自選短歌 2020年7月
無実だと決められてから白くなり汚れることを恐れはじめる
焼売のグリンピースが転がってあとに残ったきれいなくぼみ
どっちみち食べられるからキャベツには同等である人と青虫
置き去りのスーザホーンが夕焼けを浴びて狂ってゆくグラウンド
近づけばみんな僕から逃げていく猫も小鳥も虹も夕陽も
凹凸(おうとつ)をならしていたら凸凹(でこぼこ)になっちゃうぐらい不器用でした
右ききを時に疑う字が汚いハンコが曲がる卓球が下手
飛ばないと決めた時からその鳥はペンギンとしてまっすぐに立つ
眠るたび夜へと溶けていく夢に少したましいも混じっている
それとさす指の先から泳ぎだし葉陰に遊ぶ鬼火は蛍
自選短歌 2020年7月