空より遠い場所


線香花火(せんこうはなび)が落ちそうで
火種(ひだね)に視線を取られていた
僕の眼は 君を映さない間も
どこかで探している

ぽつんときれた()
今ではひとりで結べるよ

落とした小銭を
拾い集めていた昼下がり



空には届くかな
降り乱れる雨に伝えたい
どこかで笑う君の元へ 言葉を注いで
空へともう一度
辿り着けるのなら外連(けれん)でいい
あの幾億(いくおく)と散らばった 命を(つな)いで君に(おく)



背負(せお)われた時の温度も
小さな拍動(はくどう)も覚えている
僕の世界には無い色でも
君の世界には在ったみたいだ

吹き(すさ)び 誰かを思わせる風は
記憶よりも深い何かを

日々の中で忘れようとしていた
そんな想いを巡らせてしまう


空より遠い場所
(もた)れる壁もない暗がり
それでも笑う君を 声を忘れない
空へと続く軌道(きどう)
手繰(たぐ)った一本の糸は千切(ちぎ)れず
君と僕だけを(しば)って 引き寄せ始める




眩しく()いだ海
燃える森 崩れる崖 その全てに
君がいるような気がして

どこからかともなく
暮れを伴う君からの便りは
無音だけど
それは生きている理由になる


空には届くかな
降り乱れる雨に伝えたい
どこかで笑う君の元へ 言葉を注いで
空へともう一度
辿り着けるのなら外連(けれん)でいい
見たこともない満ち足りた幸せとは

空より遠い場所
(もた)れる壁もない暗がり
それでも笑う君をずっと忘れないよ
空へと続くから
さよならよりも遥かな約束
“また逢いましょう”

あの幾億(いくおく)と散らばった 幸せの()()ぎを君に捧ぐ



あの空は
あの空たちは ずっと 暗い闇を 光を 庇って(あお)く映す

空より遠い場所

空より遠い場所

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-07-12

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