本当は

ちひろ

「死にたいんだ。そんなこと言わないでおくれよ、って死にたいんだ。そんなこと口に出すなんてアホみたいだって笑われるかもしれないけど、死にたいんだ。馬鹿の言うことだって君は大袈裟に笑うかもね。弱虫だって上から俺を見下すかもね。ははっ負け犬だなんてそこまでは言わせないよ。死んだ後に気付くんだ。どっちが幸せだったか?ってね。そりゃもちろん先に死んだ俺の方が幸せに決まってる。先に死ねたんだ、幸せに決まってる。家族と食卓を囲んで、楽しそうにチキンを食べる笑顔の君より幸せに決まってる。だってそうだろ?ここにはチキンもケーキも蝋燭もない代わりに、なんにも俺を傷付けるモノはないんだ。そうだろう?俺の方が幸せだろう。君はこれから散々傷付くんだ。何十時間も、何十年も。そうさ、ここでは傷つくことはないんだ。何十時間も、何十年も、その先も。そうさ、どっちが幸せだ?俺に決まってるよな?なあ?」

俺は君達より先に死んだんだ。なあ、幸せだろう?

本当は

本当は

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-07-04

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