現実

フィクション

自分探しをしたいと思った。でも、外国に行くお金もそんな勇気も無い。そもそも外国に行って自分が見つかるなんて思って無い。、、、ところで自分探しと言えば外国、という価値観はいつの間に植え付けられたんだろう。多分だが、結構な人が共感してくれるはず。それぐらい自分探しと外国は強く結び付いていると思う。まあ良いや、どうでも。とにかく、私は自分探しをしたい。早く自分の中のアイデンティティを確立して、芯を、軸を、確固たる自分を見つけ出して生きやすくしたい。でも、外国に行くこともなく自分を探せるのだろうか?自問自答。まずは自分探しの方法を探す。

まず、自分を探すという事はどういう事なのだろうか?どんな自分を見つけ出したいのか?それによって見つけ方が変わってくる。嘘偽りの無い等身大の、寸分も違わ無い自分を探したいのか。自分の中の可能性を探り、世界の一部であると実感できる様な、生まれて来た理由を見つけ出したいのか、とか。うーん、外国に行く人はどういう気持ちでいくのだろうか。それすらも決めずに、無心で何か一つでも掴めればいいと空に飛び立っていくのだろうか。難しい。自分探しの方法を探す事すら難しい。こんな調子で自分を見つけ出せるのだろうか。私は自分すらも見つけ出せないのか。

私は先人達に学ぶ事にした。「外国に行く」この方法はいつの間にやら植えつけられていたイメージだが、それでも自分探しの方法を探すに当たって一番の手がかりになると思う。何故外国に行ったら自分が見つかるのか、はたまた何故外国に行ったら自分が見つかると思ったのか。まず外国に行く意味。これは私が考えられる範囲で見つけた答えだが、自分が持っていない価値観を手に入れたいのだと思う。全く見た事が無い世界で言葉も通じず、常識も違う。そんな世界が飛行機で1日もかからずに行ける。お手軽な異世界転生。異世界じゃ無いけど。転生もして無いか。まあ、つまりは圧倒的な非現実で自分の今まで培って来た価値観や能力を等身大にさせられるのだと思う。自分の底の底に突き落とされた後にどうするのか。それが探していた自分って事なんだと思う。

さて、じゃあそろそろ私も自分を探しに行くとする。外国に行かない私の自分探しは非常に雑だ。自分の中のフィクションを削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削って、削り続ける。理想も信仰も嘘も履いてた下駄も削り続ける。少しでも現実に沿ってないものは根こそぎ削る。それでも残った小さい物、これが私か。リアルな私か。そうか、思ってたより何もないな。

人間は自分の持っている物を大したものだと思わないのだと思う。才能があると言われたって、自分からしたら当たり前の事で、出来る事を大層凄いとは思わないのだと思う。つまりなのだが、削った後に出て来た自分は非常に大したものでは無かった。絶望した。自分にはこんなにも何もなかったのか。と、同時に思った。削った部分には自分の中の希望が詰まっていた。今の夢、昔の夢、欲しい物、やりたい事、理想の自分。削った部分にあまり悪い事は無かった。私は今の自分に絶望した。リアルには希望なんて一切無かった。しかしどうだ、希望とはフィクションの中にあった!

長い間見てくれてありがとう。これは私が自分を探すという小旅行についての旅行記だ。自分を探すついでに希望の在り処まで見つけられてとてもいい旅行だった。みんなも良かったらやってみてくれ。自分なりの方法でいいと思う、これは私の事例であって好きにして欲しい。ちなみに私が見つけた自分については秘密だ。そもそも私の事をあまり知らないだろう?そんな君に私の絶望を読ませたくは無い。ごめんね。
ではでは、晴れて自分を見つけた私は海外へ行ってくる。お元気で、アディオス!

現実

現実

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-25

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