廃品回収について

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お前のいらないものはたぶん、ぼくにとってもいらないものだ。ってメルカリの利用規約に書いてあったらドン引きする。それはともかく、ぼくの周りにゴミを捨てないでください。いや、まあ、そういう感じの雰囲気になってるのは自分でもよくわかるけどね。
引き取ってほしいものがある、具体的な内容は言えないけど。引き取ってくれたら、世界はものすごくぼやける。太陽と月は地続きになる。泥からネズミが生まれる。女性はみんな宝塚のフィナーレを飾る。でも、それもきみからすれば大したこと、ないんだろうな。宇宙人の考えることはいつもわけがわからない(でも、ぼくはそういうのが死ぬほど好きだ)。サブカルだけでちかちかする視界。サイケ模様だとぼくは思っている、平坦な埋め立て地。命の押し付け合いごっこの教室。リアルを感じるためならなんでもできる自分が怖い。
あいつもきっときみのことが好きだったよ。だからいつも一緒に平和学習をしていたよね。でも、もうあいつのことは誰も思い出せないし、あいつの連絡先なんて誰も知らない。どこまでが本当なのかわからないから、何もかもそぎ落としてしまいたい。救急車のドップラー効果で揺れる赤色。せつないおもいが口の中に広がった。あの救急車でできた埋め立て地。とおく、きみの知らない国に行きたい。できれば、ぼくのいらないものをいらないと言ってくれる人しかいない場所。

廃品回収について

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世界はものすごくぼやける。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-08-29

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