凪のゆくえ
背負うものが気附かないうちに積み重なり、
遂には背中に大穴が空き、
次から次へと落としてしまい、
ふたたび何かを背負う事も出来なくなってしまった
その拡がりを容赦なく吹き抜ける風が、
大した風圧ではないはずなのに、
あてつけなのか、劈くような傷みを引き連れて来る
これは何かの代償なのか
これは何かの贖罪なのか
おれはおれの周りで起こる万事をまえに
無力にもどうする事も出来ず、碌に考も浮かばず
風に曝されながら惟、傍観する事しか出来ない
ああ、このままではおれはほんとうに壊れてしまう
なけなしの良心まで食い物にされてしまう
おれがおれの敵になってしまう
蹲り、死んだように目を瞑る
後悔の渚で粼が止まり、風穴の拡がりが止まり、
凪がおとずれるのを待ちつづけていた
凪のゆくえ