夏の夜について
夏の夜について
浴衣のあわせを逆にしてしまう女の子がいるらしいから、八月なんて来なければいい。夏至が過ぎてから夏の本番が襲来するような、そういった矛盾が、空を夏の夜みたいな色にして、厳密には何色なのかわからない、痣みたいな色、この例え方はなにか変だね。
ふしぎなこと。都会のマンションに暮らしていても、夏の夜だけは電気が通ってないような気がする。なのになぜか明るくて、虫とか、霊気とかが漂っている、そんな感じ。今までずっと一人でいたような、でも霊気に包まれているからこわくないような、そんな感じ。朝が来るのがおかしいんじゃないか、と。みんなずっと一緒にいたはずなのに、どうして。どうして私だけが私なの。あいまいを漢字で書こうとして、漢字を思い出せなければ、ただただふわっとした印象だけが残る。そういうことに似ている痣色の空。結局何が言いたいのかというと、君に会いたい、会えないからさびしい、ただそれだけです。
夏の夜について