知らないもの③

やっぱり、雪妃ちゃんだったんだ。

「私、今代御影家の父、御影俊正と申します。
皆様がたに会うのもはじめてですね。」

「けっ、今代都路家、宇治宮咲紀だ。
もう一人は今はいねえけど、今代巫家は、聖夏生。」
あの頭の良さそうな子か。

あの人はいないのか。

「夏生は、妹が少し当たりましたので、帰らせましたわ。」
私がかなり不思議そうな顔をしてたんだと思う、雪妃ちゃんは少し苦笑した。

「彩奈今から言うことをちゃんと聞きなさい。
昔にいた九尾の狐ってしってるね?妃雪様はその狐の血ついでいる。
その血はいつもいつも狙われる。それを守るために、昔のとある賢い狐が人に自分の血の子どもを産ませた。
それが私たちの先祖になる。都路・巫・御影・月神・時凪・菅生の六家系の中で数年に一人その血が濃い子どもが産まれる。
それと同様御子神にも九尾の血が濃い子どもが産まれるんだよ。
今代は全員揃うという奇跡が起こった。
彩奈、お前は命に変えてもお前の主である妃雪様に仕えなければならない。
もちろん、父さんや母さんも少しだけは血が通っているから協力する。」


なんだろう、お父さんの、いっていることがよくわからない。
命に変えても雪妃ちゃんを守る?なんで?
わからない。

「・・・てめえ、妃雪をなんでまもんなきゃなんねぇって思ってるだろ。
それはな、お前の夢にも出てきただろ。哀しみや怒りと絶望の中から救い出してくれたのが、御子神の九尾の狐だよ。」
そう言われ一気に思い出す。
あの夢を。

つらい、哀しい、淋しい、死にたい、死ねない、楽になりたい。
そんな言葉ばかりが頭を過る中で、一筋の光が差し、救い出してくれる。
それがこの御子神の狐だという。
綺麗な笑顔で笑うんだ。

「それに、御子神の者は短命。20まで生きるのもやっとなくらいだ。せめて20までは生きさせたいからこそ私らがまもるんだ。」
二十歳まで生きれないの?

「嫌なら無理は言いません。ただ、あなたの血には狐が流れているのを理解してくださいね。」
雪妃ちゃんはスッと立ち上がり窓から出て行った。
その後を咲紀くんが後を追った。

「彩奈、ごめんな、うちは分かってから言う伝統なんだよ、ごめんな。」
お父さんはそれだけ言うとわたしの部屋から出て行った。

知らないもの③

知らないもの③

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-11

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