誇大妄想について

かつて全てのすべてだった十代のみなさまに捧げます。

誇大妄想について

たいしたことのない終末期をキラキラしたお目目でみつめていた。要するにはじまりか終わりがあれば中身は何でもよくて、騒いでいるけど、うれしいのか怒っているのかすらわからない、あごがガクガク震えて過呼吸になっている時間、知らないあいだに、ぼくは、天使にでもなっているのだろうか。なんか、羽がでかすぎて飛びにくい。開いたままの窓に引っかかった。ちょっと汚れて、傷がついた。
いつかきみが消滅してくれる。
そのためだけにぼくは生まれてきたからね。
涙の数だけ弱くなっていく。一粒づつにぼくの存在が投影されていて、心臓から遠く離れて消えていく。乾燥でからだがぱりぱりになって、崩れていく。傷口が開いて、爪がはがれて、でも痛くないっていうのは正直言って不気味以外の何物でもない。時間が止まったせいで巨大な像になったよ。はだかのままでずっと、泣いている。泣いているのに時間が止まっているのは、やっぱりへんだ。きみの感情なんかは、そのあたりで腐葉土に変わっていく。ぼくはきっと、重心を体の外においてきてしまったにちがいない。いまや、世界のすべてがぼくなんだね。爆発しそうな重苦しいうっとうしさと、後戻りできないほどの後悔と、やりきれないくらいの興奮と、ぼくのからだから引き剥がされた恍惚が部屋に充満して、熱帯夜の扇風機にかき回されていた。そう、空気だ。窒息死寸前、必要以上に広い自室で言葉を打ち込んでいます。こんなことでつみほろぼしができるくらいなら、最初から「暁烏さん。」なんて存在しなかったよ。

誇大妄想について

誇大妄想について

窒息死寸前。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-08-25

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