測量について

測量について

たとえば、現在はもちろんのこと、過去にも未来にもきみが存在しない世界があったとして、そんなことを考えている時点でもう不毛だとしか思えないんだけど、そういう世界があったとしても、かわりに酸素だの窒素だのいろいろな原子がそこにいてくれるから、漠然とこわい空白部分は生まれないわけ。よかった。
物理学の領域ではパラレルワールドについて真面目に議論するらしい。生産的だとは思えないけど、そういう気分がぽんと一つあるらしい。きみがいない世界についてもいま、どこかで誰かが考えてくれているよ。きみのせいで人類は少しだけ後ろ向きになっている。きみが、だいすきな、天国のこと。感じとれたためしはないけれど、月をすり抜けた先にたしかに存在している。きみのからだに触れる誰かは、慈愛に満ち溢れたことばを投げかけて、返答を待たずにきえていくんだね。慈愛だかクワイだかわからないけど、きみにとってはそういうこととして片づけられるんでしょう。きみのせいで人類は少しだけ後ろ向きになっている。かみさまだといいね、その誰かが。

測量について

測量について

きみのせいで人類は少しだけ後ろ向きになっている。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-31

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