代謝について

代謝について

小六で行った日光の夜は、思ってた以上に涼しかったこと。中学の卒業アルバムは、みんな写真うつりが悪いってこと。高校時代の文化祭は、後片づけのときに風船をぽんぽん割ったのが、何よりも楽しかったということ。そういや、LINEのスタンプをしばらく買っていない。
ウォークマンにリピート機能つけたのは一体誰なんだよ、CD聞かなくなったのはサブスクなんかのせいじゃなくて、ただ単純にめんどくさいだけで、すっごくダサいメロディーの、八年前のボカロミリオン曲を聴いている。この曲つくった人、当時は僕より若かったんだぜ。だから代謝ってくだらねえなーって思ったりする。赤点ギリギリで回避した高校のテスト、そういうのだけが結局僕の生きていた証拠で、恥ずかしいとか思ったりできないままとろけるチーズみたいに人生が延ばされて、噛むタイミングもわからないまま二十年が過ぎて、延長コードを首に巻きつけたらつま先が床についていました、みたいな。チーズ嫌いの先輩が二十一歳なのがおかしくて、チーズが好きな後輩が先月十九歳になったらしい。みんな、進路希望表はろくに書かないくせに、十七歳で死ぬとかいった、ヤボな理想だけは持っていたはずだ。十七歳を過ぎたからすることがない。とりあえずみんなでピッツァマルゲリータを食べにいきましょうか。

代謝について

代謝について

ヤボな理想を押し付けていた十七歳をとっくに過ぎて、することがないからピッツァマルゲリータでも食べに行こうか

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-26

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