待合室の午前
気だるい朝、無造作に携帯を開くと
そこには君からの着信履歴があった
まだ眠い目を凝らして画面をなぞる
それは、つい数十分前のものだった
憶測に呑み込まれてしまわぬように
見えない手で、見えない心をさする
慎重に言葉を選び、慎重に返信する
君は殆ど同時に返事を返してくれる
僕は居ても立ってもいられなくなり
次の返事を遮るように電話をかける
すぐにコールに出てくれた君の声は
いつにも増して儚げで、か細かった
液晶越しで泣いているのがわかった
僕は今すぐ、君に逢いたいと思った
理由も遠慮も建前も、何も要らない
言葉も交わさず、抱き締めたかった
待合室の午前