やさしい憂い
そう言うと きみは
世界中でぼくしか気づかないような
小さなため息を ひとつついて
「でも」から始めて
飾られた真っ白な菊の花を
同じ色の指先でやさしくなでながら
「ぜんぶの病気に効くおくすりができたら
こどもたちが病死ということばの意味を知ることも
ないのかな」
と呟いた
やさしい憂い
そう言うと きみは
世界中でぼくしか気づかないような
小さなため息を ひとつついて
「でも」から始めて
飾られた真っ白な菊の花を
同じ色の指先でやさしくなでながら
「ぜんぶの病気に効くおくすりができたら
こどもたちが病死ということばの意味を知ることも
ないのかな」
と呟いた
やさしい憂い