夏の夜について

夏の夜について

浴衣のあわせを逆にしてしまう女の子がいるらしいから、八月なんて来なければいい。夏至が過ぎてから夏の本番が襲来するような、そういった矛盾が、空を夏の夜みたいな色にして、厳密には何色なのかわからない、痣みたいな色、この例え方はなにか変だね。
ふしぎなこと。都会のマンションに暮らしていても、夏の夜だけは電気が通ってないような気がする。なのになぜか明るくて、虫とか、霊気とかが漂っている、そんな感じ。今までずっと一人でいたような、でも霊気に包まれているからこわくないような、そんな感じ。朝が来るのがおかしいんじゃないか、と。みんなずっと一緒にいたはずなのに、どうして。どうして私だけが私なの。あいまいを漢字で書こうとして、漢字を思い出せなければ、ただただふわっとした印象だけが残る。そういうことに似ている痣色の空。結局何が言いたいのかというと、君に会いたい、会えないからさびしい、ただそれだけです。

夏の夜について

夏の夜について

痣色の空。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-20

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