おまえの愛・下

こっちは狂気を感じる描写に挑戦してみた

一方その頃、女は

台所に立ってた女性はいつの日かもう壊れていた。ざわめきだす頭の中を廻る声。
私っていう女はね、もう男を愛せないの。
骨の髄まで憎しみが染み付いてるの。
貴方が私を人として見れないように、
私も貴方を人として見れないの。
でも好きよ。だって美味しく調達できるお肉はみんなが嫌うはずないでしょ?そうよお肉よ。
今夜、貴方は美味しそうな豚丼になるのかしら?それとも美味しいローストビーフに作れるかしら。正直、食べた子にも言えるけど最初の晩で飽きるわ期待ハズレしか残ってないの?残念。
でもお薬でいい子にしないと狩りは失敗に終わるの。男でも流石にわかるでしょ?手口自体は性別関係なしに使えるのよ。何千年たっても理解できないでしょうけど、まだ時間を溶かせる程ヒマじゃないの生活はあるから安心して。耳をすり抜けるささやき声は止み、サンドイッチが完成する。そろそろかしら…。ああ正気にもどらないと。

インターホンのチャイムが鳴った。
玄関へ駆け寄り胃袋のざわめきを落ち着かせるため一度深呼吸した「はいはい」ガチャり戸を開けた「あら、エイジくん遊びに来てくれたの嬉しいー」プラスチックで出来た言葉を餌に男は尻尾ふる、犬より無様な貪欲を隠しきれていると自信をもって私のよりも空っぽな言葉を贈り返した。
カッチカチに固めた見栄。
意味抜けばただの雑音よ、言葉ってなんの為にあるの。
ダイニングテーブルにサンドイッチとコーヒーを並べ椅子を引いて座った。そこから何気ない雑談をして日が落ちる頃にはワインをだし、後はムードに任せた。会話中のエイジはずっとこんな調子だった「君って思ったより…なんだ俺は好きだなそうゆう子」「…のファンなんだ俺も」「俺は…よく行ってたよ…が一番うまいんだ君も…に連れてってあげようか」「俺…が好きでライブも行ったことあるよ、でさ…」最後には「こんなに気が合うなんて、はじめてだ」だって、合間合間にノイズが響くの。吐きそう。

生贄

エイジの酔が回る頃ベタベタ身体を触り始め、
首筋にキスを落とした。
シーツを乱し終えたころエイジは痙攣し始め呼吸困難に落ち始めた、その瞬間に心が舞い上がり
アドレナリンが全身を駆け上った。エイジは、 苦しそうに涙を流し枕や毛布に必死に掴みしがみついた。口から発する言葉は形にすらない彼は、ずっとあっ…しか発せなくなり悶狂い、鼻から血も流れ窒息してる金魚そのもの…このまま見ていたいけど肉が硬直する前にさばかないと。キッチンから戻ってくる頃にはエイジの息は虫の音ヒューヒューて苦しそうにしてるの。白目を向いて冷や汗を流すエイジの顔に手を添え頬にキスをしてから強く噛み流れる血を舐め吸った。
「よしよし」ブルブル震え青ざめるエイジを横目に包丁の刃を首に軽く置き、精一杯の笑顔と一緒に心を込めて私の最愛の言葉を贈った。受け取ってねと切なさを揺らし、ねぇ覚えておいてと呪いをかけた。「おまえの愛なんて、糞と同然。」
新鮮な赤がベッドに舞った。


 

海底へ見送る

真っ青な空に心が踊っり朝食を並べ終えテレビをつけた。会社のお金を盗んだ泥棒さんを探し回ってる。失踪した男なんて合間に数分報道し、泥棒さんにまた注目が戻った。
外に目を向けフッと思ったの、世の中って騷しいのね。遠に人間じゃなくなった私にはもう関係ないのよね、さて今日は海に出かけよう。

おまえの愛・下

次は、純愛に挑戦したいですね。

おまえの愛・下

どろどろ

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 青年向け
更新日
登録日
2020-06-25

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND
  1. 一方その頃、女は
  2. 生贄
  3. 海底へ見送る