14「僕らの終結」 第2話

今回も隼sideです。

「オイ~!隼ぅっ。お前また蓮ちゃん泣かしたんだってぇ?。」
自分のクラスに戻るとまたいつものようにコイツが喋りかけてきた
「うるせぇよ・・・金髪が・・・。」
俺は嫌そうに髪をぐしゃっとして言った
「金髪って名前じゃねぇんだけど~。
 俺にはちゃんと爽汰っていうさわやかな名前があんだよ!。」
と爽汰はぷんぷんと女の子みたいな調子でいる
「・・・おめえに本当に似合わない名前だよな。」
と小声で言った
俺はつくづく思った
にあわねぇ~
こいつのどこが爽やかなんだ
エロいしうざいし女たらしだし・・・
「・・・蓮ちゃんは。」
いきなり爽汰が深刻な顔つきで蓮の名前を口にした
その爽汰の声が俺の耳に響き
息をつまらせる
すると突然爽汰が頭をきゅっとおさえて
「・・・蓮ちゃんは・・・がんばってるよな。」
と言った
俺はいきなり何だと思った
「がんばってるって何をだよ。」
「・・・あ~・・今の境遇?ってきな~?。」
爽汰は微妙な笑顔で笑った
俺はこいつのこういうときの笑顔は好きじゃなくて
見てるとイラッとくる
「そんなの、仕方ねぇだろ。」
(いいや、仕方なくねぇよ。俺が困る。アイツが女だったら俺は・・え?)
「精神がアレなんだから・・んで体がアレで・・・。」
(違う、そんなんじゃない。なんで精神が女と男混じっててなんで体は男なんだろう)
「でもそんな蓮をさ・・支えるのが俺とお前の運命なんじゃね?みたいな・・。」
俺は最後にじっとコイツをみた
すると爽汰はにこっとまたあの笑顔で笑った
「そうだな・・。俺さ・・蓮ちゃんのこと考えると胸が苦しくなっちまうんだ・・。
 蓮ちゃんってさ、あんな感じじゃん・・・。
 俺、可哀想って言葉は嫌いだけど・・さ・・失礼だし・・・
 でも蓮ちゃんは可哀想って思う・・・蓮ちゃんはきっと毎日さ・・・
 きっと自分のこと追い詰めてるんだろうなっとか思ったり・・。」
コイツの意見は正論で俺もこんな風にいつも思ってる
俺は机に突っ伏してコイツに聞こえないように
ハァ・・と小さくため息をついた
「でも・・やっぱさ。」
俺は顔をあげて爽汰の顔を見た

「お前は強いな。」

と・・・コイツは少し涙目で言った
俺はなんだか呆然としてしまった
なんというか何にも言葉が浮かず
ぱっと思考が切れた感覚に襲われた
爽汰が「ごめん。」と言って涙をぬぐんだ
爽汰は教室から出て行った
案の定お気に入りの屋上に行くんだろうが。

「お前は強いな。」

爽汰が言ったその言葉は何度もエコーし、
俺の頭の中を心の中をひっかきまわして
ヅタヅタにする

俺は・・強くなんかない
俺は十分弱いよ、きっとお前よりも
俺はただ強がってるだけなんだよ
おまえらがさぁ弱ってるとき
誰がお前達のアドバイスしてやれんの?
誰がお前達を支えてやるの?
そういうとき俺がしっかりしてないといけないじゃん

俺はそうやってただ理由をこじつけているけど
そんなの本当の理由じゃないなんて
そんなこと分かってるよ・・・

ただ・・自分は現実逃避したいだけなんだって

自分を傷つけたくないだけ
あえてポジティブな言葉で結果答えは出さず
曖昧な表現で言葉を濁して
答えをも濁して・・

・・・いや答えなんて出せるのかも分からない
でもきっと答えはあるはずで
けれどそんなおおきな俺達のわだかまりの答えってのは
まだきっと俺達の幼い脳にはきっと見出せない
いくら数学が得意な俺だって
どんな公式を使ってどんな風に解いて
答えをだすのかなんてさ、分からないんだよ


俺はまた机に突っ伏そうとした
すると、机に水滴が落ちていて
俺はごく自然に頬に手をおいた
ひやっとした感覚が手を襲い
手に水滴がついた


「・・・はは。俺はガキかよ。」

濡れた机と手を乱暴に自分のシャツで拭き
俺はまた机に突っ伏した
俺に落ち着けといってるかのように
机はとてもとても冷たかった

でも、その冷たい冷たい机に突っ伏したって
俺の水滴は何回もこぼれ続けていた
机は俺のとても冷酷な水滴でびしゃびしゃに濡れた

14「僕らの終結」 第2話

はい、2話目も深刻でごめんなさい。
今回は隼と蓮の幼馴染の「爽汰」が出てきましたね。
「爽汰」は「ソータ」と言うあだ名なのでこれから
「ソータ」と出てきたら「爽汰」と同一人物だと思ってください

2話目について・・・

今回も隼が一人かわいそうですね
前回、私は蓮と似たような部分があると言いましたが、
実はこの作品のキャラ全部、どこか私と似たような部分を持っています
隼は私と「すべてを抱え込んでしまうこと」が酷似しています
隼は蓮とソータが大事でたまらなくて
2人の不安を取り除いてやることができない自分を不甲斐なく思っているんでしょうね

さて次回の3話は蓮sideです
次回も読んでくださいね

14「僕らの終結」 第2話

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-11

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