自分を曝けだすことは、きっと、恥ずべきことではない

あおい はる

以前、本を読むことに対する意識が変わったというエッセイを書いてから、自分の気持ちを素直に受け入れられるようになった気がします。
今まで周りの目を気にして頑なに避けていたものに、ほんとうはとても興味があって、こだわりや見てくれに縛られひた隠しにしていた本心と、真正面から向き合うようになって、わたしは気にしなくてもいいことを気にしすぎて、自分がしたいこと、好きなものを、自分自身が押し殺していたのだなと、読書以外のさまざまな面でも、わたしにはそういったところがあることを認識し、受け止められるようになりました。からだのなかで凝り固まっていたものが、少しずつ解けてゆく感じ。わたしはこういうひとでありたい、という理想ばかりを追い求め、自分のほんとうの気持ちを閉じこめていたのだと、本を読むことへの意識の変化を通じて、あらゆる方面でもそういう自分が強く根付いてしまっていたことに、気づくことができたのだと思います。
純文学を読めるのはかっこいい。
創作以外のことは呟かないミステリアスなのがいい。
中学生みたいだなぁと、今は恥ずかしながらも苦笑いをして流せるようになりましたが、以前はこの考え方がふつうで、その妙なこだわりが自分の首を絞めていたのだと、こころとからだのバランスがなんだかちぐはぐになってきた折に、自分を俯瞰的に見て気づきました。心身ともに健やかに、まいにちを楽しく生きたいわたしにとって、これはよろしくない。
好きなものを好きだと、やりたいことをやりたいと言える自分になりたいと、ほんとうに今、わたしが観たい、読みたい、聴きたいものだけを選び抜き、自分がつらく、苦しくないように工夫をしながら暮らすことを心がけるようになりました。

思えば、わたしは長年、自分を偽ることで自分を創り上げて、ほんとうの自分をきっと無意識のうちに殺して、表面だけのわたしがわたしなのだと思い込むことでなんとか呼吸をしながら、でも、気づかないうちに蓄積していたのかもしれない。からだのなかに、わたしに殺された、わたしの死体。
世の中、なかなか、自分の好きなこと、楽なことだけをして生きるのはむずかしくて、煩わしいこと、他者と噛み合わないこと、知らない間に背負っているつらいこと、苦しいこと、いろんなことがあるなかで、せめて好きなひとを、ものを、自分自身を、たいせつにできるように。
日々、一歩ずつですが、素直な自分と静かに歩みをはじめた、二〇二〇年の夏です。

自分を曝けだすことは、きっと、恥ずべきことではない

自分を曝けだすことは、きっと、恥ずべきことではない

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-08-02

CC BY-NC-ND
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