やさしい憂い

そう言うと きみは
世界中でぼくしか気づかないような
小さなため息を ひとつついて
「でも」から始めて
飾られた真っ白な菊の花を
同じ色の指先でやさしくなでながら
「ぜんぶの病気に効くおくすりができたら
こどもたちが病死ということばの意味を知ることも
ないのかな」
と呟いた

やさしい憂い

やさしい憂い

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-17

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