天体観測

 わたしたちの、根幹の、ゆがみ、ふくざつに、まぼろしがゆれて、朝はもうしんだ。やさしい星には、きみのような、やさしいひとしかいないのではなく、やさしいひとがやさしいひとであるために、やさしくないひとがいて、いわば、正義と、悪、のようにあつかわれて、やさしい星のくせに、すこしざんこく、と思う。チーズケーキのことを想うと、しんぞうがはずむように、せかいのどこかにいる、好きなひとのすがたを想像して、いとしい、と感じたときに、どうか、海が、わたしの母でありますようにと祈ってる。さかなだけが、えいえんに、おかあさんのうでのなか。
 紅茶をのみながら、しらない星を、天体望遠鏡でのぞいている。
 わたしたちの、この星はきっと、そとからみると、赤茶けているきがする。錆びの色。わたしたち、いきているものどもの、ひみつごとが、すこしずつ星を、こわしていった。あの、このあたりではいちばんおおきな駅から、あるいて三分のところにある、うらないのやかたの、水晶うらないのひとが、はめつを予言していたけれど、それはあながち、はずれてはいないのかもしれない、と思いながら、紅茶にしずめた、輪切りのレモンを、ティースプーンですくいあげた。

天体観測

天体観測

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-10

CC BY-NC-ND
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