梅雨

ごとうやゆうき

梅雨は嫌われていることを知っていた。
だから、梅雨は好かれようと雨音を変えてみた。
リンロンリンロンリンロンリン。
気づいた人は誰もいなかった。
梅雨は次に、色を変えてみた。
7色の綺麗な透き通る雨。
だけど、誰も空を見上げる人はいなかった。
梅雨は次に、匂いを変えてみた。
薔薇の様ないい匂い。
だけど、忙しく動き回る人達は誰も匂いを嗅ごうとしなかった。
梅雨は悲しくて、苦しくて何日も泣いた。
そうしたら、よけい嫌われた。
梅雨は次に、どうしていいかわからず、いったん元に戻ることにした。
そうしたら、ある子が言った。
「あぁ、私の好きな音色が帰ってきた。私の好きな色が、匂いが帰ってきた」
その子は、満面の笑顔で傘を片手に外に出た。
梅雨は、みんなに好かれることをやめた。
梅雨は、自分を好きだと言ってくれた子を見つめながら微笑んだ。

梅雨

梅雨

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-08-04

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