地下鉄にて
ミキは地下鉄の窓ガラスに映る自分の顔をふと見つめた。眉間に影を見つけて、思い直す様に静かに深呼吸をした。
朝の通勤電車の中だ。後15分乗る。
何処かに自由に行けるとしたら何処がいいか。
今日は雨で車内は湿気が感じられる。
からりとした風が吹く場所がいい、とミキは思う。
ハワイの海も最高だが、北海道はどうだろうか。
花咲く丘が続く初夏の北海道。レンタカーの幌を開けて加速したら髪がなびくだろう。遠くでポプラも風に揺れている。
ミキは少し腕を広げてみる。体が宙に浮いて、彼女も風に乗り、緑の丘を巡る。
地下鉄にて