仮定法

仮定法

いつか、この地球に地層があったときのこと。わたしたちがまだ人類だったころのお話。固体って言葉にはかたい印象があるけど、固体のからだをナイフで刺すとびっくりするほどやわらかい、それだけ。童話とか、そういうものになる前の人類。メ ル ヘ ン以前。
やつらはエネルギー保存則とか量子力学とかが大好きだった。でも、それらが本当はただの魔法だってことにはきづかなかった。ただいるだけになりたくなくて、年表をつくり、年表の上にいるだけになった。通り抜けていく、言語、ひかり、透明なからだ。だいたい一億年前にえらい博士が通り抜けていくものの存在に気付いて、さっそく彼は全人類を妖精に改造した。でもそれが失敗で、結局水の精も火の精も雷の精もできなくて、みんなただいるだけの妖精になった。どの妖精がかつての博士だったのか博士ふくめてだれにもわからなかったから、もうどうだってよくなって通り抜けていった。それをあなたが童話として編纂したもんですからページだけは通り抜けられなくなって、博士はページの中で忘れられて、取り残された実験器具がどうなったのか知らない! そういうこと、童話、わからない、通り抜けていく、言語、ひかり、透明なからだ、通り抜けていく、言語、ひかり、透明なからだ、通り抜けていく、言語、ひかり、透明なからだ
消えちまえクズが。
(あなたのことです)  

仮定法

仮定法

メ ル ヘ ン

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-15

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