ねがう
夏をかぞえれば、またあえるのだから、それでいい。
逆?
夏をかぞえると、あえない時間のながさが、残酷だってわかる。
星型のプリンをつくって、うれしそうだったルナが、いつか月にいこうといったけど、べつに月じゃなくっても、けっきょく、いいのだった。
船づくりはすすまないし、およぎかたはわからないし、とべないし、できないことばかりをかぞえて、このゆびじゃたりなくって、かなしくなる。
あしのつめをふかい夜色に塗ったの。ルナ、なつかしそうに、つめを撫でる。
もう、これ以上願われたくない。
都合のいいことばかりかんがえている。
ねむっていたころ。ねむりからさめて大泣きした。ねむってもねむっても、おきるしかなかった。
もうすぐ、ずうっと、ねむっていられる。
月もぼろぼろ。クレーターに、うつくしい海だけがひろがっている。
あの星は、おおむかしに永遠のねむりについた。その奥から届く熱が、よわくなってゆく。
もうすぐだ。
夏がなくなったら、季節が死んだら、あえなくなるのか、かんけいなくずっといっしょにいられるのか、きめるのはぼくらじゃなくって、悲劇がだいすきな連中の犠牲になることだけが、現実だった。
ねがう