スノーボール
かき氷にスプーンを突きたてて、霜柱を踏んだ音
水滴混じりのシロップがべたつく、底にはアカシアの香り
枝葉を茂らせた木が化け物に見えたのは昔の話
何にでもなれた昼時が何となく疎ましかった、窮屈な話
寒くもないのに震えている?
人いきれでこごえそうだ
痺れた左手には感覚がないわ
過ぎた熱はひどく冷たいでしょう、
頬で確かめる勇気もないけれど
ゆるく結んだ紐がほどけて、帽子が落ちて
拾いあげた向こうには、もういない
不在の夏は、僕にとってはまんなかの冬だ
さようならを見つけられずに三年が経ちました
いつか、どうか、忘れられますように
今も空白を願っている
スノーボール