私、或いはきみの横顔
ふけばゆらめくともしびのような
いつかの風景にしがみついている
それは
沿線、路地裏、高架下
如雨露をしらない孤独な花々 或いは
置き去りにされた錆びた自転車 或いは
幾度も踏み潰されたロゼット 或いは
里の景色も主の顔も
餌の在り処も知らない野良猫 或いは
憐れむような大人の眼差し 或いは
使い古した鉛筆のように
短くなった煙草の吸殻 或いは
満点の答案用紙で作られた
だれも乗れない無人飛行機 或いは
なにもしらないふたりの横顔 或いは
だれにもなれないふたりの横顔
私、或いはきみの横顔