殻
きゅっと、目をつむって、しずかに、体育座りをすると、しのび足で睡魔が訪れて、夜となかよくできればいいのにって、どうしてじぶんを責めなくっちゃならないのかって、ごちゃごちゃとかたづかない感情が、なみだをうんで、海になる。
まもられてるみたいな、気になるのに、べつになににもまもられていなくって、ただ、じぶんでじぶんを、覆う。雨音も雷も、もうちっともこわくないし、夏夜の雨がはこんでくるすずしさはしっとりとやさしいのに、それでもなにかに、おびえている。
うまれたかっただろうな。あのひぐしゃりとつぶしたパックのなかのたまごたち。ぱきゃりと割るはずだった。
ほら、ゆりかごをおもいだして。うごかない世界より、おだやかなゆれに身をゆだねるここちよさを、おもいだして。
でも、もう、かすかなゆれさえこわい。だからまた、きゅっと、体育座りで、悪夢が脳をおかすまで、つかのまのねむりにつく。
殻