亡くした白


夏雲(なつぐも) 乾いたら
綿飴(わたあめ)になりそうな気がして
口を(すぼ)めてる
君が手を伸ばしては

何かを掴もうとしていた


小さなことでも
ふたりで超えれば良い筈だ
吹き出しが大きすぎて留められない
伝えたい言葉



亡くした水は日照りの仕業(しわざ)
空へ舞う飛沫(しぶき)
心ごと預けた
浮かんだ昨日に 思い出を注ぐ
亡くした夏にくれぐれも宜しく、と
(あかね)(まじな)う 君の絶筆(ぜっぴつ)
「浮かべど沈まず。揺蕩(たゆた)えど迷わず。」


時雨(しぐれ)の次 閑散(かんさん)(せみ)
(おぼ)えられない(あや)(うた)
口を(とが)らせる
君を(なだ)める為の戯曲(ぎきょく)

背伸(せの)びじゃ届かないけど


泡沫(うたかた)が好きな僕らは
しゃぼん玉を飛ばした
飛空(ひくう)する (あわ)(うす)(まく)
弾けては(ほど)けて



亡くした水は(すく)えはしない
空を(おお)白巡(はくじゅん)
思い出した軌道(きどう)
細い脚で走り出したのは何故?
亡くした夏は生命(いのち)(おぎな)えるだろう
猛暑日(もうしょび)、僕らは微笑(わら)
「音の鳴る方へ。水の落ちる音へ。」


()き始める
印付きのエピローグは

重なりそうで
重ならない 君と僕を近付けようとする


亡くした花は
亡くしたての僕に
花粉を飛ばす



「代わりに、成れれば」



亡くした昨日
亡くした夏の残響(ざんきょう)
手をかざしても眩しい 陽射しに似ている
亡くした軌道(きどう)
亡くした想いでは
誰も(かば)う事なんて出来ないと嗤う


亡くした水
空を(おお)白巡(はくじゅん)
心ごと預けた 不安はそれぞれだ
亡くした花
空を包む白い刹那(せつな)
猛暑日(もうしょび)、君の絶筆(ぜっぴつ)

「凍えても止まらず。絶えても、絶えず。」

亡くした白

亡くした白

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-07-31

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