解決

静深

解決

 解決策が欲しいのである。
 私はその日、一歩一歩を踏み締めながら、視線を忙しなくきょろきょろとさせていた。
 解決策がどこかに転がってはいないか。
 それを求めて動かす視線。
 街を概観した。そこには日中であろうとも派手やかな照明のパチンコ店があちらこちらにあり、高層の建物もある。
 加えて、何トンもの電車が往来する錆茶色の線路もあった。
 帰宅した。そこには不味い酒の入った瓶や、好きな煙草のストック、数多もの活字たちに囲まれた部屋があった。
 解決策なんて、本当は解っている。
 それでも、私は家路に着いた。私が本心から求めている解決策に無理矢理二重線を引いた。
 人生、人間、未来。これらがとにかくこわくてこわくてこわい。
 私はこれらに今でもびくびくと怯えながら、避け得ないそれらへの恐怖に対する輪郭線をぼうっと曖昧にするために、アルコールを摂取する。
 しあわせをお手軽に運んでくれるニコチンは、今や欠かせないマストアイテム。
 人から助けてもらいたいのです。物質から助けてもらいたいわけではないのです。
 ですが、人間が怖いので、こればかりは仕方がないと割り切りました。
 裏切られる結末を恐れた。否、私からいつも裏切って、また、裏切り続けたのでしょうか?
 何もかも分からなくなりたかったなあ。理性を紙飛行機の如く、何処かにすっと飛ばせてしまえたら良かったのになあ。
 ギャンブルなんて、酒なんて、煙草なんて。それらの真実は救済では決してない。アルコールを摂取して、その度に訪れるずきずきとした頭痛。
 体をどろどろに溶かす。健康をぶち壊す。救済は何処ですか? 何処にゆけばありますか?
 助かりたいのです。
 だから、自己の破壊を緩慢に続けています。
 壊す事で助かるなら、それを続ける事で自分が本当は存知している「死」に一歩でも近付けるのならば、私はそれがこわくない。
 壊れてゆく音、内耳で絶えず聞こえているよ。貴方が望む救済の形にこれが適っているのなら、私はそれをこれからも続けてゆくからね。
 縊死、飛び降り、飛び込み。これら以外にも色々とあるけれども、結局のところは本当に何も分からなくなりたいのなら、己を殺めてしまえばいい。
 それで終わるし、時間はかからない。
 ほら、死神が彼岸から嘲笑っているよ。
 必ずやそちらに逝きます。今は自己破壊を続ける私を見守っていてください。これが私が貴方に早くお会いするための私なりの方途なのです。

解決

解決

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-27

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