ネオテニー
夢うつつももう分からない
三十日間をあっというまと言うならそうだね
小さな尻尾を振ることだけは上手くなって
今日も聞こえるのはネオテニーの共生だ
未分化な四つ足で水槽を抜け出して
雨のアスファルトを歩いたけれど
存外、夏の空は星が見えなかった
植物が喘ぐ、吐息のような草いきれがする
東の空が暗くなっても、どうせいつかは全てが黒だ
半端な肺と鰓でどうやって息継ぎしようか
不実な試行錯誤を繰り返す
喉の奥の赤色に裏切られながら
鰭があれば 飛んでいけたかな
足があれば 逃げられたかな
のびゆく無い物ねだりは泥のようだ、と、
ネオテニー