(BL)好奇心。

えりな

  1. 好奇心。
  2. ー香月side
  3. 好奇心。の、先は?

幼馴染みの二人の関係がふとしたことから
少しずつ変わっていきます。

※激しい性描写はありませんがこの要素になっています。

好奇心。

「今日はさ…廊下でキスしてる奴ら見た。」


俺のベッドに座って微妙な微妙な顔をする香月を見つめる。


「なんてゆーか…見慣れると平気になるもんだよなぁ。」


呟きのような言葉と共にその視線は元あった手元に戻り、何事もなかったかのように漫画のページをめくり始める。
そんなマイペースな幼なじみを見ながら俺も黙って漫画の続きに視線を落とした。



俺とコイツは同じ日に同じ病院で生まれ、ついでに親同士も仲が良くて…と当然ながらなるであろう兄弟同然に育った幼なじみ。
性格は真逆だけどそれが心地良くて…その付き合いはザッと十六年程になる。

そして今年、俺達は揃って地元の私立高校に入学した…のだが。
そこは男子高で…しかもソッチの世界ではなかなか名の知れた上玉が揃うレベルのホモ高だったらしい。
お陰で校内のホモ率の高い事!
二年にはかなり有名な美形揃いのチームまであるらしい。

んで、ノーマルな俺とこの香月は…そんな輩を見掛ける度こんな話をしているのだ。




◇◆◇◆◇




「…でもさぁ。」


読んでいた漫画をパタンと閉じて香月が真っ直ぐ俺を見る。


「なんだよ。」


俺は一瞬だけヤツに視線を向けてまた読み掛けのトコに戻す。


「男同士のセックスって…ケツの穴でやんだろ?」


…と、イキナリの発言に苦笑い。


「…知らねぇよ。」
「あれ?棗なら知ってると思ってたのに。」


キョトンとする顔を見ながら溜め息を吐いて。


「なんで俺がヤロー同士のセックスを知ってなきゃならんの。」
「だってお前さっき告られてたじゃん。」



ギクッ。



痛いトコ突きやがる。
確かに…さっき隣のクラスのヤツに告られはしたが…。


「だから知ってるってか?」
「そう思ってた。寧ろとっくに経験済みかと…」
「あのな。」



パタン。



読み途中の漫画を閉じて机に置き、香月の座るベッド脇に移動して。


「確かに手は早ぇが男とはやらんて。」


そう言うと…なぜだか香月はホッとしたような顔付きで緩く笑った。
ベッドに座ってる香月の隣に腰を下ろしヤツが読んでる漫画を覗き込む。



ふわ…



…と、その首筋からいい匂いがして思わず鼻を近付けた。


「なんだよ。」
「ん…香月なんかいい匂いがする。」


するとヤツはクンクンと自分のシャツやらネクタイやらの匂いを嗅いで。


「由香のボディソープかな?」


そう言ってまた視線を漫画に戻した。
俺はと言えば…話が終わったってのに視線はまだ香月の首筋から外せないでいる。


なんだ…この感じ。
もしかして俺…香月にムラムラしてんのか?


知らずに早くなる鼓動。
身体の芯から沸き上がってくるような…欲望。


「香月。」


大事な兄弟同然の幼なじみの名を呼び俺は…気が付くとその身体を無意識の内に押し倒していた。


「…重いよ。」


男に押し倒されてんのになんでコイツは無抵抗なんだ?
ていうか…相変わらずの飄々具合で。


「これ、久遠から借りた本だから読んじゃわないと…」


呆れた顔して俺の手を外し身体を起こそうとする香月。
俺はヤツを抑えつけてる腕に力を込めた。


「なつ…冗談キツ…」
「ヤロー同士のセックスってケツの穴使うんだっけか?」


そう言った瞬間、組み敷いた香月の身体が固まる。


「俺もさ、興味あんだよな。」


見開いた香月の黒い瞳に自分のニヤついた顔が写り思わず苦笑い。


「香月…」


呼び慣れた名前を緊張気味に呼んで…その細い身体を壊さないように抱き締めた。

俺は…
一体なにしてんだ。


左手は…細っこい香月の両手首をひとまとめにして押さえ付けてて右手はヤツのシャツのボタンを外して肌を撫でて。


「ヤダ…っ…」


その視界一杯にはうっすらと目に涙を溜めている弟みたいに大事にしている香月の顔があって。
…なにしてんだよ、俺!


「なっ…つめ!」


聞き慣れた声からは戸惑いの色が消えず、始めたばっかのさっきから"ヤメロ"だ"ハナセ"だそれしか言わない。
…当たり前か。


「ヤダ…」
「…とか言って乳首こんな勃ってんじゃん。」


固く尖ったソレを舌で舐め上げ歯先をあてる。
その度甘い声を上げる香月は今まで抱いたどのオンナより色っぽくて…エロい。


「前に付き合ってた…年上の女にシてもらってたんじゃねーのかよ。」
「そんな…っ…ない…」


激しく上下する胸に唇を寄せ膝で香月の股間を刺激する。
…とヤツのソコはビンビンに張り詰めてて…。


「んだよ…香月のクセにこんなガチガチじゃん。」


そう言って更にソコを弄ると…香月は小さく唸り身体を何度もビク付かせた。


「…イッたのかよ。」


掴んでた手首を解放して制服のズボンを下着ごと下ろす。
あらわになったしっとりと濡れた香月の身体は…堪らなくエロい。
俺は黙って生ツバを飲み込んだ。


「なんで…っ…」


呟くような声に視線を下ろすと香月は小さく震えて唇を噛み締めて。


「ヤダ…って言ったのに…」


そう言って俺から顔を逸らした。
俺は…その香月の横顔を見ながら自分の身体から布を一枚ずつ取り去っていく。


「マジにイヤか?」


震える香月をジッと見つめながら最後の一枚を脱ぎ捨て身体を重ねる。
すると一瞬ビクッと震えた華奢な身体から…ゆっくりと力が抜けて。


「ヤダ…に決まってんじゃん…」


そう言って俺の胸に顔を埋めた。



これって…

この反応って??



混乱する頭より身体の方が冷静らしく俺は香月のシャツを脱がせながら柔らかな肌にキスをして…右手を後ろに回す。
…そして。


「痛かったら言えよ。」


そう言って…ソコをグッと押し開いた。




◇◆◇◆◇◆◇




マジ…かよ。

頭では…絶対にコンナトコに挿れられる訳がないと思ってたのに。


「いた…ぃ、なつ…め…」


ハァハァと苦しげに息を吐く香月を見下ろし舌なめずりをして。


「ヤベ…も、イきそ…」


あまりのその締め付けの良さに奥歯を食いしばった。


「抜い…て…」


頬にこぼれた涙を唇で掬い初めて知った香月の唇にそっと重ねる。


「…ダメか?」


もう今更止められやしないのに香月の耳元に唇を寄せて囁いて…頬にキスして。
すると香月は。


「…なつめだから…仕方な…い。」


そう言って自分からキスをしてきた。


「なんだよその中途半端な言い分は。」


文句を言う俺から顔を逸らした香月のアゴを掴んで正面を向かせる。
…と?
ヤツは両掌で真っ赤になった顔を凄い勢いで覆った。

だから…

この反応はなんだっつーんだよ!


「香月お前…もしかして俺の事をさ……」


言いかけてそれが満更外れじゃないって事に気付いて俺まで顔が熱くなった。


「じゃ…動くから。」


なんだか妙に気恥ずかしくてまともに顔が見れない。
それでも腰を動かし律動を始めた辺りからはお互いを見つめて名前を呼んで…数えきれない程にキスをして。


「なつ…め…!」
「かづき…っ…」


見つめ合い、名前を呼び合って俺達は同時にイッた。



‐実証‐
男同士のセックスはキモチいい。(笑)



‐END‐

ー香月side

‐香月SIDE




真っ白な湯煙に満たされた風呂場で湯舟に浸かりながらデカい溜め息を吐く。


「い…てぇ…」


一度唸ってからズリズリと身体を動かしなんとか浴槽の壁にもたれて足を伸ばして。


「女も…こんな感じなのかな。」


さっき…俺の大事な幼なじみに半ば強引にヤられた。
アイツは勘違いしてるけど俺はまだ他人とキスさえした事がなかったってのに…ファーストキスも初のセックスもがアイツだったなんて。


「…棗の…アホ。」


アノ事を思い起こして…熱くなった顔を水面に沈めた。




◇◆◇◆◇




俺とアイツは生まれた時から続く幼なじみと言う名の腐れ縁。
いつもヤツが俺を引っ張り回して一緒につるんでいた。

ところが…中学に上がってからアイツはモテ始めて、俺から見ても可愛らしいからキレイな娘まで…次から次へと取っ替え引っ替え。
その揚げ句。


『やっぱ香月以上に俺を分かってるヤツはいないもんだな。』


…そう言って笑ってから。


『香月が女だったら良かったのに。』


だとかってつまんない御託を述べる。
だけどそれは…俺にとっては嬉しい言葉だった。


そして二年になった頃から俺にも彼女が出来それなりの日々が続いて。
なのに…何故か必ず一週間で俺はその相手にフラれた。
何度も、何度も。

おかしいなと思いつつ今度は年上のヒトと付き合って…そこでショッキングな事を聞かされた。


『棗くんに…香月くんと別れろって言われたの。』



…………は?



全く意味が分かんなかった。

彼女曰く、棗が俺と別れて自分と付き合えと言ってきたらしく…俺はただただ笑うしかなくて。
でも彼女は俺を本気で好きだから断ったのだと言ってくれた。


そして…一週間が過ぎ、一ヶ月が過ぎたある日。
デートの帰りに寄った公園でそんなような雰囲気になり…俺は………


『……ゴメン。』


キスを拒み、彼女を拒んだ。

その時俺は…彼女と棗を比べてる自分に気付き、同時に女相手だと興奮しない身体だと分かってしまった。

そして…今に至る。




◇◆◇◆◇




「…んでこれだもんなぁ。」


棗が好きかどうかさえもまだハッキリ分かんないってのに…それが始まる前にレイプまがいなセックス。
それってどーよ。


「…でも……」


棗とのキスはイヤじゃなかった。
棗に触れられる事も…愛撫される事もましてやあんな…痛いコトされても。

棗だから…
イヤじゃなかった。


「でも…好きなのかなぁ?」


今だにハッキリしない自分のキモチ。
スッキリしない展開。
そして…今一番大事な事は。


「明日どんな顔してアイツに会えばいいんだよ。」


アイツの部屋を出る時、振り向かなかった俺を後ろから抱き締めて…


『香月…また明日な。』


そう言って俺の頬にキスをしたアイツ。
ギューッと抱き締めて…切なげにもう一度俺の名を呼んだアイツ。


「……どーなの。」


一人呟き俺は…熱くほてった身体をブクブクと湯舟に沈めた。




‐END‐

好奇心。の、先は?

ぼんやりと窓の外を見ている耳に授業終了のチャイムが届く。
途端、憂鬱になる。

授業が終わるのは大歓迎。
でも…ここ数日はなんだか気が重い。
なぜなら……。


ガラッ!


教室の後ろのドアが勢いよく開かれ同時に腕がツンツンと隣の奴に突かれる。


「ほら、矢木…」
「……ああ。」


机の横にかかっている学指カバンを俯いたまま引き上げ隣の奴に“じゃあな”と言って後ろのドアに向かう。
全開にされているドアのその先にいたのは…。


「香月、帰ろ?」


もう何年来もの幼馴染という名の“腐れ縁”を続けている古河棗。


「なに香月、不機嫌?」


俺は先日コイツに…無理矢理、抱かれた。


「…別に。」


不機嫌っつーかなんつーか。
弄られる気持ちよさもあったから“レイプ”じゃないけど…イヤだって言ってんのに突っ込んでこられて、それをしてきた奴に普通に会話とか相手とかできるかって話。
しかも…


「なあ…」


満員電車に乗るなり俺のケツの間にガチガチの股間を押し付けてきて。


「帰り俺んち寄ってくだろ?」


耳元で言いながら俺の前を触ってくるとか……もう、色々とさ。


「寄って…どうすんのさ…」
「決まってんじゃん…」


制服のズボンのファスナーが下されその中に棗の指が滑り込む。
本人同様、我が物顔で動く指が完勃ちの俺の先端をぐりぐりと弄り。


「セックス、するんだよ…」


低く囁いた唇が熱くなる頬に触れそのまま首筋に下りた。

満員だから誰も気づかないけどさ…ここは公共の場なんだぞ?
なのに…さ…。

ベルトが外されボタンが外され下された下着の上で完勃ちの俺のアレが扱かれる。
押し付けられてる電車のドアの冷たさと誰かに見られていやしないかと気が気じゃない…そんな焦りもあってか変な汗が出てくる。


「そう…これこれ。」
「な、に…」
「やっぱ妹のシャンプーの匂いじゃないって。」


首筋に触れる奴の鼻先がかすめるだけで感じて声がでそうになる。
それを必死に抑えていると。



【次は…】



と電車の到着アナウンスが入る。
安堵の息をもらす俺の横で“チッ”と舌打ちをした棗は散々弄りまくっていたアレを下着の中に戻し前を整えてくれてから。


「こんだけやっておけば…俺んちきて続き、シたくなんだろ?」


そういって不敵に笑った。




◇◆◇◆◇◆◇




カーテンが閉め切られまだ夕方前だっていうのに薄暗い部屋の中に引き入れられて身体から全ての布が取り去られる。
ひんやりとした空気に晒された肌に冷たい指先が触れそれが全身を這いまわるのを感じながら同時に触れる舌の感触に身震いした。


「すっげ…香月もうグジュグジュ…」
「なにその表現…汚いんだけど…」


ヤツが嬉しそうに語る“汚い表現”は満更外れじゃあない。
さっきの電車の中でされたアノ行為で俺の身体は既にそーいう状態なわけだから。


「香月ってさ…大人しそうな顔して相当エロいよな…」
「うっさい…っ!」


『お前が仕掛けてきたからだろ!』と言いたいところだが…もうそんなことを言ってる場合じゃない。
ベッドに横たえられて上に棗がのしかかる。
真っ裸の俺の身体を我が物顔で舐めまわして無遠慮に後ろに指を入れて…。


「な、つめ!まだ…」
「へーきだって。さっき…ホラ…」
「痛い!…って言って…」



グッ…



まだ解し足りない後ろを指先で開き完勃ちの硬いアレの先端を強引に突っ込んでくる。
引き裂かれるような痛みに力を込めるけど…それが逆効果だとここ最近の行為で学んだから…。


「そうそう…力抜いてろよ香月…」
「くそ…このバカ棗…」


肩で息をしながら棗が最奥に到達するのを待つ。
じわじわと広がっていく痛みに耐えながら…昨日振りの行為にナカが馴染んでいくまでひたすら待って…。


「もう、いい?」
「まだ…っ…」


根元までナカに収めた状態でゆさゆさと身体だけが揺すられる。
もう何度かこうして繋がってるから…バカな俺の身体は抵抗してる思考とは真逆に“ソノコウイ”を勝手に想像して勝手に反応をし始めた。
そんな俺の身体の変化に気付いた棗はさっきみたいな確認なんてせずに前触れもなしに腰を引き、奥へと突き挿れそこから強いピストンを始めた。


「なつ、いたっ!いた…っまだ…」
「嘘つけ、こんなドロドロのくせに!」
「やめ…!」


ギシギシとベッドのスプリングが軋み突き挿れられる痛みと覆いかぶさるヤツの匂いに思考がめちゃくちゃになっていく。
痛くて、気持ちよくて、なにがなんだかわからなくなって…
棗を抱き締めてる腕に力を込めてただただヤツにしがみついた。


「香月、香月…」


耳元で俺の名を呼び続ける声がうるさく感じ動き続けてるヤツの唇に自分のを重ねて黙らせる。
するとヤツは俺の口の中でもずっと…イクまでそうして俺の名前を呼び続けていた。



熱く火照る身体がヤツの腕から解放されてベッドの上に放置される。
濡れた身体もナカに出されたヤツの熱もそのまま。



ヤツはといえば出すだけ出してスッキリしたのか俺に背を向けて寝に入った様子で。
大きく息を吸い込んで俺は…身体の中にある全ての二酸化炭素を余さず吐き出してからゆっくりと起き上がって箱からティッシュを数枚引き出した。
重ねたそれを尻に当てて、放られたままの下着を拾い足を通して着替えを始める。
立ち上がって学指のコートとカバンを小脇に抱えた俺はベッドで寝てるヤツを見ることなく部屋を出て、虚しさとナカに出されたままのヤツの熱を抱えてここの向かいにある自宅へと向かった。

「最近なんか元気ねぇな?」


授業が終わり休憩時間にふと隣の席の山田が声をかけてきた。


「…そうか?」


昨日は結局家に帰ってすぐに風呂を洗ってお湯をはりながらナカに出された棗の精子を掻きだしてた。
毎度になったあの作業は…慣れてきたけどやっぱり苦手で何より虚しい。
なんで男の俺が…ナカに出された男の精子を自分で突っ込んだ指で掻きださなきゃなんないんだ、と。
そう思う度よくわかんないけど…なんか大事なものが疲弊していく気がするんだ。


「古河のお迎えが来るようになってからだよな?」


“古河”って名前に迂闊にも反応してしまう。


「矢木、古河と付き合ってんの?」
「…ない。」


普通に聞かれて普通に答える。
この山田はこのクラスになってからずっと一緒にいて多分、棗の次くらいには親しく付き合っているヤツだ。
だもんだから…まあそれなりに色々と分かられているような気がする。


「古河ってお前のこと好きだよな。」
「は?」
「いつも“香月、香月”ってさ?幼馴染ってもあんだけ懐かれるとちょっと怖ぇよな。」
「…はは。」


カラカラと笑うヤツを見ながら苦笑いが出る。
懐くっていうか…性奴隷?
なんか最近はそんな残念な表現が一番合ってるような気がしてならない。
笑えない俺に気付いてか山田は少し真面目な顔をしながら俺の腕を取って立ち上がらせて。


「もうすぐ古河のお迎え来るな。ちょっと席外すか?」


そう言って俺を教室から連れ出した。

廊下を進んで突き当りの階段をひたすら上がっていき屋上に出るドアの前に着く。
数段ある階段の一番上に座った山田が立ったままの俺を見上げて腕を組みジッとみつめてきた。


「…なに。」
「相談くらいのるけど?」
「は?」


いきなりの振りに驚くけど…みつめてくるヤツの瞳が真剣だから俺は。
ヤツの隣に座って膝に肘を立てて組んだ手の甲に顎を乗せて…。


「なんかさ…ちょっと色々、思考的に消化不良な感じでさ…」


そんなさわりから先日からの棗との関係の話を始めた。




幼馴染の棗が俺に彼女ができてから裏でしてたこと。


なんの前触れもなく突然俺を抱いたこと。


それから続いてる愛のない行為…などなど。




そこまで話して…こんな話を普通のヤツにして引かれないかな?
そう思ったけど結局最後まで全部話し切ってしまって。


「悪いな…気持ち悪いだろ、こんな話…」
「いや別に。」


なんとなく後ろめたくて言った声にヤツは普通に答えてくれてから。


「矢木は古河が好きなのか?」


そう言って首を傾げた。


「好きか嫌いかってとこにも上がんないんだよな、実際。」
「なんで?」
「だってさ…ぶっちゃけて言えば相当昔から一緒にいるからある意味兄弟みたいなもんだし…」
「兄弟にならレイプされても平気ってこと?」
「それは違う。でもさなんかさ…棗ってあんな感じだから許せちゃうってのかな…よくわかんね。」


…自分でもわかんないんだ。
今までもこんな風に振り回されてきてたし自分勝手なヤツに勝手なこと押し付けられたりしてたからな。
ただ今回のことで一番思うのは。


「なんでアイツが男の俺にあんなことすんのかが理解できない。」
「好きだからじゃねぇの?」
「好きならなんで大事にしてくれないんだ?」
「そんな考えを持ち合わせてないんじゃね?」
「…人としてどうなのそれは。」


出したら出しっぱなしとか。
俺を放って自分だけ寝に入るとか。
なんか…そういうのって…。


「そこに愛情を感じないんだよ。だから…便利に使われてんじゃないかって思うんだよな。」


思うところはそれ、そこ。
身体はある意味…そうなることに同意してるっぽいけど感情がついていってない。
俺はそういうこと初めてだからわかんないけど…こんな扱いは本当に嫌だと思うから。


「だから…」
「じゃあ俺と付き合ってみる?」


煮詰まってる脳にやたらと軽いヤツの声が聞こえて…って?


「は?なに言って…」
「俺はちゃんと矢木を大事にするよ?」
「え…だからなに言ってんのって…」
「だから、別にセックスしなくてもいいから俺と付き合ってみないか?」


つらつらと続けるヤツをガン見。
するとヤツは俺を真っ直ぐに見てから。


「香月。付き合ってくれ。」


そう言って俺の手を取った。

山田からの突然の告白に驚く間もなくHR開始のチャイムが鳴った。
そしてそれが終わるとほぼ同時に。



ガラリ。



いつものように教室の後ろのドアが開いて。


「香月!」


…と、棗の声がした。
あまりにいつも過ぎて周りはもうこれといった反応を示さない。
だけど俺は…そんなヤツを振り返ることが出来なくて。


「…さあ、どうする?」


山田の声に身体がビクつく。
どう…って言われても…。
さっきされたばっかのヤツからの寝耳に水の告白。
果たしてあれは本音なのか同情でなのかわからなくて…。


「香月!」


極側で聞こえた棗の声に驚いて身が竦んだ。


「帰るぞ香月。時間が惜しい。」


グイ、と腕が引かれて思わずその手を払った。


「…香月…?」
「時間って…なんのだよ。」


一歩後ずさって窓際の壁に背を付ける。
あれ…なんで俺こんな…?

目の前にいる棗の表情は驚きを通り越してしまってるようなそんな感じで、その後ろにいる山田もまた同じ風。
さっき散々山田に吐露してしまったからなんか変な勢いがついたのか?
言うつもりもないのに俺の口は止まることなくヤツに向かって動き始めた。


「棗がいう時間ってセックスするだけのことだろ!別に俺じゃなくてもいいんじゃないの?」
「は?なに言ってんだよ香月…」
「毎日毎日ヤッてさ…なのにお前は一度だって俺のこと考えてくれたことあんの?」
「なに言って…」
「男の俺が男に出された精子、自分で掻きだす虚しさとかそーゆーのお前にわかるのかって言ってる!」


一気に言って…冷静になって今の状況に気付く。
教室にはもう俺と二人しか残ってなかったからいいけど…なんていうか…なんか一気に言い過ぎた?
目の前の棗は初めて見るようなショックを受けてる的な顔をしてて。


「香月…」


俺の名前を呼ぶ棗の声がこれまた初めてなくらいに沈んでいた。

ジッとみつめてるヤツの後ろにいる山田がウィンクをしながら立ち上がって教室を出ていき…残ったのは言い切ってスッキリしてる俺と、俺にガツンと言われてショックを受けてる棗。
ここは…俺はフォローとかした方がいいのか?そう思ってたら。


「…ごめん香月…」


棗の口からトーンの落ちきった声が聞こえた。
俺は黙ったまま視線を落としてるその姿をジッと見据える。


「俺…いつもお前がなんも言わないから調子に乗ってた。」
「…は?」
「お前がなんも言わずになんでもしてくれるから…甘えてた。」
「…。」
「最初にヤッた時も怒んないでヤらしてくれて…次の日もその次もだったから…」
「それはお前が無理矢理…」


反論しかけた俺に棗の強い瞳が向けられて。


「お前は俺のモノだってずっと思ってたから…お前のことちゃんと考えてやれてなかったんだと思う。」


珍しい程静かにそう言った。
“お前は俺のモノ”
そんなの…初めて聞いた。


「いつから俺は棗のモノに…」
「物心ついた時からずっと思ってた。だから他の奴とは上手くいかなかったんだと思う。」
「そんなのお前が勝手に思って…」
「そう。だから俺はよくてもお前はダメだった。女と付き合うとか色々。」
「自分勝手過ぎんでしょ…」
「好きだ。」


怒りがふつふつと沸いてきたところで…棗が…?


「好きだ、香月。」


一度聞き逃しそうになったセリフを棗はもう一度、今度ははっきりと言って。


「ちゃんと自分の、の処理はするから…」
「そんなの当たり前だ!」
「もっと大事にするから…」
「それも当たり前だっての!」
「だから…」


カリカリしてる心ごと…その胸に抱き込まれて。


「だからゴメン…香月、俺のモノになって?」


これまた初めて聞くような優しい声でそう言って棗は俺の額にそっと唇を寄せた。
頬を添わせてるヤツの胸がドンドンと早い鼓動を刻む。
思えば。
こんな風に優しく抱きしめられるのさえ初めてなような?
散々人をいいようにしてきたヤツに…そんなことさえされたことがないとかどんんだけ!?
思い返して…なんかムカムカしてきて。


「イヤだ。」
「えっ!?」


抱き締められてる胸から外れて驚き顔のヤツをドンと突き飛ばす。
そのまま自分の席から学指コートとカバンを引っ掴んで俺は足早に教室をあとにした。

薄暗い部屋の中…ベッドに座って腕を組んで、正面に正座してるヤツを見据える。

今のこの状況は。
学校を出て家に帰ってきたところで棗に追い着かれ、玄関先での押し問答の果てにご近所さんに見られてしまうからということで俺の部屋に移動をした、というとこ。
いつもならこんな時でも棗は力押しで俺に言うことをきかせるくらいな強引さをみせるけど…さすがに今は“借りてきた猫”状態。
当たり前だよな…
告白を断った俺に強引に…なんてした日にはさすがのこの温厚な俺だってブチ切れちゃうもん。

だから…こうやって反省の正座をしてる棗を見下ろしてるわけだけど。
…てかいつまでこうしてるつもりなんだろ?

多分余裕で三十分は経ってると思う。
だけど俺も棗も未だこうして同じポーズのまま。
棗は足、痺れないのかな?
そう思ってると…ヤツは限界に達したのか手を後ろに伸ばして爪先をさすった。


「…いつまで正座してんのさ。」
「香月が付き合ってくれるまで。」
「はあ?別にいつもみたいに強引にすりゃいいじゃん。」
「しないよ。もう。」


俺の顔を見ずに返して足をポンポンと叩く仕草になんだかイジメてるような嫌な気持ちになる。
…今更でしょ。
そう思ったところで…今までずっと棗を甘やかし続けてきた自分にも責任はあるよな?ては、思うけど。
万が一ここで付き合うってことになってまた同じようなことになるのは嫌だから。
…ってどっちかというとまだ棗を信用できない自分が大半だ。
それをどうやってヤツに伝えればいいのか…。

俺のだんまりをどう思ったのか棗はグッと顔を上げてから深く息をはいて。


「どうすればいい?」


と、聞いてきた。


「『どうすればいい?』…とは?」
「だから…どうすれば俺と付き合ってくれる?」
「…だからヤだって言ってんじゃん!」


さっきからこんな調子で話が先に進まない。
…仕方ない。
やっぱり説明するしかないか。


「…仮に棗と付き合うとして…今までのことがあるから俺はきっと棗を信用できないよ。」
「大事にする!」
「だからそれを…」
「俺はずっと香月が大事だからそれは変わらない。」
「だから…」


“大事”っていうヤツにそう大事にされてないと思ってしまう俺。
きっと棗が思う“大事にしてる”と俺が思う“大事にされてる”が違い過ぎるんだな…と思って。


「…難しいな。」


そう言って俺は溜め息をついた。


「香月は深く考え過ぎなんだよ。」
「……は?」


俺の悩みを違う意味で吹き飛ばすようなヤツのセリフにイラッとする。
ヤツを見れば…さっきまでのしょげてる様子はすっかりどこかに行ってしまったようで。


「俺は香月を大事にする。だから香月は俺の側にいればいい。」
「…なにそれ棗、ケンカ売ってんの?」
「勝てるケンカはしない。」


そういって力こぶを見せるヤツに思いっきりデカい溜め息を聞かせてやった。
…全く。
コイツはなんでいつもこうなんだろ。
変なところ自信満々で変なところ繊細で。
ガンガンいくかと思えば立ち止まってウロウロしたり。
なんてアンバランスなんだろ。

真っ直ぐに俺を見て視線を逸らさない棗。
まあ…いつだってこんなヤツに引っ張られて付き合わされてここまできたんだし…。
どこか諦めにもにた感情が心を占める。

深く息をはいて天井を見上げる。

ゆっくりと下した視線を…
棗に向けて。


「…大事にされてないと思ったらすぐに別れるからな。」


そう、言った。
すると薄暗がりでもわかるくらいに破顔した棗は立ち上が…ろうとして、足が痺れてるからかまともに歩けず俺に倒れ掛かってきた。
それを抱き止めてやると棗はそれはそれは嬉しそうに笑ってみつめてきて。


「やっぱ香月だな。」


と、謎の言葉をよこして唇にキスをしてきた。

そのままベッドに押し倒されてキスの嵐を受ける。
唇に、頬に、瞼にキスをしたヤツの唇は遠慮がちに首筋に下りてクッと皮膚を吸い上げた。


「なにしてんの。」
「キスマーク。俺のっていうシルシ。」
「バカか…そんな恋人同士みたいな…」
「恋人になったじゃん、今。」


ふふっと笑いながら俺の制服を脱がせ始めるヤツに飽きれてしまう。
たった今解禁になったばっかでヤりたがるとかマジどんだけ。
そう…思っても。


「香月…好きだ、香月…」


俺の名を呼びながら身体を貪るヤツを許してしまう自分がいる。
この先もきっと、思ってる以上に色々大変かもしれないけど…棗との腐れ縁はどうやら切っても切れないみたいだから。


「まだ…俺は好きかわかんないよ…」


そう返して…いつもより優しく開かれた入口からの侵入を許し、俺だけの暴君の熱い熱いネツを受け入れた。





END/2017.3.19.

(BL)好奇心。

(BL)好奇心。

幼馴染みの二人の関係がふとしたことから 少しずつ変わっていきます。 ※激しい性描写はありませんがこの要素になっています。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 成人向け
  • 強い性的表現
更新日
登録日 2020-08-21

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著作権法内での利用のみを許可します。

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