天空海闊

おだまきまな

天空海闊
  1. 序 天正十八年四月
  2. 四百年後、新宿

2020年~ 作品

序 天正十八年四月

風が鳴った。

東西天下分け目になった、関ケ原。

その関ケ原の近くを通る、東海道養老近くの街道の山道を、金髪碧眼の青年がひとり歩いていた。もう時刻は夕暮れの頃、春先とはいえまだ肌寒く山には氷霧も出ていた。青年は日が沈むまでに宿場町にたどり着くよう、道を急いでいた。青年の名前は伊達征士、しかし伊達家の直系の一族ではない。上様から下賜賜った名前である。
彼は母親は日本人だが、父親は外国籍の男であった。事情は征士にはよくわからなかったが、父が海外から渡ってきて、自分はその末に生まれた子供だということはわかっていた。そして物心ついた時には父はすでにいなかった。母は幼い頃に亡くなっていた。生家は武士としては中庸の出で、格式ある武家ではなかったが、祖父らから幼い頃から厳しく剣道の道をしつけられてきた。その甲斐あって、上様の面前の試合で、見事十人抜きに討ち果たし、伊達の名前を名乗るがよいぞと言われたのである。この伊達の殿様の伊達政宗公は、あちらの事物が大好きであった。その一環で、征士も付き人にとりたてられたのである。
その数年前に九州の大友宗麟が天正慶欧少年使節団を派遣していたから、伊達家でも遠く羅馬(ローマ)の法王庁に使節団を送り込む計画があるのだと聞いていたから、その根回しで自分もとりたてられたのだろうと思った。しかし征士はただの一言も、あちらの言葉が話せるわけではなかった。殿の周りの者の薦めであちらの宣教師について少し勉強してみたが、お手上げであった。それでも征士の容貌は、あちら風の顔だちなのであった。
さて、征士が先を急いでいる途中、峠を越して下り坂が続いている道の先に、誰かが倒れているのが見えた。菅笠越しに見たところ、少年のようであった。征士は助け起こそうとした。ふもとの宿場町まで送っていってやろうと思った。こんな山道に放り出されていたら、山犬の群れに襲われても仕方がない。
「おい。」
と声をかけて、気付けの拳を少年の胸板に鋭く当てた。少年は軽く呻いて、気を取り直したようだが、まだぐったりしている。と、その時目の前に火の球がゆらゆらと揺れながら流れてきた。
「妖邪のたぐいか?」
と、征士は腰の刀に手をかけた。夜の山にはこのようなものが出没するという話は、征士もよく巷の噂で聞いている。と、見ている間に火の球は幾重にも征士たちを取り囲み、その下から黒煙のようなものが湧いて、見るからに恐ろし気な兵士たちが次々と地の底から現れた。兵士は征士たちに刀を抜いて斬りかかってきた。征士は一太刀受け、少年を背に担ぎ上げると走り出した。幸い少年の身は軽く、なんとか走ることができた。走りながらも、剣で火の球を薙ぎ払った。と、その時前方に何か黒衣のマントを翻した男が立っているのに気づいた。すんでのところで征士はその男の第一撃をかわした。しかし男は高笑いをしながら征士に追いすがってくる。
と、その時男と征士の間に、光の矢が一矢放たれた。それはすさまじい光を放ちながら地に落ちて、男の行く手を阻んだ。
「伊達征士、こっちだ。」
と、見ている間に征士は空中に吊り上げられた。誰か紺色の鎧のようなものを着ている者に、征士は手を摑まえられてつりさげられているのだった。明らかに相手は空中に浮いているので、征士は驚いた。とても普通の素性の者ではない。征士はその者が安全なところに着地すると、言った。
「なんだ貴様は?その身なり、ふつうの鎧ではないし。」
征士がそう言うと、相手は明るく笑って答えた。
「あはは、確かにそうだな。この時代の鎧に模したつもりだったが、やはりいろいろと進み過ぎていたようだ。しかし機能を入れるにはこれぐらいでないと。」
と、相手は言うと、征士の背中から少年を下して、気付け薬のようなものを飲ませた。
「遼、もう大丈夫だぞ。人買いはいなくなった。」
と、その鎧の青年は言った。征士は尋ねた。
「人買いに売られていたのか?」
「そうだ。秀吉公は今月に人買い禁止令を敷いたのだがな。また真田の里に送り届ける。」
「真田?甲斐の国か。」
「おっと、詮索は無用だ。そうだ、おまえにこれをやろう。ここで会ったのも何かの縁だ。少し時代考証的には無理があるがな。」
と、相手は征士に水晶玉のようなものを放った。征士はあわてて受け止めた。その珠には『礼』の文字が浮かんでいた。征士は珠を見て、尋ねた。
「おまえはいったい何だ?」
「俺の名は羽柴当麻・・・・・、では、またどこかで会おう。おさらば!」
と言うなり、当麻は鎧で宙に浮いて、それから制動をつけて空の彼方に飛び去った。遼と呼んだ少年も一緒だった。
「なんだあいつは・・・。」
征士はうなると、玉を懐に入れて走り出した。さっきの男が背後から迫ってきている。何のことはない、征士は危機の中当麻に置き去りに放り出されたのである。征士の後ろから男が大剣を振りかざして何か叫んでいる。征士はあわやというところで斬られそうになっていた。
剣で防戦しているが、とてもかなうものではない。相手の大剣は何か雷撃のようなものを見舞ってくる。征士の体に幾度も電流の衝撃が走った。
「このままではらちがあかん!何か方法が・・・。」
と征士が言った時、背後から大きな雷撃が襲った。
「ッ・・・・・!」
と思って前につんのめった征士は、無意識のうちにそれを唱えていた。
「武装・光輪――――!」
たちまちのうちに征士の体に、緑色に光る鎧のパーツが飛来して蒸着した。それは一瞬の出来事で、征士が気がついた時は、謎の緑の鎧に包まれて宙に浮いていた。そして征士は無意識のまま、「それ」を口にしていた。
「雷光斬――――!」
征士は巨大な光の剣を、相手の黒マントに向かって振り下ろしていた。

気が付くと、征士は夜の山道に倒れていた。幸い、人家の灯がすぐそこに見えていた。征士はもうあの緑の鎧をまとってはいなかった。
「私はいったい・・・・?」
征士は不審に思いながら起き上がり、背中にくくりつけた旅の風呂敷包みを確かめた。中には上様に申しつけられた書状が入っているのだ。それは、秀吉に反抗する所領の一揆衆への呼びかけの書状だった。この年の十月、伊達政宗たちが扇動した大崎・葛西一揆が起こるのだ。秀吉との関係はまだ一進一退の時期であった。秀吉が諸国を完全に統一するのはまだ少し先のことである。
征士は人家に向かって歩き出した。先ほど当麻に渡された謎の玉は、まだ懐にしっかりとあった。

四百年後、新宿

ナスティ柳生はアメリカ人とのハーフの両親を持つ、日系二世だ。父方の祖父は東京の文京区にある千石大学で日本史専攻の大学教授である。千石教授はもともと文献を読み解く事を得意としていたが、最近は考古学的なフィールドワークも学生たちとしている。ナスティはその研究室に助手としてアルバイトをしており、その日もカフェレストランのタイムシフトの後、夕刻に研究室のドアを開けた。最近は研究室には正体不明の遺跡物のダンボールが積み上げられており、千石博士はその新たな研究を続けている。しかし学会ではまったく相手にされておらず、博士の孤独感は増している様子だった。それで孫娘のナスティにも少しその研究を話した事があった。その日もナスティは尋ねた。
「古い和歌が考古学と関係がある?」
「そうじゃ。古い歌がな。それに従って遺跡物が発見された・・・・。何者かがそこに置いた可能性がある。」
「それは古代で?」
「そうじゃな。」
「奈良県明日香村の不思議な遺構みたいなもの?あれって村のあちこちに謎の石があるのよね。猿石とか・・・・・。」
「そんな距離ではない。もっと遠くにばらばらにある。一番遠いもので、ざっと一千キロぐらいか。」
「それは関連づけられるの?」
「放射線測定機では同一時代の同一物質によるものと推定された。」
「ありえないわ。古代でしょう?移動できる距離ではないわ。」
「そうじゃな・・・・。」
博士はそう言うと、目を少し疲れからか押さえてから、ナスティに言った。
「ナスティ。今から言う言葉をそのパソコンに打ち込みなさい。烈火。光輪。水滸。金剛。天空。」
ナスティがパソコンに言われるままに入力すると、何かのソフトが起動した様子だった。
「これは、おじいさま・・・・?」
「わしが発見した、古代の鎧の名前じゃな。たぶん識別コードだと思う・・・・・。」
「古代の?」
「そうだ。わしが発見したことで、呼び水になるかもしれん。」
「何の呼び水なの?」
「世界を破滅から救うためのな。」
「世界の破滅・・・・。」
と、その時研究室でつけっぱなしになっているミニテレビのニュース画面に、おかしな映像が映りこんだ。女性アナウンサーが、白い虎を連れた少年の録画映像にコメントをつけている。
『新宿マイシティ前です。今日午後三時ごろ、このマイシティ前に白い虎を連れた少年が現れました。虎の出現にあたりは一時騒然となりました。少年は新宿警察に身柄を確保されましたが、今各地の動物園で、白い虎のライガーが脱走したかどうか関連を調べています。以上、新宿前からでした。』
千石博士はニュースを聞くなり低く呻いた。
「白い虎・・・白炎・・・・。烈火の近侍の動物・・・。ナスティ、今から新宿に向かえるか?」
「え・・・?行けないことはないけど・・・・。」
「今日はその日時なのかもしれん。行って確かめてきてくれないか。ただの少年ならばよいが・・・・。前兆なのかもしれん。」
「前兆、ですか?」
「そうじゃ。急げ!」
ナスティは言われて、コートを着こんで足早に大学を後にした。祖父の信じているものを疑う気持ちがあった。しかし、新宿で何かが起こるというのをこの目で確かめてみたかった。祖父は今孤独なのだ。もし違っていれば祖父を安心させられる。
「おじいさまに、そんなものはないとはっきり言うことができれば・・・。」
愛車のパジェロを運転してナスティは新宿まで来た。駐車スペースに停めると、新宿警察に行ってみた。警察署の前には人だかりがしていた。見ると、少年が虎と外に出ようとしていた。警官たちが取り囲んで警棒で威嚇している。どうやって警察署の拘留の檻から外に出たのだろう?しかし見たところ、彼らは警官たちを脅す風でもなく、毅然としてそこに立っていた。
「俺の話を聞いてくれ!」
と、少年は周囲に声を張り上げた。白い虎はその横にいて、おとなしい様子だった。
「あれは普通の虎ではなさそう・・・・。まるで犬みたいな虎ね。」
と、ナスティは言った。
その時警察署などのビル街の上空に、冬空なのに夏のような黒い入道雲がむくむくと湧き始めた。と、見る間にそこからいきなり雷鳴がとどろいた。季節はずれの夕立とともに、すさまじい稲妻が幾筋も光った。そして、その黒雲の上には――――およそ、ありえない大きさの建造物が出現したのだった。黄金色に光るそれは、巨大な戦国時代の城塞のようであったが、ナステイの目には中国やイスラム風の建物のようにも見えた。
「あれはいったい・・・・。上空に浮いているの?UFO?ありえない。」
突風が吹きすさぶ中、その時「ふははははは・・・。」と言う悪魔のような哄笑が地の底から響いてきた。そして黒雲に乗って、戦国時代の鎧武者たちが次々と地上に降り立ち、人々を狩り始めた。逃げ惑う人々、しかし兵士たちは容赦なく戦船(いくさぶね)のようなものに人々を追い立てていった。
「ママー、ママーッ!」
「純ちゃん!」
ナスティの目の前で、ある親子連れが兵士に引き離されようとしていた。
「危ない!こっちに来て!」
ナスティは危うくその純と呼ばれた子供の手を引いて、兵隊たちからビルの影の路地に逃れた。
「ママが、パパが、あそこに!」
「だめ、今あそこに行ったらあなたも連れて行かれるのよ。ここで隠れてなさい。」
ナスティはそう言うと、さっきの少年の姿を探した。いた。大通りの道路の向こうに、彼は一人立っていたが、さっきと着ている服が違う。何か柔道の胴着のようなものの上に、プロテクターの鎧みたいなものをつけている。プロテクターの色は真っ赤だった。
「あのお兄ちゃん、どうしたのかな・・・・。何かのポーズを取ってる。」
純が言うように、少年は舞のような所作をその場でした。その時、虚空から桜吹雪が舞い、お囃子のような妙音が響いたのに、ナスティは気づいた。幻覚だろうか?その幻覚に一瞬気を呑まれて目を見張ったあと、ナスティは再度驚愕した。少年は異様な鎧を、その胴着の上に装着していたのだった。その色はやはり、炎のように真っ赤な色だった。
「あれは・・・・おじいさまの言っていた古代の鎧?それにしては材質は金属かプラスチックみたいな感じね。」
ナスティが言うのに純もうなずいた。
「ロボットみたいだね。すごいや、あれで戦うのかな。」
「そうみたい。あ、虎だわ。横にいるのね。近侍とかいう動物なのかしら?」
と、ナスティが様子を見ていると、少年の後ろに四人の別の少年たちの影が現れた。少年たちは赤い少年に次々に声をかけた。

「遼、先に来ていたのか。水臭いぞ。そういう事は、夢学習の場で打ち明けるべきだった。」
「そうだそうだ。俺たちもテレビを見て駆け付けたんだぜ。」
「秀はまだいいよ。僕のいる萩ではこっちの地方ニュースは映らないからね。迦雄須の導きがなければここまで飛んでこれなかった。」
「伸、おまえだけではないぞ。私のいる仙台でもだ。道場を出たとたん迦雄須の霊に呼び止められた。」

ナスティは目を丸くした。全員遼と呼ばれた少年と同じようなカラフルな胴着を着こんでいる。それぞれ青に橙色に緑に水色だった。
「あれも・・・彼の仲間なの?」
「そうみたいだね。やったぞ、五色そろって戦隊ものだ!行け行けー!」
純は拳を振って応援をはじめた。彼らは見たところ、祖父の言っていた「古代の鎧」を持つ救い人に見えた。ナスティは不安げに上空を見上げた。雷鳴はあいかわらずとどろいている。そして、人々を乗せた戦船は次々と上空の黄金の城へと吸い込まれていく。しかし、少年たちも次々と鎧を「装着」していた。ナスティの耳には彼らの「武装!」という叫び声が聞こえた。彼らの姿が全員変わったのを見計らって、ナスティは言った。
「鎧を全員つけたみたいね。これで世界は救われるの?」
ナスティに純は答えた。
「そうだと思うよ。だってさ、僕の知っている特撮ものだと、必ず勝利するんだよ。」
「でも・・・・・大丈夫かしら。見たところ普通の少年たちみたいだったし・・・。」
「え、でもそういうのがすごいヒーローに変身するんだよ?」
「そうだといいけど・・・・。」
ナスティの不安な予感は的中した。黒雲に乗って、少年たちに相当するような四人の戦士が現れたのだ。彼らは少年たちよりも大人風だった。そして見るからに強そうな鎧を身につけていた。ナスティはお約束どおりの展開にくらくらした。
「ええ?もう敵が・・・・!」
示し合わせたように現れた強敵。敵の男たちは、手にした武器を構えて口をそろえて言った。

「阿羅醐様、小童(こわっぱ)どもが現れましてにございます。」
「左様、四百年前と同じように・・・・。」
「いかほどになさるおつもりか?」
「我ら四魔将、この場で小童どもを血祭りにあげて御覧に入れましょう!」

四人の武将然とした男たちが口々に言うのを聞いたのか、上空の虚空に恐ろし気な白髪の甲武者の巨大な鬼首の幻影が現れた。鬼首は牙の生えた口で笑って言った。
「ふふふふふ・・・・四魔将、はやるでない・・・・まずは五人をばらばらにして、一人ずつその首を集めるのだ・・・・。鎧を確実に奪うために、やつらを散らせ・・・・。」
「承知!」
答えるなり、四魔将と呼ばれた男たちは地上の少年らに向かって飛び降りた。それはまさに激突だった。
四魔将は朱天童子・悪奴弥守・螺呪羅・那唖挫と呼ばれる四人の武将の男たちによって成り立つ妖邪のグループだ。彼らは先ほど現れた鬼首の首領である阿羅醐に仕えている、忠実な部下である。しかし何時から彼らが阿羅醐に仕えているのか、またどうして阿羅醐を主君として頂いているのかについては、彼らの記憶には定かではない。その事について考える事はないのであり、阿羅醐に取り立ててもらえる事のみが彼らの生きがいであった。そして各々四人の中でなんとかして抜きん出て、阿羅醐から褒美をもらう事ばかりを考えていた。それは戦国時代の武将たちの在りようにそっくりであった。
まず鬼魔将・朱天童子は烈火の遼に邪鬼鎌でとびかかった。長い鎖の鎌は、遼の持つ双炎剣の二振りの剣に勢いよくからみついた。
「危ない!」
見ていたナスティは肝を冷やした。遼の剣は今にもからみついた鎖で折れそうだった。それをからくも遼は跳ね飛ばした。しかし闇雲に朱天に向かって両手に持つ二本の剣を振りまわしており、とてもうまく立ち回っているようには見えなかった。
他の者たちもそれぞれ魔将と対峙していた。一番うまく剣をさばいているのは、緑の鎧を着ている少年だった。それは伊達征士という少年で、彼は故郷の仙台で剣道部に所属しているのである。だから遼よりは剣の使い方が巧みであった。しかしそれでも、対峙している闇魔将・悪奴弥守の黒狼剣の前には、歯が立たない様子だった。
「おにいちゃんたち、がんばってー!」
「負けないで、そんなやつらに!みんなを助けて!」
ナスティと純は必死に声援を送っている。と、その時ナスティたちの周囲に妖邪の兵隊たちが忍び寄ってきた。遼の目にそれが入った。彼は朱天を攻撃しながら、そちらに向かおうとした。
「危ない、逃げろーっ!」
遼は叫んだ。ナスティたちに駆け寄って、妖邪兵を遼は次々と斬り伏せた。その遼に向かって朱天は邪鬼鎌を斬と振り下ろした。
「くぅぅうっ!」
ナスティと純をかばって、遼は呻いた。烈火の鎧に大きく傷が入った。
その時仲間たちの鎧が激しく明滅しだした。何かが呼応した様子だった。と、見る間に五人の鎧は宙に浮いた。
「あれは・・・・?!」
ナスティは五人の上空に浮いた鎧の中心に、一人の雲水が錫杖を手に立っているのを認めた。長い白髪をなびかせた青年だった。いや、もっと年をとっているのかもしれない。年齢不詳の男だった。その雲水の男は錫杖を持ち上げると、天を指差し、一振りした。
その瞬間鎧たちは色鮮やかな光の玉と化し、それぞれ四方八方へと飛び退(すさ)った。それは目にもとまらぬ速さだった。雲水の男は言った。
「今、それぞれの地に放たれた・・・・・。その地から更なる力を得、次なる試練を乗り越えるのだ・・・。行け、サムライ・トルーパーたちよ・・・・・。」
ナスティは思わず聞き返した。
「サムライ・トルーパー?」
すると上空の雲水がナスティの方を見た。雲水は手で印字を切るとナスティに言った。
「お頼み申す・・・・。そこの御婦人。彼らを探してくださるか・・・。」
そして軽く頭を下げると、見ているうちに姿をゆっくりとかき消した。それにつれて、ナスティの周囲にいた妖邪兵たちも次々と姿を消した。ナスティは当惑した。
「え?お頼み申すって・・・・?彼らはどこに消えてしまったの?」
純は不満げに言った。
「あのお兄ちゃんたち、僕らを助けてくれないんだ。」
「そうね。今助けてくれようとしたのだけど・・・。あのお坊さんはどうして彼らを消してしまったのかしら?何か理由があるのかしら。」
「あの人、たぶん味方だよ。そして、お姉ちゃんに何かを頼んだみたいだ。」
「そうね、頼まれてしまったわね・・・・。」
ナスティはいったん千石大学に戻ることを考えた。阿羅醐城の異様な城はまだ上空にあった。ナスティは空を見上げながら言った。
「怪獣映画みたいに自衛隊が来て、なんとかしてくれるかしら。とにかく、大学に戻っておじいさまに会いましょう。何か知っていると思うから。」
「お姉ちゃん、僕どうすればいいのかな・・・・。僕、名前、山野純。」
「私はナスティ柳生って言うの。そうね、私と一緒に行きましょう。純くんの御両親とまた会う方法を考えましょう。ここにいてもらちはあかないわ。」
「う、うん・・・・・。」
純はナスティにうなずいた。その時、純の顔を何かがぺろりとなめた。
「ひゃっ、何なに?あ、さっきの虎だ。」
純の横に遼が連れていた虎の白炎が来ていた。ナスティはうれしそうに言った。
「この虎、人を襲わないのね。賢い虎ね。一緒に連れて行った方がよさそうね。」
「うん、そうしよう。あのお兄ちゃんの居場所をこいつがわかるかもしれない。虎も野生動物だから、鼻が利くと思うんだ。」
「そうね。」
ナスティと純は人通りが絶えた大通りを歩いて、駐車していたパジェロに乗り込んだ。それが長い旅の始まりだった。
その頃阿羅醐城の中では阿羅醐の前で地霊衆と芭陀悶が平伏していた。阿羅醐は鬼首の鎧武者で、大広間の金屏風の前に陣取っていた。芭陀悶と呼ばれる年老いた僧侶は言った。
「阿羅醐様、鎧がそれぞれ飛び立ちましてにござります。」
「よい。それぞれの座標に迦雄須自らが配置しおったわ。儂が考えることと同じ事を、やつが自分からした。それでよい・・・・。ふふ。ふはははは!」
阿羅醐はそう言うと、まさに鬼のような顔で笑った。

ナスティが千石大学に戻ると、祖父はパソコンの前に座り、何か操作していた。
「おじいさま、新宿が!」
とナスティが言い、今までの経緯を説明すると、祖父は言った。
「新宿の事は残念だった。やつらを阻止できなかったのは無念と言うよりほかない。見なさい、自衛隊もお手上げだ。」
祖父が示すテレビ画面に、自衛隊の哨戒機が阿羅醐城の黒雲に次々と飲み込まれて墜落していくのが映った。ナスティは驚いて祖父に言った。
「あれは一体何なのです?」
「あれは妖邪界と呼ばれるものだ。次元の断層から生み出された、人の負の怨念が凝り固まってできたもの・・・・・。そこに鎮座しているのが阿羅醐城だ。中には阿羅醐と呼ばれる物体が巣くっている。」
「阿羅醐・・・・・。」
「阿羅醐というと仏教用語で、仏僧の食餌(しょくじ)と言った意味だ。仏僧とは阿羅漢(あらはん)のことで、そしておいしい食べ物を醍醐味と言うじゃろう、その字を書く。しかしそれはおそらく当て字だ。インド天文学の羅喉星(らごうせい)の羅喉から来ていると見た方がいい。『羅喉、九曜星の一番目。本尊、大日如来。方位、南東。胎蔵界曼荼羅では南。この年に当たるときは大凶。他行すれば災難あり。また損失あるいは病気、口説事あり。慎むべし』とある。計都星と対になって災厄をもたらすとされている星だ。これはインド神話ではラーフのことであり、ラーフ(羅睺)は転じて『障害をなすもの』の意味で、ラーフラ(Rāhula)(羅睺羅、らごら)として釈迦が息子に名づけたといわれる。ラーフはインド天文学では月の昇交点のことだ。」
「おじいさま、それじゃ・・・。」
「おまえも嘘だと思いたいじゃろう。わしもそのような古代神話がそのまま新宿に現出しているとは思っておらん。誰かその神話学を利用した者がいるのだ。それが阿羅醐なのだよ。」
そこで祖父はパソコンのエンターキーを押し、画面に和歌の文字を呼び出した。
「この和歌だが・・・・。彼ら古代の鎧とどうやら関係があるようなのじゃ。彼らの鎧の居場所を隠したものとみて間違いない。どうしてわしがこの和歌を入手したかは聞かないでくれ。さる人物からメールで送られてきた。」
「それは、阿羅醐ではないのですか?」
「ではないと思いたい。その人物からわしもいろいろな情報を今まで得て来たのだ。彼は阿羅醐の出現を預言し、人々の無関心さを嘆いていた。彼は阿羅醐側の人間ではないだろうと思う。」
祖父が呼びだした和歌は次のようなものだった。

巻き水 なる遠く 遥か君がため
菜摘む 我をぞ   不死忍ぶ
光咲く秋   宝塔 手にせし
おお 雪山 埋もれし ふゆ う
空の流れに 身をひたしつつ

祖父は言った。
「あの赤い鎧の虎を連れた少年はおそらく、『烈火』の鎧だろう。烈火は陰陽五行説では火の属性だから朱色で、四季では夏を表す。この『菜摘む』は『夏』、『不死忍ぶ』の不死は『富士山』のことではなかろうか。というのも、昨日から富士山の火口からかすかに噴煙が上がっているという情報が出ているのだ。富士山は休火山で今は活動はほとんどしていないのだが、阿羅醐の出現で何かが起きたのかもしれん。」
「では、おじいさま。富士山を見に行った方がいいという事ですね?」
「そうだ。そこに烈火の鎧の少年は飛ばされたのかもしれん。行ってみる価値はあるじゃろう。彼らは阿羅醐を滅ぼすために遣わされた者たちなのだ。」
ナスティは立ち上がった。
「今は少しでも可能性のある事をしてみる事が大事です。おじいさま、私これから純くんと一緒に富士山に行ってきます。」
「そうしてくれ。」
ナスティは純とパジェロに食料と水を積み込み、乗り込んだ。
東京から富士山の麓までは一日がかりだった。途中、車に積んだミニテレビでナスティたちはニュースを聞いていたが、あの阿羅醐城に対して日本政府はできうる事は何ひとつないようであった。また、消えてしまった人々もどこに行ったのか皆目見当はつかなかった。
目指す富士山には御殿場口から駐車場に停めて、歩いて登ることになった。この騒ぎで観光地には人はいなくて閑散としていた。冬山のこともあったのだろう、人はほとんどいなかった。ナスティたちはそれなので、白炎をふつうに車から降ろして歩かせることができた。白炎は不思議なことに、腹をすかせることがなかった。ナスティはドッグフードをたくさん購入して車に積んでいたのだが、白炎はそっぽを向きそれを食べようとはしなかった。
「この虎、ふつうの虎じゃないみたいね。」
と、ナスティが言った時、白炎の体が急にむくむくと大きくなった。そして、その背をナスティと純に向けて座った。
「これ、もしかして僕たちに背中に乗れって言ってるのかな・・・?」
純がおそるおそるその背に乗ってみた。白炎はなおも動かず、ナスティも乗るのを待っている。ナスティはこわごわ純の後ろに、その背中に乗ってみた。そのとたん、白炎は一声高く吠えると、猛スピードで山道を駆け登り始めた。ナスティは驚いた。まるで車なみのスピードだ。道なき道を、白炎はサバンナのように走っている。
「もしかして火口まで行ってくれるの・・・・?あそこに、あの消えた少年がいるのかしら?」
ナスティは背中にしがみつきながら思った。
「きっとそうだよ。この虎は、おにいちゃんたちの居場所をわかっているんだ。」
純が答えた。と、風景が後ろに流れるように消え去り、ナスティが気がつくと彼らは富士山の火口付近にまで来ていた。まるで手品を見ているみたいだった。
「あの鎧に関連しているから、こういう事が起きるのかしら・・・・・?」
と、ナスティが言った時、噴煙が上がっている火口の向こう側に、煙に紛れてよく見えないが、大きな人馬の人影が動いた。誰かがそこにいるようだ。
「あれは、烈火・・・?」
とナスティが思った時、純が叫んだ。
「危ないっ!伏せて!」
人馬から鋭い鎖の一撃が、ナステイたち目がけて襲ってきた。二人は石ころだらけの地面に転がって難を逃れた。相手は腕を出して叫んだ。
「女!やつらの手先か。その白炎を連れているところを見ると、やつらの仲間だな!我は鬼魔将・朱天童子!」
煙が晴れて、鬼魔将の姿が見えた。鬼のような兜をかぶった戦国武将みたいな男だった。兜の下からは総髪が見えている。手には大きな鎖鎌のような武器を持っていた。その顔は兜のフェースガードに覆われてよくわからないが、青年であるらしい事はわかった。朱天は叫んだ。
「貴様らを囮にして、烈火をおびき出す!」
言うが早いか、ナスティたちの足元の地面から鎖の束が幾筋も現れた。
「ああっ!」
ナスティと純は地中から伸びた鎖に捕らわれて、動けなくなってしまった。朱天は二人に近づいて来た。不敵な笑みが口元に浮かんでいる。朱天はナスティたちをがんじがらめにさらに鎖で縛ると、こう言った。
「ふふふふふふ・・・・飛んで火に入る夏の虫とはこのことだな・・・・。貴様らをこれからあの火口につりさげてやる。やつはあの火口の中にいるに違いないのだ。」
「火口の中にいるって、どうしてわかるの?」
「烈火とは火の属性の鎧。だから、やつには火がエネルギー源になるのだ。ふつうの人間なら耐えられぬところを、やつはそうではない。しかしおまえたちはふつうの人間だな?」
「何をしようと言うの?」
「鬼だ、おまえは!」
二人が口々に叫ぶのに、朱天は兜の中の目を細めた。
「そう、我は鬼・・・・、人としての心はとうに捨てた。そんなもの、何の足しにもならぬ。今から烈火に、それを証明して見せてしんぜよう。」
朱天はそう言うと、二人の体をひきずって火口の舳先にまで来た。
「さあ、人柱だ。せいぜい私の役に立つがいい。」
と、二人を火口から突き落とそうとしたその時だった。誰かが叫んだ。
「朱天!そうはさせないぞ!」
火口からものすごい勢いで天高く火柱が立ち上った。その先に、烈火の赤い鎧をつけた少年、真田遼が立っていた。そのまま一回転ジャンプして、遼は地上に降り立った。
その時ナスティたちの体にも、火柱から落ちた火の粉がふりかかった。ナスティたちは悲鳴をあげたが、遼は二人と白炎の体に巻き付いた鎖を、その両手の双炎剣で断ち切った。
「大丈夫か?」
ナスティはまばたきして、遼を見た。鎧のフェースガードに守られてよく見えないが、純粋な瞳をした少年に映った。ナスティは言った。
「あ、ありがとう。あなたは・・・。」
「俺の名は真田遼。白炎、二人を守るんだ。」
白い虎の白炎が一声吠えた。
朱天はその様子に苛立ったようだった。
「小僧、ちょこざいなまねを!阿羅醐様の前に鎧ともども引っ立ててくれるわ。もとはと言えばその鎧も我らのもの。」
朱天の言葉に遼は眉をひそめた。
「俺の鎧が入用なのか?確かにこの鎧は、迦雄須から譲り受けたもの、もともとこの地上にはないものと聞いている。」
「そうだ。貴様の鎧と俺のこの鬼魔将の鎧は、もとはと言えば同じひとつのもの。それがばらばらに分かれたものなのだ。」
「なに?」
遼が動揺したと見て、朱天はうれしそうに言った。
「ほう、知らないのか。そんなことも知らずに戦っていたのか?もともとは同じ鎧だからな、その鎧もマグマエネルギーなどという、暴虐な力を動力源にしている。見ろ。女どもがおまえを避けているぞ。」
確かに遼の烈火の鎧は今ものすごい熱を放ちだしていて、ナスティたちはその近くからじりじりと遠ざかろうとしていた。
「遼、なんだかその鎧、危険に見えるわ・・・・。」
とナスティも熱さに呻いて言った。
「熱い。おにいちゃん、熱いよ。」
純も泣きそうな声で言った。遼は打ち消して言った。
「そんなはずはない。俺たちの鎧は正義の鎧だ!」
朱天は高笑いして言った。
「ならばその力、妖邪力に陥らずに使ってみろ。できまい?もともとは悪の鎧だからな。」
「そんな事は嘘だ!朱天、貴様を許さんぞ。」
「やってみろ、烈火!」
朱天は邪鬼鎌を大きく振り回して、烈火目がけて一撃を放った。遼は双炎剣で鎌を受けて高く飛び上がった。朱天に打撃を上空から加えるべく、烈火の鎧の足の力で滑空した。それは遼の思い通りに操ることができるのだった。そういう不思議な『鎧ギア』であった。
「あれだけの熱を放っているのに、中の遼は平気なのね。どういう事なの?」
と、ナスティは見ていて言った。
「ふつうなら生きておれないはずだわ。」
純がナスティに答えた。
「あの富士山の火口に入っていたんだもん、ふつうの鎧じゃないよあれは。きっとメカだよね。」
「そうだけど、どうして戦国時代みたいな鎧なのかしら・・・・。」
「作った人が戦国時代の人だったんだよ。」
「そんなこと、ありえないわ。」
「だって昔の鎧だっておねえちゃん言ってたよね?」
「ええそうだけど・・・・。」
朱天と遼は激しく戦っている。と、遼の烈火の鎧がきしみながら、激しく明滅しだした。何かおかしい。遼は戦いを早く終わらせるべく、「必殺技」の双炎斬を見舞うべく双炎剣の両方の剣を蒸着した。ふたつの剣が合わさり、一本の大きな両刀の剣となった。
遼は叫んだ。
「双炎斬―――!」
印を切り、遼は朱天に向かって、かねてから迦雄須に伝授されていた必殺技を繰りだした。しかし対する朱天も必殺技を仕掛けてきた。
「紅雷閃―――!」
ふたつの必殺技が合わさって激突し、富士山の頂上は大きく鳴動した。
「いけない!噴火してしまうかも!」
ナスティは叫んだ。富士山の大噴火だけは起こしてはならない。地上にどれだけの被害が及ぶかわからない。
「遼!その鎧を暴走させてはだめ――っ!」
ナスティは地上から声の限りに、上空で朱天と対峙している遼に向かって叫んだ。遼はからくもナスティの叫びを聞き届けた。
「はっ、ナスティ・・・・。そうか、俺の心が!」
迦雄須は鎧を生かすも殺すも、己れの心次第と遼に言った。遼は目を堅くつむり叫んだ。
「烈火の鎧よ、我が怒りを鎮めたまえ!」
そして、双炎剣を遼は空中で手放した。剣は遼の目の前で空中静止している。朱天はその様を見て、手を打って喜んだ。
「なんだ?戦いを放棄するのか?面白い。ただの鉄の塊になったか。」
そして必殺技の紅雷閃を見舞おうとした。しかしその時、烈火の鎧からすさまじい冷気が放たれた。さっきと真逆だった。
「なにっ?なんだこれは?火の鎧のはずがっ。」
朱天は吹雪に押し流され、そして双炎剣がものすごい速さで空中を流れて来たのを避けられなかった。
「うわぁぁぁぁぁぁ――!」
朱天は双炎剣の一撃で吹っ飛び、その体は薄れて雪の中でかき消えた。おそらく妖邪界に強制送還されたものと見て間違いなかった。
純は天を指さし、叫んだ。
「おねえちゃん、雪が。」
ナスティはほっとして答えた。
「そうね。富士山がまた休火山に戻っていくわ。烈火の力ね。」
二人の目の前では粉雪が降り積もっていた。と、上空から烈火の鎧の遼が静かに降りて来た。地上に降りたとたん、遼の姿は元のトレーナーにジャンパーのラフなスタイルに変わった。おそらく鎧ギアの装着状態がオフになったのだった。朱天を敗退できたので、鎧が消えたらしかった。遼は代わりに手に輝く「仁」の水晶玉を持っていた。
「その玉であの鎧を・・・・?」
と、ナスティが言うのに、遼は苦笑して言った。
「そうなんだ。昔話の南総里見・・・。」
ナスティは手をたたいて目を輝かせた。
「南総里見八犬伝ね!それと同じような玉!」
「そ、それだ。よく知ってるな。」
「伊達に大学生じゃないもの。君はまだ中学生かな?」
「そ、そうだけど・・・。」
「これからよろしくね。君の仲間たち、集めないといけないんでしょう?あの江戸時代のお話みたいに?」
ナスティがいたずらっぽく言うのに、遼は照れたように言った。
「う、うん。一人では無理・・・・かな。」
「うん、一緒に探しましょう。私はナスティ柳生。」
「おねえちゃん、それがいいね!僕、山野純!」
三人と白炎は富士山を後にした。東京へ帰るパジェロからの帰路、顧みた富士山は、元の薄く雪化粧をした冬山の姿に戻っていた。

天空海闊

天空海闊

90年に発行したサムライトルーパー同人誌の未完小説のリライト作品です。はじめからリライトします。元の同人誌は紛失したので、私の記憶で書きだすことになります。元はBL要素のある当麻遼でしたが、今回その要素は減らした作品になると思います。テレビシリーズのあらすじに、プラスアルファで戦国時代の過去世が入ったものとなる予定です。小説版の公式のものでは、過去世は古代と平安時代でしたので、それとは違う作品になります。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • アクション
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-08-28

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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