待宵の月

似非ポエム

とても綺麗なものを見た。

夕刻、日の入り頃の事。 

真東の、灰掛かった浅黄の空に、西日を映して茜に輝く雲海があった。下方は深い藍か墨色に縁取られていて。

その少し上には、穏やかに光る十四日の白い月が。

やがて空は淡く群青に染まり、雲海は影へと姿を変え。わずかに欠けた月は、蜂蜜の衣を纏って静かに煌めいた。

束の間のひととき。

とても、綺麗なものを見た。

待宵の月


(初出・2012/08/31、改編・2014/03/15)

待宵の月

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-07

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