リセット

リセット

なんでもかんでもがアナログをやめてほいほいとデジタルに移行していくわけで、紙の本が生き残るかどうかはともかく(懐中時計みたいに、実用性よりもデザイン性で気に入られるだけのものになるかもしれない)、停電が起こらないかぎりお前のものも俺のものになる系の未来。Back Spaceを連打すれば潔く消えていくことが素晴らしくて、未練たらたらでずるずると足を引きずっていることがかっこ悪いっていうのは、理解できないようでなぜかよくわかる。
ワイドショーで司会者が「今日中に地球は滅びるぜぇっ」て宣言したらテレビ局が散々バッシングされたまま地球は終わるね確実に。でも絶対、絶対そんなことはなく、だからワイドショーのネタは尽きない。夜行性のぼくらにとって終わるものといえばせいぜい連続ドラマの1クールか深夜アニメの1クールくらいのもので、そう簡単になんでもは終わらないよ。「ごみ箱」って書かれたフォルダに先週入れられた彼の二年後について考えるひまな時間。アナログ人間であることを馬鹿にされること間違いなしだけど、それがどうしたぼくドラえもんって開き直ってしまいたい。それなりに、それなりのみらいがあるってことがとりあえず約束されてる。科学的根拠はないけど。子どもの落書きみたいな太陽が昇る明日、夜行性のぼくらが知らないうちにまた朝のワイドショーは騒がしくなって、でもぼくも彼も今日と何ひとつ変わらないまま、人生の電源スイッチより先に人生のリセットスイッチをさがそうとするから、みなさんどうぞ安心してお眠りください。

リセット

リセット

すっごくポジティブになってみました。それがどうした。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted