呼吸。

まだ月が高い。

ベランダに立って見るこの夜景を見るのは何回目だろう。
ビルが立ち並ぶ中、
僕はその群れに埋もれたようなマンションから白い月を見る。
一口、手にあるホットミルクを飲んで
つんと冷える空気を感じながら
口の中に残る蒸気を、
そっとため息と一緒にはいた。

いつからだろうか、
こうやってこの景色を見るようになったのは。

考えてみても、どうにもはっきりとした記憶はない。
いつからかは思い出せないが、たぶん、
飛んだ時に見たこの景色が
綺麗だったからなのかな。

そういえば、ここを決めたのも、
そのときだった気がする。

鴉だったかな、と思う。
その頃はよく、“鳥”として生活をしていた。
別に悪くはなかったが、
こっちの風は、流れが読みにくい。
建物が複雑に建ち並ぶこの場所は
山の風に比べ、暴れ馬のように乗りづらい。

そんなことをいろいろ思い出してると、
コップの中は底まで無くなっていたから
僕は白い月を背に、
カラカラと音を立てて中に入った。

そのまま片手でカーテンを閉めて
コップを机に起きながらソファーに腰掛ける。

こうやって人間でいる時間も、嫌いじゃない。
実際今日猫の時に野犬に追いかけ回された時は、辛かった…。
いつ人が見ているか分からないから、
下手に人に戻れないし。
結局公園のトイレに入るまで結構な距離を走るはめになった。

そのせいか、
僕が寝息をたてるまでそう時間は必要なく、
気づけば僕は、深い眠りについた。

呼吸。

書き出しだから、飽きないよう短くしました。
また続き書きます。ここまで読んで下さってありがとうございました。
また。

呼吸。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-11-11

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