独憧憬
針のような木漏れ日
突き刺すは目にみえない臓器
非常口を横目に
起伏の無い道をひとり歩く
胸焼けする下書き
付箋のように殖える憎しみ
歩道橋を後目に
温い泪が現実を伝う
泡になった声が聞きたい
詐欺の全部に救われたい
澱む瞬間だけ焼き付けたい
春も夏も、秋も冬も
きのうは後の祭り
無理の羅列で今を誤魔化し
空を覆う鵲
悪質な夢は現実の裏返し
無味乾燥の笑顔、蔑み
飼い慣らした痣を慈しみ
気休め、嘘、繕い
正常は狂気と常に鏡写し
終わる瞬間だけが観たい
気休め全部を奪われて
逃げ道の全部も潰されて
厭うものさえすらも失くして
君を忘れないうちに去れたら
僕は君を愛しきれる、な
独憧憬