いのちあそび
広大な青空の下
大地と草の匂いが充満する町
育った子供たちは知らない
都会の遊びを知らない
木の枝で作った生き標本
土がそのまま額縁になる
僕らも自由な標本だった
路傍にミイラのおたまじゃくし
誰も住まない家の雑草みたいに
早朝駅のホームの雑踏みたいに
田舎のコンビニの雑誌みたいに
水田横に規則正しく並んでいる
小枝のような蛙の背骨
大海を知る前に閉じられた口
簡単に吹き飛んでしまう命
無惨な遊びに大義はあった
だから軽々しく命を奪えた
あの頃、僕らの「楽しい」が大義だった
「子供とは得てして残酷な生き物です」
僕らの通る道はいつも誰かの屍で埋まっていて
僕らはいつも屍に気付かず踏みつけて行進する
「子供とは得てして残酷な生き物です」
簡易的な肯定でいのちあそびを普通にする
誰もが子供の頃通ってきた道だと強迫する
リーマンショックさながらに価値は暴落し
命の価値と体のサイズは比例してるらしい
だが人より大きな生物はその限りではない
「子供とは得てして残酷な生き物です」
どうやらこの世界には子供しかいないらしい。
いのちあそび