グッバイ、地球人

グッバイ、地球人

21世紀生まれは終末を拝んだことがない。JDCとかエヴァとかがいまだに手に取れる状態にあることを安堵とともに受け入れる。ほんとうは終わっているはずの人類の歴史が、もうSFの中にしか存在しないって知っているのに、いまだにそこにある不可解を、生まれた時から受け入れるしかなかった。切り取れば毎日が抜け殻です。
世紀末に生まれた人たちは、いまだに人生が続いていることを不思議に思う。生まれたのかどうかがよくわからないまま20年以上が過ぎたから。

リタイアしたい。そんな感情がさほど強くないから地球があることに逆ギレする。地球温暖化だとかにかこつけて僕ら自身をただdisってみる。少年って言葉が自分に適応されるかわからない21歳。電子書籍を開けたり閉じたり、マンガも人間関係もサブスクでどうにかなって、ミニマリスト。逃げろって中学時代の友人は叫んでたけど、ぶっちゃけ何から逃げればいいのかわからない。ツムツムを開けば、心臓が五つもある。一つ百年と計算して、毎日が五百年以上ある。つないで、消して、それだけの人生でした、って誰にアピールすりゃいいんだよ。こにんちは みさなん おんげき? なんとなく生き延びてみました系の地球。火事になっても、どうせまた生き延びるんだろうからCO2は減らないし、夏があっても誰も文句を言わない。

グッバイ、地球人

グッバイ、地球人

こにんちは みさなん おんげき?

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-30

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