妄想写真エッセイ『キッチン』
撮影場所:実家の台所
キッチンという言葉を聞くと、吉本ばななの小説とハナレグミの歌を思い出す。だからといって、冷蔵庫の前で寝たり、ハイライトとウィスキーグラスが置いてあるわけではない。
僕の母はフィリピン人なので、出てくる料理は日本料理とフィリピン料理である。母によると、フィリピン料理は日本料理に比べて手間がかかりとても大変なのだそうだ。食材や調味料も入手しにくいのだろう。けれども、しっかりとフィリピン料理を作ってくれる。シニガン、アドボ、メヌード、ルンピア etc. どれもとても美味しい。時々、フィリピン料理と日本料理が同時に出てくることもある。肉じゃがとルンピア、生姜焼きとシニガン、鯖の味噌煮とアドボ。世界広しと言えどもこんなサービングをする料理店はなかなかないだろう。僕のおふくろの味には2カ国分の幅がある。ありがたいことだと思う。
妄想写真エッセイ『キッチン』