宗教上の理由・緊急外伝・真耶とコロナと神様と

儀間ユミヒロ

  1. 序章
  2. 7月5日午前更新
  3. 7月6日午前
  4. 7月6日夜(7月7日朝更新)
  5. 「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(7月8日午後更新)
  6. 7月7日昼(7月9日夜更新)
  7. 7月11日深夜更新
  8. 7月中旬某日夕方(7月15日昼更新)
  9. 7月中旬某日夕方・続(7月20日昼更新)
  10. 「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(3)ならびに7月後半某日
  11. 「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(4)

 この作品は『宗教上の理由』シリーズの続編です。何それ? という方が多数でしょうが、作者が細々と書き連ねてきた一連のラノベもどき群です。作品一覧からどうぞ。
 今回の物語は、その続編というか、同じ世界設定で描かれています。勿論シリーズの最初から読んでいただければ作者としてはこの上ない喜びですが、途中からでも楽しめるように書くことを心がけていますので、お初の方も気負わずお読みいただければ幸いです。
作品世界について
 物語の主人公、嬬恋真耶は一族の仕来りに従い、両親と離れ山奥にある天狼神社で育った。彼女は「神使」としての使命を仰せつかって産まれてきたのである。神使とは通常、神道においてそれぞれの神社が神様の使いとして崇める動物を指すのだが、この天狼神社は日本で唯一、人間の少女が神使を務める習わしとなっている。
 しかし思春期を迎えるとともに、神使としての職務から解かれた真耶。少女としての美しさを持つ真耶だったが、実は仕来りのために「女子」として育てられた「男子」だったのだ! これをきっかけに男子として生きていこうと決心した真耶だったが、女子生活に馴染みすぎていたため中学ではいったん断念。都内の両親の家に戻り、高校生活を続けながらも男子になる努力を続けたが、大学生になった今でもなお、どこからどう見ても女子にしか見えない外見と言動を保ち続けている。
 真耶の「女子大生」ライフと、ときに高校時代の思い出を交えながら物語は進む。

序章

【速報】
 木花村の玲音(れのん)洋子村長は三日、臨時会見を開き、村内のすべての宿泊施設で東京都および隣接する三県からの宿泊客を受け入れないよう要請すると発表した。
 村長は首都圏で新型コロナ感染者が急増していることを要請の理由とし、
「すでに予約が入っている場合でも宿泊施設の方からキャンセルを促してほしい、万一違約金を求められた場合は宿泊約款等に応じた金額を村が立て替える」
と明言すると共に、それによる宿泊施設の減収についても村観光協会のデータを元に導き出した平均稼働率分を金銭補償するとした。村長は、
「現状を見ればいわゆる第二波が近づいていることは間違いないというのが常識的な判断。感染者が激増している東京都およびその周辺の県からの人の流入を止めるのは村民の健康を守る立場として当然すべき行為。同時に村民の生活を守るのも首長として当然の責務。自粛要請と金銭補償を同時に行っていかなければ、covid19の撲滅はあり得ない」
とし、村独自に行っている住民基本台帳に基づいた毎月十万円の給付金制度も継続していくとした。
 都市部からのコロナ感染拡大に危機感を高めている自治体は少なくないが、具体的に対策を講じると発表したのは緊急事態宣言解除後では木花村が初となる。
(上信新報電子版 七月三日配信記事)

7月5日午前更新

 「おそと出るのこわい…」
東京はパニックに陥って、はいなかった。日毎に感染者の数は増えていく一方だというのに、政府はそれが第二波の前兆だとは頑として認めず、何の策も取ろうとしない。街の人々のなかにはとっくにただならぬ空気を感じている人も少なくないというのに。
「大丈夫よ、きちんとマスクして、お手手洗えば」
母親が必死に子どもをなだめてお出かけしようとしているが、その励ましの言葉もなにか弱々しい、そんな光景をエレベーターが空いた時に見かけて、
「はあ、子どもの方がこういうのには敏感だよなあ…」
と、苗はつぶやいた。
 桜の季節を迎えても新学期は始まらず、紫陽花の咲く頃にようやくキャンバスでの授業が開始。元々ヤンチャな校風の大学だし、そこが苗にとっては肩が凝らなくて気に入っていたところなのだが、宣言解除待ってましたとばかりに飲んで騒いでの連中を見るにつけ、
「結局こいつらマスコミの操られるままじゃねーか」
と気づいてしまい、一気に気持ちが醒めてしまった。緊急事態宣言が解除されて間もないのにまたもジワジワ増え始めた感染者。そのグラフは明らかに危険なカーブを描いていると勉強嫌いで鳴らした苗の頭でも、いや自分で考える事が癖になっている苗だからこそそれに気づいた。なのに自分よりよっぽどの進学校を立派な成績で卒業した奴らときたら。彼らは反骨精神を持っていると自覚しているようだった。マスコミは信用ならない、政治家は嘘ばかり言っているし自国の利益より他国におもねって、この日本を売っぱらおうとしている、と。
 そんな事を言ってた連中がある日、緊急事態宣言が出された途端に自粛自粛と騒ぎ出した。それはそうだろうと思った。確かに今の東京は危険だ。犬も歩けばウィルスを吸い込む、そんなところだ。従わざるを得ない、それは苗も思っていたし、実践した。
 だが、その宣言が解除された途端に彼らの行動は一変した。いったんは下降線を描いた新規感染者のカーブは上昇に転じ、衰える気配を見せないのに政府の、
「まだ緊急事態でない」
といういかにも怪しげなメッセージを怪しげなことばかり言っているはずのマスコミで聞き、それを鵜呑みにした連中が連日坂道の飲み屋街に繰り出す。
「やべーって思うけどさ、政府が大丈夫だって言ってるから安心だろ?」
「コロナ超怖い~。でも夜の街行かなきゃ大丈夫っぽいってテレビも言ってるし~」
とかなんとか言いながら。普段はマスコミは信用ならないとかなんとか言ってた奴らが同じ口で。
 (なんだよ、マスコミは嘘ばっかりじゃなかったのかよ)
呆れた気分になった苗は引き止める男子も女子も振り切って帰宅の途についた。

7月6日午前

 群馬県木花村は6日朝、15日より村外からの観光客を対象として抗原検査を行うと発表した。
 木花村は既に村内の宿泊施設を対象として休業要請および東京都をはじめとする一都三県からの予約をキャンセルする旨の要請をを行っているが、日帰り客や周辺市町村の宿泊客がコロナウィルスを持ち込むリスクを考慮して今回の決定に及んだ。
 具体的方法としては、村役場および最寄り駅と村を結ぶ村営バスの駅側乗降場に特設スペースを設け、他地域から来た観光客に無料で抗原検査を行う。陰性だった場合は当日限り有効の証明書が発行される。検査は強制ではないが、村内の主要観光施設や飲食店・小売店に陰性の証明書を持たない客の利用を断るよう要請し、既に村の方針に同意するとの回答が続々と寄せられている。
 この決定について本紙記者の「(昨日の選挙の)結果は意識しての決定か」との問いに対し担当部署は「村長の独断では無いのでそうとは言い切れないが、トップが変わらないのなら今後の方策も変わらないだろうという認識は村長も職員も共有していると思う」と回答した。
(三平新聞 電子版 6日付配信)

7月6日夜(7月7日朝更新)

 「で、真耶の清き一票はやっぱり無駄になったん?」
「なったよー。あたしんトコの区長さんいい人だし、その人ともいい関係らしいから信用できるって思ってたけど、まさかねー。友達とかは地味って言ってたけどそういう人ほどまじめに仕事すると思うんだけどなー」
「ウチの一票も紙切れなっちったよ。ウチは真耶と違う人だけどさ。だって現金十万配るってハッキリ言われたらフツー飛びつくべ?」
「あー、あたしもそれ思ったけど、でもその人と票が割れたらって心配もあったの。でも二人ぶん合わせても足りない圧勝だったね、現職の。あっごめん、お酒切れちゃった」
すっかりリアル飲み会と縁を切った苗は、あえて今こそとばかりに真耶とオンライン飲み会をしている。そして昨日の選挙の反省会をしていた。真耶は冷蔵庫から日本酒を取り出し、モニタの前に戻ってきた。
「ただいま。さっきの続きだけど、父さんは選挙は投票する事に意義があるんだから行っただけ偉いって言うんだけどさ、そうなの? うちは家族全員行くからそれが当たり前だって思ってたけど」
「そういう家の方が珍しいんじゃね? 今は。横浜の親父は仕事の絡みで応援する人がいる時以外は行かないしね。あんだよ、取引先の縁だかなんだかで一票よろしくみたいなこと。木花のおとんとおかんは毎回行ってるけど」
「だよねー。希和子さんとかも行ってたし、村の人はほとんど選挙行くからそれが普通って思ってた。それより、平気なの? 苗ちゃんち。ペンション休業するんでしょ?」
「へーきへーき、だってあるじゃん、休業補償」
「あっそうか。それにそれとは別に十万貰えるもんね。でも、なんで東京の人はそういう人に投票しないかなあ、損失を補填しますって言ってる人沢山いたのに」
「だからあ、金の欲しい奴ほど投票に行かないんだってば。ま、それが分かってたから彼女は若い世代をスケープゴートにしたんだろうよ」
「…どういうこと?」
「だからさ、彼女言ってたじゃん、若者の感染者が多いって。やたら。選挙の前から。高齢者にも感染が広がったら緊急事態出すとか何とかってのも言ってたし」
「うん。でもそれは一理あるっていうか、いや、ヘンだよ。若い人でも沢山かかったら重症な人も出るだろうし、あと家で移しちゃうかもだよ、おばあちゃんやおじいちゃんに」
「そこだよ。わざとそれを言わないで、若者が全部悪いってことにすればさ。私は高齢者の味方ですってイメージを植え付けるわけ。だって真耶は見た? 今回の投票率」
「見た見た。ひどいね。低すぎるね」
「だろ? 若者が投票に行かないからだよ。でも年寄りは行くだろ? だから感染拡大を若者のせいにしちゃえば、年寄りは、知事さんはワシらの味方じゃ、とか言って投票するわけだ」

 あー、と苗の描くカラクリに感心する真耶。それがどこまで本当かは分からないが、結果的にそう分析して矛盾しないのは確かだ。
「そしたらさあ」
真耶は言う。
「夜の街が危ないって言ってたでしょ? あれもそうなのかなあ」
「だろうね。ウチはにらんでる、そうだって」
酔いが回ってきたのかどうか、二人とも木花文法が出てきている。外国人移住者の多い村で生まれた、動詞を先に言うなどの独特な喋り方。
「ときに、真耶は分かって言ってる? 夜の街って意味」
苗が軽いジャブを出してみた。途端にムキになって応戦する真耶。
「分かるよお、イケメンのお兄さんとかキレイなお姉さんとお酒飲むとこでしょ? それで気に入ったお兄さんとかいると、どんどん高いお酒頼んで、ってカンジで」
真耶にしてはなかなかのいい回答。普段はウブが服着て歩いてるようなものだから、こういう男女のうんたらかんたらには滅法弱い。ちなみにあくまで女子目線なので、お兄さんに貢ぐというイメージをまず思い描くのは真耶らしいところ。
「でも、そういうお店にだっているでしょ? 生活のために働く人。ていうかみんなそうでしょ? 生きるために働くって」
「もち、そうだろうね。だから必要だよ。補償が。でも、だからでしょ? 彼らをスケープゴートにしたのは。彼ら夜メインの生活だから投票したくても身体がきつくて行きたくても行けないよ、昼間の投票所なんて」
そっかー、とため息をつく真耶。そしてその真耶には、もうひとつ心配があった。
「そうだよねー。でもあたしが心配なのは、新宿とか池袋とか具体的な地名出てきたでしょ? だからあれ。風評被害ってやつ」
夜の街という言葉を拡大解釈する輩は必ずいる。池袋は真耶の通う大学があるので行きつけのお店もある。そして新宿にはゴールデン街というところがある。神使としての務めでその横丁にある神社によく行くのもあるが、真耶は両親に、
「大人になったらこういうところを知らなきゃいけないよ。僕もいねちゃんも、ここにはよく通ったんだ」
込み入った横丁の奥の奥。間口の小さバーに客は真耶たちだけ。ママは齢七十を越しているだろうが、かくしゃくとしてカウンターの向かい側を切り盛りする。
「昔は丸岡…ごめんね、いねちゃん達みたいな役者の卵とか脚本家とかが日に日にやってきてさ、よく演劇論ぶつけてたもんだよ。娘さん、真耶ちゃんだっけね? 真耶ちゃんは聴いたことあるかい? 唐十郎とか寺山修司とか」
「はい、あります。というか父から本を借りました。ステイホームで暇だったらこれ読め、って。新しい視点だな、って思いましたし、感心しました」
「ああやっぱり今の子はそうなんだねえ。昔は彼らの芝居に出てる役者も通ってたし、本人もよくこの街には来てたよ。若い役者ってのはとにかく議論が好きでねえ。酒も入ってるから喧嘩もしょっちゅうで。何度表出ろ! って叫んだことか。頭からバケツで水ぶっかけてやったこともあるよ」
そんな会話をカウンターとの間にある飛沫除けのビニール越しにマスクをしながらするママの顔は、どこか寂しげだった。
 そしてもう一か所、真耶にとっては新宿でいちばん大事な場所、二丁目。
「あら、あなたもついてるものついてるのに女の子なの? でもそれがこの街では普通だから。安心してね」
男が女で、女が男で。性別なんか関係ない。そんなところが真耶には居心地よかった。
「そういうところも、新宿というだけで十把一絡げにされちゃうのかも、って思うと気が重いなあ…」
真耶はため息をつきながら、コップの冷酒を飲み干した。

「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(7月8日午後更新)

 山々に囲まれた知る人ぞ知る存在であった村が、今回のコロナ騒動における独自の対応でにわかに注目されている。
 群馬県木花村。人口三千人余りの農業を主産業とする小さな村。日本中はもちろん外国人にも人気のある観光地に囲まれた、一見恵まれた地理的条件にも関わらず、この村への観光客はそれほど多くなかった。周辺の観光地があまりに有名で魅力的なので、その中に埋没してしまったのだ。だがそれを逆手に取り、派手な宣伝をしないことで静かな環境を保ち、そのような環境に向いている施設、別荘や、学校・企業の研修・保養施設などを集めることとなる。そしてそこを訪れた人たちの口コミで新たな観光客がやってくるという形で、少しずつ村の認知度は高まってきていた。そして近年、観光客がとみに増えてきているという。
 しかし村は、今月に入ってから東京都を含む一都三県からの観光客を受け入れないよう村内の宿泊施設に要請を始め、さらには日帰り客や周辺の観光地などからの訪問者に抗原検査をする予定になったと発表した。検査は任意で、唾液を検体とするものでPCR検査より精度は低いが、この検査を受けて陰性だったという証明書を持たないと村内にある観光施設や商店のほとんどが利用出来ない。これも村からの要請にそれら施設や商店が同意したからだ。また抗原検査は結果が三十分程度で出るとはいえ、その間密を避けた野外もしくは車中で待機するなどの不利益があるので、村外からの人の流入に対しある程度の抑止力があると村の担当者はコメントしている。

 しかし、ウィズコロナという合言葉が叫ばれ、新規感染者数が増えてはいるが日本社会全体が自粛緩和の方向に動いているときになぜこのような決定を村は下したのか。実際、現地に行って取材することにした。なお筆者は現在群馬県の実家でテレワークをしているので、県外への移動にはならない事を書き添えておく。
 東京方面から木花村へ車で行くには上信越道経由でいったん長野県に入り、県境の峠を越えて(といってもトンネルが今はあるが)行くのが一番早いのだが、今回は上記の事情もあって群馬県内の峠を越えて村に入った。実家が高速道路と離れていてこちらの方がショートカットになるということもある。
 村役場は大きなロータリーに面した、風格のある建物。昭和初期に作られたということだ。木花村にはほかにも古くからの建築物が多くあり、それらを訪ねることがブームになったことも観光客の増加に一役買っているという。抗原検査は当初十五日からを予定していたが、機材等の確保が早くできたため明日にも開始する予定であるという。自分がコロナに感染しやすいようなライフスタイルをしているとは思わないが、気持ち的には正直「今日来ておいて良かった」と思った(実際、筆者の帰宅後に翌日からの抗原検査前倒し実施が村から発表された)。
 村役場の中に入り、担当者の話が聞けないかと総合案内を訪れた。突然の取材依頼にも関わらず、「どなたか必ず対応できると思いますよ。少々お待ちください」というお答え。思いのほか親切な対応に驚いた。同県からとはいえよそ者のぶしつけな取材依頼にも丁寧に応じる。これが観光客に対して抗原検査を行う、まして一都三県からの宿泊客を拒絶するという村なのか? と。
 ほどなく通された応接間は三密を避けるためドアも窓も開け放たれている。乾季は万全だが、取材の声が外に漏れないだろうかと心配にはなる。廊下を職員が普通に歩いている。そこに「のどが渇いたでしょう。お茶でよろしいですか? 熱中症はいけませんからね。アレルギーなどはございませんか? 麦茶、よろしければ遠慮なくどうぞ」と言ってお盆に麦茶の入ったピッチャーと湯呑を載せて現れた女性。突然の取材でお茶を出してもらえるとは、むしろなかなかのおもてなしではないか、と思っているとその女性はコップ一つとピッチャーを置いて、なんと、斜め向かいのソファに座ったのだ。
 その女性の正体を知って、筆者は仰天することとなる。

7月7日昼(7月9日夜更新)

 「たいくつ〜」
珍しくグダッとした様子でモニタに現れた真耶の顔。手元にはなみなみと酒の注がれたコップ。
「おいおい、昼間っから飲むとかどこのおっさんだよ。それ始めたら人間どんどん落ちていくぜ?」
「なんて事言ってる苗ちゃんの手にあるのはなーに? それ、ジュースじゃないよね、ちっちゃいカップに琥珀色で、横にお水置いて飲むジュースなんて聞いたことないなー」
「ばれたか」
「って、ツッコミ待ちでしょ? わかるよ、カップの中身見えるようにカメラまで動かしちゃってさ。スコッチ?」
「そ。スコッチのシングルモルト。ウチが知ってる中でいっちばんスモーキーなやつ。真耶のは?」
「徳島の三好ってとこの日本酒。日本酒なんだけどすっごい甘酸っぱくてパイナップルとかメロンとか、フルーツみたいな味で、でもどんなフルーツとも違うし、ワインみたいな、ってのも違うし、とにかくジューシーなの。あとラベルが可愛いんだよ、ほら。」
 再び大学が感染拡大防止のためロックアウトとなり、自宅待機を余儀なくされた真耶と苗。人のいないところを選んでウォーキングをしたりして体力の低下と体型の変化を防いではいるが、何しろ天気が不安定で外出も不便だ。
「でもなんかヘンだよね、今年の梅雨。降るとこと降らないとこがハッキリし過ぎっていうか。
「だねえ。九州とか中部地方とかでは降ってるのに関東はあんまり降らないとか。でも北関東は降ってるんだよね」
「そうそう。木花村もすごかったって希和子さんがSNSで。まーうちの村は五十ミリ越えって毎年のことだけど」

 木花村は内陸にありながら降水量の多い村だ。冬は雪がメートル単位で積もり、夏は雷雨が毎日のように降る。その量も質も周囲の町村と比べても突出している。その理由は周囲の山々に雲がぶつかって村の上空に足止めされ、さらに発達した雨雲や雪雲になるのだと考えられているが、はっきりとは分かっていない。
 そして、レーダーによる雨量観測技術が発達した結果、衝撃の事実が明らかとなった。通常「数十年に一度の豪雨」とされる時間当たり五十ミリの大雨が、木花村では毎年数度観測されていること、さらに驚いたことに、村では戦前から独自に雨量の測定を行っており、その記録によれば時間雨量が百ミリを超えることも数年に一度の頻度で起こり、また日本記録とされている二十四時間当たり千ミリを超える雨量も何度か観測されていること、さらにはそんな状態でありながら村が開かれてから水害と言えるほどの水害は一度も起きていないということ。村の担当者は、
「当たり前のことだから特に気にしていなかった」
と、気象庁からの問い合わせに回答したという。
 「まーウチら、いつどんな時でも雨は降るって思いながら育ってきたしね。遊びに行くときはピーカンでも準備してさ、ちゃんと。レインウェアをチャリの前カゴに入れて」
「無かったもんね、その準備が無駄になることなんて、めったに。だいいち雨降っててもレインウェア着て外に遊び行ってたもんね。高校んとき東京出てきて、雨の日はおうちで遊ぶってのが最初信じられなかったもん」

 これだけの豪雨地帯でありながら水害が起きない理由は、木花村全体が溶岩台地の上にあって、しかも溶岩が冷えて固まる過程が急だったために無数の穴を持ち、水を吸い込みやすい。その上の地層は周辺の火山から飛んできた火山灰でこれまた透水性が高く、それを覆う植物層は長い年月を経てふかふかになっている。このため村には川が少なく、もともと洪水が起こりにくい。だがそれでも地面が呑み込めない水は地上を流れる。だが緩やかな斜面を持つ村の地形はあっという間に水を台地の外へ吐き出してしまう。
 とはいえ、舗装道路など水を吸い込めないところもあって、そういったところは見事な川になる。そんな場面に出くわしたらどうするか、村の子どもたちは教え込まれている。
「その場で待て。無理に帰ろうとするな」
と。激流の流れる道路を無理やり歩けば流される。まして子どもの体力ではすぐさま足を持っていかれる。だからどんなに家に帰りたくても、安全な場所で収まるのを待て、と。民家に逃げ込むのも手だが、家どころか雨をしのげる場所が全然ない場所もある、田舎だから。それでもそこが安全ならば動いてはいけない。時間百ミリの雨が降ろうとも。そのためのレインウェアだろ? と。
 家自体も水害に遭いにくいようになっている。これは結果論なのだが、かつて浅間山の大噴火で大量の火山灰を浴びた経験から、もしかするともっと大量の火山灰が降ることもありうるだろうと考え、盛り土をした上に家を建てるようになったのだ。これなら火山灰が降っても家が埋もれることはそうそうない。
 そして時は流れ、この地を別荘を建てようと訪れた外国人はこのアイデアにぽんと手を打った。欧米の人々にとって日本の豪雪は衝撃であった。しかしこの村の家々は盛り土のおかげで家が雪に埋もれるおそれがない。そこで外国人たちは別荘を木組みのトンガリ屋根にし、ストンと屋根から雪が落ちて盛り土の外に溜める構造を採用した。もちろん古くからの村人の家も、茅葺きの急な屋根から雪を滑らせてそのままにしていた。だから木花村で雪下ろしは不要なのだ。

 「やっぱり、転ばぬ先の杖って必要だよね」
真耶は子どものころ、苗と、妹の花耶と、三人で豪雨に打たれながら川となった道路を見つめ、さらに雷に打たれないよう地面にうずくまっていたことを思い出していた。それも一度や二度ではなかったが、みんなこうして無事生きている。でも、
「いま水害に遭っている人たちが備えを怠っていたとかそういうことでもないと思うんだよね。だってなんか今年もそうだけど、ここ数年異常だよ、雨の降り方が」
「あー。温暖化とかも影響していいるかもしんないね。あとね、何百年に一度レベルの大雨だと対応しきれないケースって無いとは言い切れないと思うよ」
「苗ちゃん、それおかしい。何百年に一度の災害でも対応できる、人の命を守れるようにすることが個々人で必要だし、県とか市町村とかもその前提で動かなきゃだと思う」
「…あ、ごめん、真耶のこと否定するつもりはなかったんだ、言い方が悪かった。ウチが言いたいのはさ、自治体とかがしっかり危険なら危険で情報をちゃんと流せよ、ってことと、危険がせまったらどうするかってのを決めておかなきゃ、そしてそれをわかりやすく伝えなきゃ、てこと。木花村は少なくともそれが出来てる。だから大雨でも大雪でも平気。過去に大地震もあったらしいけど、一人の犠牲者も無かったって記録もあるしね」

 「つうかさ、やっぱ七夕って雨降るよね。全国的に」
「降るね。なぜか首都圏は降ったり降らなかったりだけど、雲は取れないから、天の川は見られないなー」
「ねえ、苗ちゃんは織姫さんと彦星さんに何お願いする?」
「決まってんじゃん」
苗はドヤ顔で、
「異世界転生してヒロインになる!」
ずるっ、となった真耶。
「苗ちゃん空気読も? 苗ちゃんがそういうラノベとかアプリとか好きなのは知ってるけど、ここはやっぱ水害が収まりますようにとか、コロナ撲滅とか書こうよ、短冊に」
しかし、
「なんで?」
と、真顔に戻って苗は言う。
「そんなの、織姫彦星にお願いすることじゃねーじゃん」
「なんで?」
いぶかしげに聞く真耶に、苗は一言、
「備えあれば患いなし」
はっ、と真耶は気づいた。苗って子は義務教育のころは勉強嫌いだったが、ひらめきみたいなものはすごく冴えていた。
「災害もウイルスも、人智を以て抑え込むのが現代社会の常識でしょうが。神頼み、誰か頼みじゃダメ。人間の命は人間が守らなきゃダメってこと」
「そうだよね。大雨もだけど、covid19もだよね。このところまた都内で感染者が百人越えしてるでしょ? 今のうちに対策とらないと。あたしはもう第二波がそこまで来てるって思ってるけど」
「それは同意。ま、こんな状態が続いてたらさすがに行政も動くっしょ」
「緊急事態宣言、もありうるよね」
「ありうる、というか今日明日くらいに出しても不思議じゃない。少なくとも、二百超えたら即出すと思う」
「だよね。普通そうだよね」
「うん。もしそれでも出さない、ってんだったらお偉い連中相当頭イカれてんよ」

7月11日深夜更新

「初めまして、このような形で失礼致します」
と、トレイに名刺を置いて差し出してくれたその方の名前は…。
(ネットニュース中生 配信記事 2に続く)
(ネットニュース中生は、大手メディアのような速報性では負けてもいいから中くらいにレアな話題に深く突っ込むことをモットーとするネットメディアです)

2
 「玲音洋子と申します」
玲音洋子。その名を聞いただけで筆者は仰天した。もうお気づきの方もいるだろうが、何かとお騒がせのコロナ対応を打ち出している、木花村の、村長。
 「真正面に座ると飛沫が飛びますから。私が風下に座らせていただきます」
二人がけのソファを向かい合わせた真ん中にはビニールシートが下げられ、客人への飛沫を防いでいる。そして筆者と村長は、そのシート越しに斜めでインタビューを行うこととなった。ちなみに麦茶の入ったピッチャーも二つあり、自分で注ぐスタイル。これも把っ手からの感染を防ぐ工夫なのだろう。
 しかしいかんせん、いきなり村長さんとお会い出来るとは思っていなかっただけに、何から聞こうか迷ってしまうという自称ジャーナリストらしからぬ醜態を晒しかけていた筆者。ところが、一番聞きにくいであろう事を村長の方から話し出してくれたのだ。
「政府や各自治体の首長から相当恨まれていることは承知しております。それでもやるべき時はやる、言うべきことは言う。それが首長の責務です。私に言わせれば、内閣も都市圏の各知事も、全くそれらを果たしていないし、各々の今就いている職の役目を全う出来ていない。失格です」

 木花村村長、玲音洋子。高齢多選(と言っても三期終了時点で七十歳、政治家としては決して高齢ではない)を理由に現職が立候補をしなかった前回村長選において、後継者として立候補、見事当選を果たす。その歯に衣着せぬ発言の数々で、コロナ前からネット上では賛否両論を巻き起こしてきた(もっとも木花村長がお騒がせな発言をするのは歴代の伝統でもあり、全国とはいわないまでも、地元では何かと話題になっていた)。
 しかし実際に会ってみると、思っていたよりずいぶんと小柄な人だ。それに喋り方も随分とおっとりしている。会見の映像を見ていても思ったが、小鳥のようにか細い声でぼそぼそと話しているのに、いやだからこそ、時折織り込まれる発言がより過激に聞こえるのだ。政府や都の態度を批判する声はようやく各地から起こってきているが、村長はいち早く一都三県からの観光客を拒絶した。その決断に至った理由から聞いてみた。

筆者「宿泊客の制限を決断しするときに、怖くはありませんでしたか? 抵抗とか」
村長「それは織り込み済みでした。説得するにはどうするか、どのような救済策が必要か、これは村の宿泊施設もそうですが村に宿泊予約を入れてくださっているお客様もそうですが、何かを取り上げる以上はその補償をしなければならない、これは現憲法下の行政には当然課せられたことですので、それを全うすれば理解してくれるだろうとは思っていました」
筆者「宿泊施設に休業を要請する代わりに、宿泊費を補償することも明言していましたが」
村長「すでに振り込みを始めています。観光協会の統計による宿泊施設の平均稼働率を元にした金額を月曜日に振り込んでいます。これからも毎週月曜日に振り込みを続けます」
筆者「いつ頃までを考えていますか?}
村長「最低でも、日本国内の新規感染者がゼロになるまで、これは会見で申し上げた通りです」

 小さいけれど、はっきりとした声で改めて宣言した。しかしそれはあまりに無謀ではないかと思う。ウィズコロナという言葉が叫ばれ、コロナウィルスの存在を前提に「新しい生活様式」で暮らしていこう、政府はそう呼び掛けている。それとは真逆の、コロナは制圧できる強く信じていることが伝わってくる。だが。

筆者「(新規感染者は)ゼロになるでしょうか?」
村長「当初は、ゼロの状態が最低二週間続くまでと考えていましたので、それに比べれば実現性は明らかに高まっています。現にもう少しで一桁、というところからまた三桁の感染者が毎日出るようになった自治体もあるのですから、油断はできません」
筆者「しかし、コロナの撲滅は可能でしょうか?」
村長「不可能だと決めつけてしまう限りはそうでしょうね。ですが決してあきらめない。covid19は恐ろしいウィルスですからこそ、制圧する意志が必要だと考えています」

 なんとなく煙に巻かれている気がする。質問をすっと斜に構えて流されている気がする。これが、この人の技なのだろうか。筆者はもう少しジャブを仕掛けることにした。

筆者「しかし、それでは予算が持たないのではありませんか? 各自治体の中にはそれを心配しているところも少なくありません」

 ここで、衝撃の発言が出る。

 村長「財源、財源と皆さん仰いますが、自治体は企業ではありません。ほかの政策でも言えることですが、住民の健康で文化的な最低限度の生活を維持するためになら、財源という考えは棚上げにすべきです。木花村としては、たとえ財政破綻したとしても、村民への支援を続けます」

(3へ)
 

7月中旬某日夕方(7月15日昼更新)

「はいさーい」
本日のオンライン飲み会は、いきなりトロピカル。チアリーディング部の前キャプテン、仲宗根ヒカリ先輩の登場。
「あ、先輩、はいさーい。今日もご機嫌ですねー」
「そうでも無いさー。ウチナーの基地でクラスター感染発生したりして憂鬱さー」
「あ、あれ大変ですよね。基地の中で収まるかどうか…」
ヒカリは沖縄出身。大学こそ東京だが、卒業後は沖縄に帰ると決めている。すでに沖縄の企業に内定を貰っているし、まず取り消される事はない優良安定企業だ。だがそれでも今回のウィルスが観光に打撃を与えているのは間違いないので、順風満帆と行くとは限らない。でも、
「なんくるない、人間そんな弱くないよー、乗り切るよー、景気づけにほら一杯いこー!」
なんとなかる精神を持つ人ほど、逆境には強い。ウチナーンチュとはそういう民族なのかもしれない。
 ちなみにヒカリは、大学に入ってから自分の名前を平仮名で書いていた。上京してきたときにたまたまそこで選挙があって、候補者の名前が一部平仮名なのを見て驚いた。「ヤマト(日本「本土」)では名前を平仮名で書くんだ!」と。沖縄でも選挙の候補者が名前が難しい漢字だったりすると仮名に変えたりするが、片仮名を使うのが普通なのだ。だからヒカリは、沖縄以外の日本では名前を平仮名で書くのが普通なんだと思い込んだのだという。幸い住民票などは出した後なので、平仮名で名前を書くのは主に学校のテストなどだったが、最近ようやく、そんな決まりはないことに気づき、以後片仮名を使うようになっている。

 チアリーディング部は、今年度から新たな試みを始める事にしていた。着ぐるみのキャラクターを導入して、より親しみやすい大学としてのイメージを広げることに貢献するというものだったが、一番の活躍しどころである大学野球を始め、様々な活動の場がウィルスによって奪われてしまった。真耶も本来であれば着ぐるみ操演の指導ならびに操演者役として大活躍しているはずだった。真耶の友人でチアリーディング部の現部員である千夜子が、真耶の着ぐるみ界での活躍を知っていて当時キャプテンだったヒカリに相談したところ、是非にということで実現する、はずだった。

 「こんばんはー。明るいうちから飲むなんて後ろめたいですねー」
噂の千夜子がログイン。
「なんでよ。昼から飲むのはウチナーなら普通のことさー。暑い時にはビールが進む。ゴーヤとかミミガーに合わせると最高さー」
ひかりは沖縄の定番ビールを机に置いて、今か今かと乾杯の時を待っている。千夜子も後ろめたいとか何とか言いつつも氷を満杯に入れた金属のボウルに甕を浸して準備万端。本格的な生マッコリだ。
「この酸味がいいんですよねー」
「あー、美味しそう」
真耶が羨ましがる。

 「行きたいなー、沖縄も、韓国も…いやダメダメ、今は行っちゃダメ」
真耶が自分をいましめるように首を振る。
「行っちゃえば?なんか安く旅行出来るんでしょ?政府のキャンペーンで」
千夜子は簡単にそそのかす。もちろん真耶がそんな一言で考えを変えないと分かっているから。
「そうだけどね。でも、政府は旅行させたいみたいだけど、今東京から旅行に行くとさ、なんか行先の人たちに悪い気がして」
真耶らしいというか何というか、この子は人に迷惑をかける事を嫌がる傾向が強い。それは良いことなのだが、真耶の場合は「神様の使い」だという自覚が強いせいか、その気遣いが日本中、さらには世界中に及んでしまうところがある。でもそれは言い換えれば社会への問題意識が高いという事であり、社会学部生としては必須のものを持っているとも言える。
「でも、そうすると観光地の人たちって困るんじゃない? お客さん来なければやっていけないよ」
千夜子が真耶の善意に疑問を投げかける。正解が無いのも社会学の、いや文系学問の面白いところであり、永年多くの学舎たちを悩ませて来たところだ。そして真耶も、悩んでしまう。
「うーん、それはそうなんだけど、だからってcovid19を持ち出す可能性の高い場所の人間が、のこのこ地方に出かけていいのかなって。東京より少ないじゃない、専用の病床数も。そうだ、ヒカリ先輩どう思います? 沖縄は観光立県だし」
突然振られたひかり。だが、ちょっと考えて答える。
「確かにねー。観光客が来ないのはでーじ痛いよ、ウチナーの経済にとっては。でもcovid19が広まるのは困るし。もっともいまは米軍基地から広がってるからそっちの方が大変かも」
「でも、そこに東京から人が来たらもっと感染する人が増えるかも…」
「それはあるかもねー、そんでもぬち、命を守るにはお金も必要さ。だけど、うちの両親も観光とは関係ない仕事だし、私も関係ないとこに就職するし、万が一内定取り消しなったらオバアのトコ行って魚取って暮らすし。観光という枠の外の人間だから、私は。無責任な子とは言えないよ」
なるほど、確かに沖縄県全体が観光でもっているところはあるから観光客の減少は困りごとだろうが、直接観光に関わった仕事でないのなら実感で語ることは難しいかもしれない。
「実際観光に携わってる仕事の人に聞いてみないと分からないんじゃない? こういうのの本音って。テレビとかでも伝わらない、本音ってのは」
千夜子も言う。千夜子の両親は北海道に住んでいるが、札幌市内で観光とも関係ない仕事。まして札幌は普通に大都市なので余計実感は薄い。だが千夜子は続ける。
「もっとも、地元でもホテルで働いてる友達なんかは売り上げ下がって困ってるとは言ってるね。でもそれと引き換えに感染リスクを取るかって言ったら悩みどころだって言ってた。北海道は感染拡大の苦い経験があるからなおさら警戒心はあるかも、ってアタシも当事者じゃないから断言できないけど」
その子はもうすぐ始まる観光復活のキャンペーンが始まるが、期待半分不安半分と語ったという。でも千夜子は断言した。昔からの友達だからわかる、明らかに怖いものを見聞きしたときの声色だった、と。
「そういうの聞くと、やっぱりためらいますね、旅に出るのを」
真耶はがっかりしたような顔で言う。本当は真耶も旅行好きだから行きたいのは山々。でも自分が都民であるという足かせをはめられている事も重々承知している。それでも。
「でも真耶ちゃん、アタシのお友達はそうかもだけど、そうじゃない意見もあるかもよ。やっぱり当事者の話をもっと聞いてみないと。フィールドワークで」
フィールドワークというのは社会学の研究手法のひとつで、研究対象に研究者自身が入り込んでその実情を見るというもの。だが、それには旅行をしないといけない。堂々巡りになってしまう。
「当事者がいればいいんだけどね、観光業界の」
「呼んだ?」

 「苗ちゃん? いきなり、どうしたの?」
「いきなりじゃないよ、さっきからいたよ」
真耶と苗は幼なじみの大親友だが、大学も違うし本来ならヒカリや千夜子と接点は無い。だが真耶と苗がサシでオンライン飲みをしているところに、ヒカリや千夜子が飲もうと言ってくる事も多い。そんな時、いま別の子と飲んでるからと断るのも野暮だしそもそも真耶が断れるはずもない。そこでヒカリが一言、
「だったらみんなで飲めばいいさー、あしび仲間は多い方が楽しいよー」
あしびとは遊びの事。ウチナーではヤマトのあそびより広く意味が取られていて、みんなで飲んで踊ってというのも、「遊び(あしび)」になる。ともかくそんなわけで、チア部メンバーの飲み会仲間に苗も歓迎された。
 「それにしても、いつの間に…って、あっ」
千夜子が気付いた。

 「こよりがログインしました」
良く画面を見たら、そんなメッセージが画面に残っていた。どうやら、こっそりログインして様子を見ていたらしい。
 では、こよりとはだれかと言えば、千夜子の後輩のチア部員。だが身長が低かったりチアリーディングの経験が浅かったりでチームから外れることになった。だがそのひたむきでまじめな性格を買われ、着ぐるみプロジェクトのキャストとして真耶に手ほどきを受けながら活躍することになっていた。
 だが、相次ぐイベント中止でいまだ活動できず。そんな中おうちライフを続けるものの日ごとにストレスが溜まっていく。そんなこよりを心配した苗が言った。
「うち、来なよ」
苗の家は横浜山手の洋館で、実の父は不動産取引を中心とした会社の社長。お金持ちだが成金だと苗は言う。そんな父が大学進学にあたって苗のために都内のタワーマンションの最上階を借りてくれた。苗は母の暴力などによって児童相談所を経由して木花村のペンションに里子として引き取られ、のびのび育った。だからこっちの両親の方と過ごした時間の方が長いし、実の両親はこっちでいいと思っている。もっとも愛情表現の下手な実の父がせめてもの子供孝行だと思って借りてくれたマンションだから、苗は使わせてもらっているが、いかんせん広すぎる。そんなときに、こよりという真耶が着ぐるみレッスンをするはずだった子が一人暮らしで外にもろくに行けずショボンとしているのを知って、一緒に住もうと持ち掛けた。こよりは人見知りなところもあるが、ペンションで鍛えた初対面の人の気持ちをほぐすのは得意。こよりはすぐ打ち解け、アパートを引き払って苗のもとに身を寄せた。というわけで、こよりが飲み会に参加することイコール、苗も参加するということなのだ。

 「こ、こんばんは。すみません、御代田先輩がみんなをびっくりさせようって…」
こよりが、申し訳なさそうに画面に表れた。これでいつものメンバーが揃ったことになる。
「こよりんさー、苗でいいって言ってるじゃん。とにかく飲むべ食うべ。ほれほれ」
苗がさっそく酒とつまみが映るようにカメラの位置をいじる。苗がいたずらっ子なことは全員知っているのでいきなりの登場も納得といったところ。それはそうと。
「あっそうだ、苗ちゃんの家ってペンションなんだよね? どう?」
当事者の話を聞く。それが実現したラッキーとばかりに千夜子が尋ねる。だが。
「あー、さっきは当事者かと思ったけど、ウチとこは特殊かもしんない。だって」
苗は淡々と答えた。
「ウチとこのペンション、閉めてるけど、かえってお金儲かってるもん」

7月中旬某日夕方・続(7月20日昼更新)

 「なんかさー、それぞれの宿泊施設がどん位稼働してるかのデータが欲しい、って村が観光協会に頼んだらしいんだけど、とりあえずあるのはこれだけだ、って出して来たのがゴールデンウィークの平均だったらしくて。一度十連休だった年あるでしょ? こんな事滅多に無いから、ってんでたまたま思いつきでデータ取ったんだってさ」
「十連休…確か苗ちゃん言ってたよね、うちが大忙しだから帰って手伝ってくるとか、いや学生のうちは長い休みには旅をしろ、ってお父さまに逆に怒られたとか」
「そそ。だって全日満室だもん。だから無理やり強行突破で手伝ったけどね。でも別にうちだけじゃ無いよ、どこもそうだったよ。つかうちみたいなマイナーペンションが満室の時はどこも満室だよ」
「って、それをもとに計算したら…」
「そ。一年中満室ってこと。うちなんか年の半分は開店休業か、ひと組様貸し切りかどっちかなのにね。お陰でがっぽがっぽだってさ」
「でも、お得意様はどうするの?」
「それがさ、お得意様は皆様気を使って今年は予約入れて無いんだよ。ほら自分が万一感染しててウィルス持ち込んだらかえって迷惑かけるからって。その代わりにお中元でギフトカードとか、あと常連さんだとうちで使ってる消耗品とか知ってるじゃん。それを送ってくれたりしてさ。かえって悪いから、倍返しでお中元贈るつもりだってさ」
 「あ、でも、そうしたら…」
こよりが今日初めて能動的に会話に参加してきた。画面を見ると苗との間に切れ目があるので、別々のモニタを離して置いているようだ。
「食材を買ってるお店さんが困りませんか? わたしの友達の実家が農家だけど、東京のレストランと契約してたのにお客さんが少ないからって野菜が大量に残っちゃってるって。そことの契約に沿って定額でお金は払ってくれるみたいだけど、そうするとレストランの方は大赤字で、申し訳ないから受け取らない、いや契約だから払う、ってやり取りが毎日続いてるって言ってました」
「あーそれも手は打ってるみたいよ。食材に限らず色んなものをお客様のために買ってるじゃん。だから村内の観光関連の事業所と取り引きのある個人も会社も、村の内外関係なく買い取るんだよ、村が」
「ええーっ、それ、結構大変じゃないですか?予算的にもですけど、どの位払うか、の審査とか」
「ん?そんな事無いみたいよ」
「どうやってるんですか?」
「言い値」

「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(3)ならびに7月後半某日

 地方交付税という制度がある。これは国の徴収した税を自前の財源が不足している自治体に再交付する制度で、これによって自治体間での税収格差を縮めようというもの。それを受け取っていない木花村のような自治体は必然的に財政状態が良いと解釈できるし、それだからこそ手厚い補償が出来ているとも言える。
 だが一方で、今の村の行動に不安の声も聞こえる。それは主に村外、特に県や国の関係者からだが、特に多いのは地方交付税交付金不交付団体からの転落によって国費からの支出が増える可能性への懸念だ。しかし、村長の姿勢はハッキリしている。

筆者「財政破綻は大げさかもしれませんが、地方交付税不交付団体から転落する事はあるかもしれません。それに対する不安や批判は村内から出ていませんか?」
村長「村内には心配する声も無くは無いですが、補償を続けるべきだという声の方が圧倒的に強いですし、立場の弱い人、この場合は感染症による経済的打撃を受けている人の側に従うのが、行政の義務です。それを国が充分に行わないのであれば地方公共団体においてそれをやるしかありません。もしこの村に地方交付税が振り込まれることとなっても、それは本来国民に返すべきお金を村で建て替えていた分が戻ってきただけの事です。批判をされる筋合いはありません」
筆者「支給のための書類審査か杜撰だとの批判も、これは特に国などから出ていますね」
村長「それは承知しています。書類が不備なのに給付金を受け付けているとかいった事ですね。でも国も給付金関連業務の委託企業に関する資料に不備があることを容認しているのですから、中小企業や個人事業主の書類に不備があっても問題はありません」

 国の持続化給付金に先立って、村では独自の給付金制度をいちはやく実施した。その金額は個人事業主は最大二十万円、法人は最大五十万円プラス従業員数に二十万円を乗じた額。これとは別に個人への給付金も月十万円が、4月から毎月給付されている。
 ここでお気づきの方もいるかもしれないが、木花村に在住して事業を営んだり、住居も職場も村内である人は、二重取りの可能性がある。そこはどう考えているのか質問したところ、

村長「二重取りだなんて村民の皆様に失礼ですよ」

と、優しい声で筆者を諭した上で、

「お一人お一人について、住所と勤務地の付き合わせを行っていたら給付が滞りますから。一刻も早く生活や事業の維持に必要な資金を届けるのは、行政の責務ですから」

そして、

「役場の職員が事務手続きをやっていますので、時間が惜しいのですよ。民間委託なんてやっていたらどんどん支給が遅くなりますし、だいいちそれによって委託企業への不透明な疑惑が起きることは、国が反面教師として教えてくださった。自分達の失敗を教訓にせよという、お国の有り難い教えです」

 村長の回答には一貫して、自粛に伴う補償の重要性と、国がそれに対して及び腰であることへの批判がベースにある。このような村長の姿勢に対して村人は、そして村長自身はどう考えているのか。

(4へ)

 「真耶の望みが叶ったじゃん。都民は旅行行っても補助出ないってさ」
「そうだね。こないだあたしが言ってた通りになったね。これでだいぶ感染の拡大は抑えられるんじゃないかな」
「…真耶ちゃん、本気で言ってる?都民はダメで神奈川とか埼玉県民は平気っておかしくない?」
かく言う千夜子も千葉県民なので大きな事は言えないのだが、都民の友達が多いだけに割引を使うのは気が進まないらしい。

 選挙が終わるとともに急に締め付けが厳しくなり、彼女たちの前回のオンライン飲み会が終わったあとの数日間で、やれ都民は都外に出る事を自粛しろだの、国は国で旅行代金を半額補助するキャンペーンは都民および他地域から東京への旅行だけは対象外とするなど、次々と施策が打ち出された。これに不満を抱く都民も多いが真耶は、
「都民はそれ言っちゃダメだし言えないよ。嫉妬になっちゃうもん」
「ケッペキだなあ、相変わらず。いっそキャンペーン中止にしちゃえって思うけど、ウチは」
「それを都民が言ったらやっぱしなんつーか、道連れが欲しい的な発言に聞こえちゃうんだよ、苗ちゃん」
千夜子はそう指摘した上で、
「だからワタシが言う。一都三県は旅行の補助禁止! つか旅行禁止でもいいよ」
もっとも千夜子には、両親が北海道に住んでいるのでコロナウィルスに対してより警戒心が強いという事情もある。
「ところで佐伯いないの? 苗ちゃん家にいる引っ越したんでしょ?」
「いるよー、いるけど…」

 「熱?」
千夜子が叫んだ。だが苗は慌てて否定する。
「大丈夫、検査は陰性だったから。ほらここんとこ梅雨寒のくせに蒸す日が続いたから風邪ひいたみたいよ。うん、しっかり看病してる」
北陸の夏は案外からっとしている。フェーン現象で猛暑日がよくあるが、空気が乾燥しているので気持ちの悪い暑さではないと、こよりはよく言っていた。まあ風邪で済んだのはhukoutyuuだが、熱が出るたびにまさかと思ってしまうのは精神衛生上あまりよろしくないのは確かだ。
 「それにしても、なんで緊急事態宣言出ないんだろうね。こんなに患者さん増えてるのに」
「決まってんじゃん」
真耶の疑問に苗が即答した。
「緊急事態宣言出したらいろんな業界に自粛要請しなきゃならなくなる。でもそれには補償もセットでないとやってくれるわけがない。でも国はこれ以上お金を出したくない。そういうこと。市中感染がとっくに始まってることなんか誰が見たってわかるけど、夜の街とやらのせいにしとけば目をそらせるじゃん。どこぞの選挙でどこぞの現職知事がやってたよねそれ。公示日から投票日までずっとさ。なんか未だに夜の街のせいとか言ってるお馬鹿さんもいるらしいけど」
真耶はしばし考えたあと、
「なんか、職業差別みたいだよね」
「そうだよ。特定の誰かのせいにして自分たちの後手後手対応をごまかして、ついでに出すべきお金も出し渋って。都合の良いいけにえを見つけたよね、東京都も国も、さ」
苗が吐き捨てるように言った。国民が何人死のうが知ったことではない。国の金と自分たちの利権を守れればそれでいい。そんな心根の腐った政治家たちによってこの国は滅びようとしている。そんなことを苗は思っていた。それは大げさな話でもない。真耶も千夜子も似たようなことを思っていた。このままでいいはずないじゃないか、と。現に二月にクルーズ船がやってきたときから国内感染の予兆は見えていたのに行政は後追いの対策しかできなかった。その反省を全く活かせていない。いや、活かすつもりもなければ失敗とも思っていないのだろう。自分たちの懐が潤えばいいのだから、彼らは。

「あえて今」厳戒体制下にある木花村に行ってきた(4)

 村長「現在の状態が緊急事態であることは明らかです。それは現在とほぼ同じ感染者数で緊急事態宣言が出されたという実績があるからです」
そう断言する村長。しかし政府の見解は違っており、そこを突いてみたところ、とんでもない答えが返ってきた。

 筆者「感染者が若い世代中心であることと、夜の街など限定された場所に感染者が集中していて感染源が追えているから宣言は出さないと、政府は説明していましたが」
村長「矛盾だらけの説明です。夜の街を中心に検査をしたから陽性反応が増えたと言っていますが、他の場所、例えば病院やスポーツジム、大型商業施設やターミナル駅で集中検査をしたら陽性率は低くなるのでしょうか? そしてそれを実践しましたか? 比較対象が無いのに何故夜の街だけを対象にしたのかがまず疑問です。またこのウィルスにニ週間程度の潜伏期間があるという事は既知の事実です。ウィルスを保有する若い方々が高齢者と接触する機会は幾らでもあります。親と同居している若者は常に高齢者に感染を広げる可能性を持っているとも言えます。高齢の感染者がある時期には増えていなくても、若者の感染者が増えればその二週間以降には高齢の感染者が増えて来るであろうことはちょっと考えれば分かります。ところが、緊急事態宣言を早い段階で出した前例に今回は倣っていません。前例が無いことに対して及び腰というのがこの国の意思決定の特徴ですが、今回はどういうわけかパンデミック再来の危機が迫っているとみておかしく無いのに自粛を緩和するという、前例の無いことをやっているのですから、政府も変わって来ましたね」

 村長の政府批判は留まるところを知らない。しかもかなりの皮肉が込められている。筆者としても、もう少し突っ込んでみようと思った。

 筆者「その変化の背景には何があるとお考えですか?」
村長「例えば今回のキャンペーンは、旅の移動に使う交通機関を個人で予約すると割引の適用外になるんです。いずれかの旅行会社などを経由しなければならないと決まっているということはつまり、特定の企業に対する忖度があるんだと思います。だってそんなに観光地を救いたいなら直接観光地にお金を配れば余計な事務費もかからず、迅速に困っている観光業界の方々を救えるじゃないですか。どうして面倒な手続きを、決められた窓口で行うというしち面倒臭い上に時間もお金も無駄なことをわざわざするのか、と考えたら、特定のいくつかの個人または法人だけが突出して潤うようにするためだ、と結論付ける以外のロジックを組み立てる事が不可能なんですね」

 まさに歯に衣着せぬ発言の連続である。筆者も怯むくらいの。それでもなお勇気をもって聞いてみた。

筆者「では、国は国民の健康より特定の個人や法人の利益、ひいては政治家自身の利益を取ったという事ですか?」
村長「…いえ、そんな事はありません…」  

さすがの村長もそこまでは言えないかと思った。ちょっと意地悪が過ぎただろうか? と思った。だがその矢先、

村長「国民の健康どころか、国民の命よりも自分と自分に利益を分け与えてくれる人々の儲けを取ったというのが正解です。言い換えれば、彼らは自分たちが甘い汁を吸うために国民を見殺しにしているのです」

 過激と言っても過言どころかまだ足りない国政批判。政府から圧力があってもおかしくない位だ。しかし、村長には強い味方がいる。

 木花村議会では日本で唯一と思われる、いまの政権与党の議員団と現在もなお党綱領に共産主義の実現を謳う生粋の野党が統一会派を組んでいる議会だ。現村長は保守派の前村長の正式な後継者として、後者の党の議員から村長になった。つまり村長は政権与党とそれをもっとも過激に批判する野党の支援もとで村政を運営している。
 きっかけは消費税増税が決まろうとした際、当時は野党だった保守政党の議員団がそれに異を唱え、当時議員だった現村長たちと組んで増税反対の決議をした事だった。以来両党は互いに是々非々とはいえ強調路線を歩んできた。
 村長の発言は勿論政権与党の県連にとっては許しがたいものだ。しかし強く言えないのは、村長を支持する同党の村議団が、
「もし村長の、そして村の方針に異議を唱えるならば我々は全員離党する」
というカードを持っているからだ。木花村では長くこの二党が政権を奪い合う体制が続いていたが、つねに単独過半数を得ることはなく、会派を都度都度組むことで多数派の地位を保ってきた。しかしその両党が統一会派を組んだ今、日本を代表する保守政党の議員団が共産主義を綱領のみとはいえ捨てていない政党に合流することは間違いない。それを恐れているので、県も国もこの村に対して強く出られない事情があるのだ。

 最後に、もう一つ気になることを聞いてみた。

筆者「今回のことで、補償があるとはいえ、村の人々には抵抗もあったと思います。それに逆に村人がほかの観光地に行くことも考えられますが、これについてはどうお考えですか?」

しかし村長の答えははっきりしていた。

村長「それはありません。この村の皆さんは漏れなく賢明ですので、わざわざ危ないところに行こうとはしないでしょう。嘘だとお思いですか? それでしたら村に出てお聞きになると良いと思いますよ」

それまで厳しい表情だった村長の顔が急にほころんだ。ちなみに筆者がこのあと村で何人もの方にインタビューをしたが、皆答えは一緒だった。
「神様、仏様、そして神使様に誓って、この村から不要不急の出奔は致しません」
そして多くの人がぶしつけな質問をする筆者に対して、不快感を示すどころか、
「まあ、いらっしゃいよまた、落ち着いたら。持って帰っときなさい、今日のところは」
と言って、とれたての野菜や果物、手作りのお菓子(もちろん衛生に気を付けて作ったという)、民芸品などを下さった。正直筆者は、政府の方針に逆らう村のあり方に危なっかしさや、不快感も無くはなかった。しかしこうやってただのフリーライターにいろいろと土産を持たせてくれるこの村の人々こそ、「おもてなし」の心を持っている、そして「おもてなし」をしないことでコロナを抑え込むことも裏返して「おもてなし」なのではないか、そう感じずにはいられなかった。

宗教上の理由・緊急外伝・真耶とコロナと神様と

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covid19に翻弄される現実世界。儀間は創作の世界も社会を反映してよいと考えております。正直いまの日本はコロナウィルスに振り回され、政治家も、それを選ぶ国民もパニックに陥って正常な判断ができていないと思っています。では架空の村、木花村はcovid19にどう向かい合っているのか、ちょっとのぞき見してみようと思います。 なお、社会状況に応じて随時書き足していきます。リアルタイムノベルとでも言うんでしょうか。

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-07-03

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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