依存
僕を吸った唇
よく見ると薄くて渇いていた
そんなことに気を取られる内に
優しい手のひらは
抱きしめたり
熱くなった僕の頭を冷たくさせるために揺すったりした
僕と引き離された時間がそんなに不安だったのだろうか
安心しきった目が穏やかな表情に変わり僕を見る
さっきまであんなに苛立っていたのが嘘のようにすっかり落ち着いた
それは僕に触れたからだ
この人は僕のことが好きだ
「…もうしないって決めたけど、無理。」
ヤケになったように半分笑って、また吸われた。
僕から離れることが、はたしてこの人にできるだろうか
恋人を置き去りにして、僕を何度吸いにきたことか
喜びの煙が何度立ち昇ったことか
僕に何度貢いだことか
僕を掴んで離さない体が子どものようで
ゆらゆらと不安定に大きくなったものごと包み込んで、僕も愛情を表現する
何度も何度も口付けを交わした後で、僕の体はぼろぼろになっていった。
ゆっくり記憶を反芻することで、やっと僕も眠りにつくことができる
あの人は本当に冷たかった
依存