思い出
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外ではノイズのような蝉の声があたりに響き渡っている。
小蠅がたかる生ゴミが鎮座するカビ臭い台所の床にしゃがみこみ、シンク下の収納からそっと取り出した出刃包丁の刃を見つめる。
身体を突き破りそうな程にどくどくと鳴る心臓の音がうるさい。
包丁の柄を両手でしっかりと握る。鼓動はこんなにも高鳴っているのに、頭の中は恐ろしいほどに冴え渡っている。切っ先を自分の下腹部に当て、深呼吸をする。
ああ、蝉って1週間で死ねるんだ。羨ましいなぁ。
思い出
外ではノイズのような蝉の声があたりに響き渡っている。
小蠅がたかる生ゴミが鎮座するカビ臭い台所の床にしゃがみこみ、シンク下の収納からそっと取り出した出刃包丁の刃を見つめる。
身体を突き破りそうな程にどくどくと鳴る心臓の音がうるさい。
包丁の柄を両手でしっかりと握る。鼓動はこんなにも高鳴っているのに、頭の中は恐ろしいほどに冴え渡っている。切っ先を自分の下腹部に当て、深呼吸をする。
ああ、蝉って1週間で死ねるんだ。羨ましいなぁ。
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