不整脈の嘘
刹那的な生き方になってから、
それまで見過ごしていた空や、
通り過ぎていた花が
とてつもなく綺麗だったような気がして、
いちいち立ち止まるようになってしまった
目の前にこんな綺麗な景色があったのに、
僕は今まで 何を不幸ぶっていたんだろう
何を理解されたがっていたんだろう
何を忘れたがっていたんだろうな
普遍的な優しさとか
美しさなんてどうでもいいよ
嘘には血が通ってないなんて
嘘に救われたことのないやつの戯言だろうよ
つくりかけの正義の上に
悪意の雨が降りそそぐ
その泥濘の上を歩くのが
堪らなく心地良かった
喜んで偽善者を名乗ろう
叶わない約束を交わそう
嘘のすべてを飲み下そう
君の欠落すべてを愛そう
吐き出す嘘全部が不整脈になった最期の夜も
君のうんざりするほど甘ったるい
とっておきの夢を聞かせてくれ
不整脈の嘘