぁぁぁ・・・・』
3人の言葉がはもった。いつものことだ。
それから、しばらく沈黙が続いた。だが、それを破ったのは、理亜だった。
「そういえばさぁ・・・!」
「・・・?なんだよ」
黎穏がまた、憎たらしい顔で言ってきた。でも、理亜は、気にしない。
「?・・・、あぁ・・・!」
「ん?なんだよ龍。お前も、分かったっていうのか?」
黎穏が、少し怒っている。そんな口調で龍に向けた。
「ははっ。まだ分からないのか?お前に関係することだぞ?」
「うん?俺に関係すること?なんだ・・・?えっとな・・・。おい!そんなそそのかすなよ!!ちょっと待てよ・・・?あっ!」
黎穏は、顔が真っ赤になっている。照れているのだろうか。
「誕生日おめでとさん」
龍が、言った。続いて、うちも言おうと思って、口を「お」の形にして、声量をだそうと思った。
だけど。
いきなり地割れのようなひどい音がした。地震、いや、それ以上の音の大きさと揺れだった。
☆
「きゃぁっ!」
崩れ始めた建物。その衝撃で転びそうになる。ここは3階。落ちたら命は、無い。
「おいおい、大丈夫か?落ちたら死ぬぜ?」
黎穏が嫌味臭く言う。ムカついて反撃をしたくなるけど、今はそんな余裕は無かった。
「くっ・・・」
うちたちは、何とかして、1階に戻ろうとするが、道がすべて崩れていて、うまく戻れない。
「どうしよう!このまま、死んじゃうのかな・・・」
うちは、内心焦っていた。これは、一人言。しかし、これを黎穏や龍に問いかけていたら、
どんな返事が来るのだろうか。
『おめぇ、諦めんなよ!!まだ、走れ!』
黎穏・・・。
『理亜、俺たちはまだ諦めねぇ。だから、お前も諦めんなよ?』
龍・・・。
―そうだ。黎穏たちは絶対に諦めない。だからうちも・・・!!
☆
走った。走り続けた。どこかに道はないのだろうか。こんなに頑張ったのに、
神様は、希望をくれないの・・・?
今度こそ、うちにも、希望が来ると思っていた。喜びが来ると思っていた。
でも、くれたのは絶望だった。
アナザー・ライフ ~another・life~ Numberⅱ
こんにちわぁぁぁぁぁぁああああ☆ミ
燐です(`・ω・´)>
今回は、少し長めに書いてみました☆
次で、理亜の運命は変わります!
おっと、これ以上は言いませんよ?
では、ⅲで!