雨と香

降りだした雨 憂鬱な足音響く街
懐かしさに触れて立ち尽くす

可憐で儚い 甘く散った花の香
忘れるはずもない キミの残り香

雨のにおいと混ざっても
はっきりと分かるのは
まだキミへの想いが
消えていないから?

噎せ返るほど 泣いて 泣いて
さよならしたのに
今ごろになって どうして どうして
揺らぐ瞳に滲む涙

もう一度会いたいと願っても
夢ですら一度も会えなかったのに
今ごろになって どうして どうして
思い出させるの

雨の冷たさで気付く
キミと別れた日のこと

寄り添っても伝わらない体温が
戻ることのない2人のようで
ひどく寒くて 冷たい

こんなに冷たい日に
キミとさよならなんて
したくなかった

雨と香

雨と香

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-08

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