西瓜蛍

西瓜を食べていた。食べながら見惚れていた。無作為に種が散りばめられている断面は、蛍の群れが杏色の空を誘蛾灯に終わらないパレードを開いているように見えた。有彩色の絵の具に少しずつ水を溶かしていくように、空も頭も限りなく白に近づいていく。食べ終わる頃には、一匹残さず蛍をすくっていた。

西瓜蛍

西瓜蛍

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-24

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