思い出

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外ではノイズのような蝉の声があたりに響き渡っている。

小蠅がたかる生ゴミが鎮座するカビ臭い台所の床にしゃがみこみ、シンク下の収納からそっと取り出した出刃包丁の刃を見つめる。

身体を突き破りそうな程にどくどくと鳴る心臓の音がうるさい。

包丁の柄を両手でしっかりと握る。鼓動はこんなにも高鳴っているのに、頭の中は恐ろしいほどに冴え渡っている。切っ先を自分の下腹部に当て、深呼吸をする。



ああ、蝉って1週間で死ねるんだ。羨ましいなぁ。

思い出

思い出

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 時代・歴史
  • 成人向け
  • 強い暴力的表現
  • 強い言語・思想的表現
更新日
登録日
2020-08-23

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