ネオテニー

夢うつつももう分からない
三十日間をあっというまと言うならそうだね
小さな尻尾を振ることだけは上手くなって
今日も聞こえるのはネオテニーの共生だ

未分化な四つ足で水槽を抜け出して
雨のアスファルトを歩いたけれど
存外、夏の空は星が見えなかった
植物が喘ぐ、吐息のような草いきれがする
東の空が暗くなっても、どうせいつかは全てが黒だ

半端な肺と鰓でどうやって息継ぎしようか
不実な試行錯誤を繰り返す
喉の奥の赤色に裏切られながら

鰭があれば 飛んでいけたかな
足があれば 逃げられたかな
のびゆく無い物ねだりは泥のようだ、と、

ネオテニー

ネオテニー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-12

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