そこにいるから
きょうはいつもきのうの顔をしていて
つかいふるした絶望をひきつれてやってくる
はじめはそれを持て余していたけれど
いまでは怯えることもなく、むしろ
そのすがたをみると安心してしまう
あるべきものが、きちんとそこにあることに
まるで気の置けない昔なじみのような
鎖縁の関係みたいに
わたしはそれを慎重に そして丁寧に
うすくて脆い硝子細工のようにあつかう
あるいは、わたしがそのようにあつかわれる
「わたし、ひとりでもやっていけるわ」
そう口にするのは、一体どちらが先になるだろう
だけれどわたしはもうしっている
あなたが、わたしなしでは生きていけないことを
わたしも、あなたなしでは生きていけないことを
あしたも、きょうとおなじ顔をしていることを
そこにいるから