宗教観の相違? その5

儀間ユミヒロ

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 冬。

 おしゃれさんの真耶さんは、冬が大好き。

 だって、冬はたくさんお洋服を重ね着できるから。

 最近の真耶はガーリーとロリータの中間くらいのスタイルを好み、リボンのついたワンピースやコート、そこに近頃またはやり始めた厚底のローファーを合わせる。白のソックスには黒のリボン。これにアクセントの強いメイクを合わせるのもいいが、あくまでナチュラルですっぴん風メイク派の真耶はその流れには乗らない。でもこれが金髪碧眼との相乗効果でガーリーロリータな雰囲気を強調させている。ド定番のコースをあえて少しだけ外すのも手である。
 しかし、今日ばかりは服の選択を間違えたと後悔していた。真耶のファッションセンスのもう一つのベクトルを選べばよかったと思っていた。

 「どうしたの? 急にグランド来てだなんて…って、あーっ! それそれ、こういう寒い日限定のこれ! ちょっと触っていい?」
さっきまで自分の服のチョイスを間違えたと思って沈んでいた真耶が突然元気を取り戻す。
「そうこれこれ。グランドに来るならこういうカッコしないとダメだよね。ああん、この手触りたまんないなあ」
「ああ、やっぱこうなるんだよね…真耶ちゃんさ、そんなに気に入ってるなら着てみる?」
「いやダメダメ、これは神聖なものなんだからダメ、あたし部外者だから。それより何? 用事は。千夜子ちゃん」
真耶は大学の友人である千夜子の着ている服に興味津々、でも千夜子が着ていいと言っても恐れ多いと断る。千夜子はこれもいつものことだとあきらめている。それくらい、この二人は一緒にいることが多い。
 ここは真耶達が普段学んでいる池袋のキャンパスから電車に半時間ほど揺られ、さらにバスに乗ってようやく到着する大学所有のグランド。主に運動部が使用するので真耶にはあまり縁のない場所。それなのにわざわざやって来たのは、そんな深い仲の友達、千夜子に頼み事をされたから。千夜子は自分で呼び出した以上、真耶がさっき自分で「神聖なものだから着られない」と断ったはずの服をさすられたり頬をすりすりされたりしているのにも耐えなければならない。でも千夜子はそれが不快なわけでもないし、真耶が生物学的には男子であることも気にしていない。変なことにこだわらずにいいから着ればいいのに、そう思うと歯がゆいのだ。
 でも、それも今日の頼みごとが成功すれば事情が変わる。

 冬の運動部といえばウィンドブレーカーなどの防寒着は必須アイテム。激しい運動で汗を流したあとには冷たい風が体温を奪い急速な冷えに襲われる。水分は蒸発するときに熱を奪う。勿論汗も水分だから身体の熱を一気に奪いながら気化していく。
 それを防ぐためには文字通り風を防ぐ衣類が必要で、いかに運動直後の身体の冷えを防ぎつつ動きやすさや着やすさといった付加価値をつけるべく年々技術革新で新素材が開発されたり、デザインもどんどん進化して女子が気に入りそうなお洒落なものも増えてきた。
 そして今、登山もスポーツのひとつとして老若男女に人気があり、お洒落なレディース登山向けファッションも流行し、山ガールという言葉もあった。今はあまり聞かなくなったが、それだけ女性のファッショナブルな登山着が当たり前のものになった証とも言える。
 そして山育ちの真耶にとって、山ファッションは普段着のようなものだった。だって良く晴れた真夏でも突然天が真っ暗になって突風のち地面を叩きつける豪雨によって下界でいうところの初冬のような気温になることが毎日のようにあるのだから、それに対応した装いが必須となる。山登りのファッションも汗と風とのせめぎ合い。素材は自然と他のスポーツのものと似てくる。そういった服を着こなしていくうちにそれがお気に入りになるのは自然なことだ。
 でも真耶がスポーツ系の服を好むもうひとつの理由は、幼少期からの体験もあるだろう。真耶がまだ幼稚園生だったある夏の日、ひとりの大学生がバイクで現れ、天狼神社に水を求めてきた。聞けば典型的な学生の貧乏旅行で昔北海道に出没したというミツバチ族の生き残りのようなもの。だが宿代もガソリン代も尽きて、しかも燃料タンクは空に近いという。困った人を助けるのも神に仕えるものの勤めと心得る真耶の家族は彼女を居候として住まわせてやり、彼女はその代わりに神社の仕事を手伝った。もっとも村の隅っこの小さな神社にはおみくじの一つも売っておらず、手伝うことはほとんど家事の手伝いだった。
 車が無い家だったので、バイクという移動手段を持つ彼女の仕事は買い物が多かった。そしてもうひとつ、買い物ついでにまだ幼かった真耶のお守りをすることも嬬恋家を大いに助けた。妹の花耶はまだ赤ん坊で、家族が世話に専念するためにも真耶がバイクのお姉さんになついてくれたことは良かった。いつもバイクの後ろに乗せてもらって、色んなところを寄り道しながらの買い物。真耶は素直で行儀よく彼女のバイクに乗っていた。そんな真耶に家族はバイクのレーシングスーツ類一式をあつらえてあげた。思えばそれが真耶がスポーツウェアを好きになるきっかけだったのだろう。
 その後小学生になった真耶のもとに、スポーツ万能の転校生苗が現れる。実の親に虐待を受け、里親制度によってこの村にやって来た苗だったが、どういうわけか大の運動音痴である真耶と最初に仲良くなった。しかも中学校に進むとあらゆる運動部からのラブコールを断り、真耶の入った家庭科部に籍を置いた。だが生徒の少ない村の中学校、大会に出ようにも人数が足りなかったりけがや病気でメンバーが欠けたりした運動部の助っ人を買って出ることが普通だった。
 中学校の場合、運動部の大会は平日に全ての運動部一斉に行うのが慣例で、その方が学校としてもバラバラに運動部員が公欠を取るより授業への影響が少ない。さらには木花中のような少人数校では、文化部の生徒も運動部の応援として同行する形にすれば校舎を開けなくても済む。そんなわけでどこかの運動部に全生徒がくっついていくわけだが、当然真耶は苗に着いていく。そしてベンチで苗達を応援していると、顧問の先生が、
「嬬恋さん、寒くない?」
と言って、その部のウィンドブレーカーを羽織らせてくれたりする。それが真耶にはとてもあったかに感じられた。
 そんなわけで、スポーツウェアを見ると居てもたってもいられないのが真耶の性分。自分が運動音痴でそういった服を着る機会にあまり恵まれないのもあるだろう。そして特にツルツルした素材を好むのは、天狼神社の居候から卒業して大学に戻り、中学教師として村に帰ってきて真耶達の担任となる渡辺のまたがるバイクの後ろで着ていたレーシングスーツや、ベンチで羽織ったウィンドブレーカーの思い出が大きいのだろう。

 だから真耶が自分のウィンドブレーカーにさわさわするのはいつものことと、千夜子は悟っている。だから手触りにうっとりして要る真耶にはお構いなく話しかけた。
「真耶ちゃんって、着ぐるみ? のバイトしてるんだよね?」
「うん、してるよ。千夜子ちゃんも、やってみたいの?」
真耶が即答した。大学で、友達にアルバイトを紹介したりされたりは普通のこと。真耶も何度か着ぐるみのバイトがしたいという子を自分の職場に連れて行った事がある。ただ、着ぐるみバイトの場合はお金が欲しいとかよりも好奇心の方が強いようで、一度体験するとみんなそのハードさに音を上げてしまう。でも、
「大丈夫、千夜子ちゃんなら。暑いし体力使うけど、千夜子ちゃん鍛えてるから」
 千夜子の所属する部はチアリーディング。千夜子という名前からのダジャレで子どもの時に始めたチアだったが、それが気に入って大学に入ってからも続けている。だがそのセンスはなかなかのもので、体力もあるし、人に見せるサービス精神も持っている。同じものが必要とされるパエリアショーなどの着ぐるみには最適だ。しかし、
「いやいや、それをお願いしたいんじゃなくってね、えっと…」
「えー違うの? でも千夜子ちゃん人前に立つの慣れてるでしょ? 踊りも出来るし」
真耶はがっかりしたが、千夜子は時期キャプテン候補の一人でもあり、だからこそ真耶と同じお仕事はできない。
「…あっ、そうか。日曜とかも大会の応援で忙しいんだっけ。それじゃムリかあ、ザンネン。踊れてアクションも出来る子はすごく必要なのに」
 日曜のテレビアニメといえばかつては夜に放送している長寿ファミリーアニメがあるが、いまやそれに急迫する勢いで日曜朝と言えばこのアニメ、と言われるようなステータスを得た作品、パエリアシリーズ。そのキャラクターショーは当然ながらあちらこちらで引っ張りだこだが、このショーに出演するにはアクションとダンスの両方出来る事が不可欠。真耶は運動音痴ながらダンスはわりとできるし、ショーにおけるアクションも実はダンスの延長みたいなところがある。実戦の格闘技と違って相手を倒すのではなく、見栄えが良いことが求められる。
 そして千夜子はチアリーディングで鍛えた柔軟な身体と体力、そしてリズム感があり、ちょっと練習すれば今すぐパエリアショーの主役を張れるくらいだ。それだけに、着ぐるみという言葉が千夜子の口から出た時にはもしやと真耶が期待したのも無理はない。だがいtったんそう思っただけに真耶のがっかりも大きい。
「でも、そしたらなんのお願い? 出来ることなら聞くけど?」
それでも気を取り直し、千夜子に用件を尋ねる真耶。出来ないことや相手が嫌なことは強要せずに潔くあきらめ、スイッチを切り替えるのが彼女の主義。
「うん、それなんだけど…あ、来た来た」

2

 「すみません、遅れました! 申し訳ございません!」
元気印を頭の上に乗っけたような女子が全力で走ってきた。千夜子と同じウィンドブレーカーを着て、千夜子に敬語で話しているところを見ると、部の後輩のようだ。彼女は千夜子と真耶の前に立つやいなや、
「おはようございます! 今日は私のために貴重なお時間をいただき、感謝致します!」
ものすごく礼儀正しい子だ。いかにも体育会って感じがする。
「あー、堅くなんなくていいよ? とりあえず座って座って」
千夜子が椅子を指差すと、
「はい、失礼します!」
こんなところも体育会っぽい。

 埼玉の冬は寒い。シベリアからの季節風が容赦なく吹き付け、あらゆるものも生き物も人間も震え上がらせる。ガーリーロリータもいいが、ここは文字通り冷たいウィンドをブレイクする服装に自分もすべきだったと真耶は後悔していた。でもそんな寒い中頼みごとがあって真耶を呼び出したのだから、よっぽどの事だろう。真剣に聞かなければならない。まず千夜子が、呼ばれた子に自己紹介をさせた。
「佐伯こよりと申します。一年生です」
深々と頭を下げる真耶。こういう時硬くしなくていいよと言っても無駄なことを悟っている真耶は、同じように立ち上がり丁寧に挨拶をすることで対等な立場に自分から降りて行った。
「嬬恋真耶と申します。はじめまして。佐伯さんは富山出身かな?」
「はい。でも引っ越しが多くて、金沢や高岡にも住んだことあります」
千夜子は二人の会話を聞いてびっくりした。
「なんで名前聞いただけで出身地わかるの?」
「わかるよ。あたし、富山の佐伯さんにいっぱい会ってるから」


 越中富山には、古くから立山信仰という独特の宗教観がある。本州の中央を縦断する日本アルプスを構成する数々の高山のなかでも、特に立山一帯はいくつもの表情を持つ。標高二千メートルを超える山の奥また奥に忽然と現れる花の咲き乱れる草原、しかしてその一角には今なお硫黄などの有毒ガスを吐き出す谷があり、振り返ればそこには鋭く天を突く岩ばかりの山がそびえ、真夏でもなお雪をたたえるそれらの峰々とあいまって、あたかも地獄極楽がこの世にあらわれたかのような一帯を作り出し、それはまさしく神や仏が現れるにふさわしい。
 それ故この山は山岳信仰の場となり、修行や参拝の舞台となる。そしてこの山を神や仏の宿る地として拓いたのが、古代に国司として越中にやってきた佐伯氏だと言われており、やがて立山のふもとに住まう人々が全国に布教をして回った。そしてその地では今も佐伯姓の人々が信仰を守っている。
 一方、真耶は日本で唯一存在する人間の神使。神使といえば普通は神によって地上に遣わされた動物を指す。例えば奈良の鹿やお稲荷さま、天神様の牛、などなど。その中で人間の神使がただ一人ということは、この世で唯一言葉で通じ合える神の御使ということになる。だから真耶の存在は全国の神社に知られているし、天狼神社はひそかに一目置かれている。
 そしてもちろん、全国の神社から真耶に「参拝」しに来る人もいる。もっとも人間が神使であるということはあえて喧伝するような事はしていない。むしろ知るべき人だけが知っているようにしないと、物珍しさでやって来る人が増えて真耶が見せ物のようになってしまいかねない。だから天狼神社に人間の神使がいるということは、なるべく村人と神道の関係者、それに真耶の親しい子くらいしか知らない。
 といって、律儀な性格である真耶のこと、わざわざ足を運んでくれた人のもとにはちゃんとお礼参りに行くことにしている。あまり人に教えていないこともあるし、山奥の小さな神社までわざわざやって来る人はそれほどの数ではないのだが、さすが立山のふもとの人々は全国を布教で回っていたのでフットワークが軽い。一説には彼らの作った全国ネットワークが越中の行商人に受け継がれたのだという。それが薬を各家庭に置いていき、使った分だけのお代を頂くという「売薬さん」だ。
 日本国中に足跡を残し、離島に赴くことも厭わない売薬さんは、もちろん山また山に阻まれた木花村にも訪れている。村の家々を回った末には天狼神社に寄ってお参りをして、嬬恋家の薬を入れ替える。普通は使った薬の分だけ代金をもらう仕組みなのだが、立山の神社からよろしく言われているからと頑としてお代は受け取らない。と言って使わないわけにもいかないのは、希和子が女性特有の頭痛持ちなのだが富山の置き薬と相性がいいらしく、ずいぶん助けられているから。そうなると真耶としては自分を育ててくれた希和子さんに代わってお礼にうかがわないわけにはいかない。
 だから真耶は立山信仰に関する一連の言い伝えも知っている。佐伯という苗字を聞いてああ富山の、と思うのは自然なことなのだ。

 「そういうことかー。でも転勤であちこち転校してるんだから佐伯の親御さんはサラリーマンなんでしょ?」
「そうです。次男だったので家を出たんです。父は芦峅寺、あ、立山のふもとですけど、そこで生まれました。だから勿論本家との繋がりはあります」
佐伯こよりという下級生の言葉を、真耶はうんうんと聞いている。千夜子はとりあえず真耶とは宗教がらみでの問題が無いということは分かった。
「で、本題なんだけど」
千夜子がそう言った瞬間、もともと姿勢の良かったこよりの背筋がさらにピシッと伸びた。
「改めて説明します。残念ながら佐伯には本学のチアリーディングチームの一員から外れてもらう事となりました」

 空気が、凍った。
 そこにただでさえ冷たい武蔵の国の空っ風が、ひうと通り抜けた。
 目の前にいるチアリーディング部の一員が、チームから外れる。唐突にそれを聞かされた真耶は言葉を失った。だが千夜子は構わず話を続ける。
「理由は、佐伯が現在私達の目指すチアリーディングの方向性について行くことは難しいからです。ですが、佐伯はどんな形でもいいから私達の部に関わりたいと言っています」
千夜子はそこでこよりと向き合い、
「そこで佐伯さん、あなたには別の方法で私達に貢献して欲しい。しかしマネージャーなどのサポートメンバーは既に枠がいっぱいです。だからあなたには新年度から始まる新しい私達の活動に取り組んでもらう。それが我が部に関わり続けるための条件です。というわけで」
千夜子は再び向きを変え、真耶に話しかけようとした、が、
「なんで真耶ちゃんが泣いてんの!」

 「ぐすっ、だって、チアやりたくてやりたくて仕方なかったんでしょ? だからチア部に入ったんでしょ? それなのに、首だなんて…ひっく、かわいそう…」
相変わらずの泣き虫真耶ちゃん、こよりがチアをやめなければならないと聞いた瞬間に涙腺が反応してそれからはもう止まらなかった。千夜子もこよりも慌てて、
「いや、首じゃないから。ちゃんとこれからも部には関われるし、本人もそれを望んでいるから」
「あ、わ、私も実力不足だってことは分かってますし、部に残れるってだけでありがたいと思ってます。だから、泣かないで下さい」
二人して必死に真耶をなだめて、ようやく本題に戻れた。でもまだ真耶は時々しゃくりあげている。
「あたしの説明が悪かった、ごめん。あのね、佐伯は決してチアリーディングが下手なわけじゃないの。だけど、全体のバランスを考えると…」
口ごもった千夜子に気づいて、突然こよりが立ち上がって言った。
「足りないんです、背が」

 チアリーディングというのは組体操みたいなものだから、組体操でいう所の人間タワーが大きな見せどころでもある。タワーのてっぺんに上る役は、背が小さく体重が軽い方が望ましいというのが一般人のイメージだが、実際はバランス感覚やある程度の筋力が大事だという現場の声も根強い。その点から見ると確かにこよりは小柄で華奢。
 千夜子が尋ねる。
「佐伯いま身長いくつ?」
「ひゃくよんじゅう、ごです」
「…ホントは?」
「…ひゃくよんじゅう、さん、いや、にかも」
うつむくこより。
「背が低いのがコンプレックスなんだよ、佐伯は」
千夜子は真耶にそう解説してからこよりに言う。
「あのね、サバ読んでも背が低いほどバレやすいんだから。同じ一センチの比率が違うんだから」
大学に入る前のこよりは、背が低いことを長所だと思っていた。その身長のおかげで必ずタワーのてっぺんに上ることができていたから。チアリーディングのポジショニングは身長のバランスが大事で、それは魅せるスポーツである以上は、ある程度仕方ない。そして現代っ子は体格が良くなっているので、トップに上る選手でも百五十センチ台は普通にいる。
 だが高校時代までこよりは北陸に住んでいた。人口が東京より少ないぶん競技人口も多くなかったので、こより位の身長でもトップを務められる貴重な存在だった。もちろん強豪校といわれるところもある。だがそこまで行かずとも、かなりのレベルを保ったチームでこよりは活躍していた。
 しかし東京を代表する野球リーグに所属する大学のチアリーディング部は違った。付属の中高からチアをやって本学のスタイルを熟知している部員もいれば、全国のチアリーディング強豪校からやってきた部員もいる。
 こよりがそれまで所属してきたチームに同好会的要素が強かったことも災いした。トップはアクロバティックな動きも必要とされる。宙返りでタワーから下りるなんて荒技も当たり前のこと。だが。
「技が出来ないんだよねー、佐伯は。高校時代はそれでもやっていけてたんだけど」
千夜子がため息をつきながら言った。そしてこよりもうつむきながら、小さな声で話す。
「私、他のポジションもトライしたけど駄目だったんです。下で他の人を支えるには背も力も足りないし、ましてタワーの外なんて」
チアリーディングでは、タワーの外にいる選手もいる。その選手の役目はいわゆる司令塔。全体を見渡して、的確な指示を送る役目が求められる。一年生のこよりにはどだい出来ないし、本人もよくわかっている。
「私にはどのポジションも無理だし…しょせん戦力外…」
「待った」
千夜子が相撲の張り手のごとくパーでこよりを制止した。
「だからそういうネガティブな考えは…あ、ほらまた真耶ちゃんが涙目なってる」

 「ごめんね真耶ちゃん、佐伯もすごく神経質になってて。特に佐伯の場合、転校がねえ…」
佐伯こよりは富山で産まれたが、小学校二年で長野に転校、中学に上がるときいったんは富山に戻るものの中三で金沢へ、さらに高校の途中で福井に転校という運命を辿ってきた。
なかでも大きなダメージだったのは福井への転校で、高校が変わるともとに、それまでやってきたチアリーディングからチアダンスに転向せざるを得なかった。チアダンスはチアリーディングと違い踊りを重視し、組体操的要素は無い。スポーツとしてとらえれば完全に別の競技だ。
「福井はチアダンスの名門校があるから、高校にチアダンス部しか無かったんだってさ。だからチアリーディングの経験は空白があるの、佐伯は。で、チアダンスが嫌いなわけじゃないけどどうしてもチアリーディングがやりたいから受験でもチアリーディングが出来る大学に入ってきたわけだけど、やっぱり経験面で不利で。それが人ごとじゃ無いって思うから」
「人ごとじゃないって?」
「あたしも、転校繰り返したクチだから。札幌生まれで地元のチアに入ったけど、そのあと仙台に転校して中三からは千葉。いまは親だけ札幌に戻ったけど。でも転校繰り返しながらチアやるってホント大変だから」
千夜子もこより程ではないが転校が多くて、その度チアのチームも変わってきた。チームが変われば踊りも変わるし練習の仕方や運営方針も変わる。それに自分を合わせる苦労がわかるからこそ、人ごとでは無い。
「でも、チア出来ないのに残るって、辛くない?」
真耶は相手を思いやるからこそ、率直な言葉を言う。
「あ、それはあくまで私の希望で…。わがままなのはわかってます。さっきは戦力外だとか言っちゃってすみませんでした。でもどんな形でもチームに関わっていたいのは本当ですし、それには方法は一つだって…」
「あたしの言い方も良くないんだよねー、ホントはこよりみたいな人材が必要なんだけど、そういうのストレートに言うの苦手で」
「え、それって」
「どういうこと」
「ですか?」
真耶とこよりの声が重なった。
「あーやっぱり通じてなかったかー。キャプテンもチームも、佐伯だからこそ新しいポジションを任せられる、って思ってるんだから」
なにやら、急に話の風向きが変わってきた。真耶が慌てて尋ねる。
「え、それってつまり、戦力外どころか大事な仕事任せられるってこと?」
「そう。でもそれを伝えるのが難しくて、みんなも気を使ってて、そのせいで変な言い回ししちゃうんだけど」
「どういうこと?」
「えっとね、佐伯の身体はうちのチアには合わない。でも運動能力はある。それに適したと言えば何と言っても…」
ここで千夜子が口をつぐむ。こよりも顔を赤くして下を向く。
「?」
真耶の疑問はさらに大きくなる。いいから教えてよ、と千夜子の袖を握って引っ張ってねだる。ちゃっかりウィンドブレーカーの感触を味わいながら。
「いいよね? 言って。佐伯が今度のポジションに選ばれた理由」
「はい、先輩」
千夜子が一呼吸おいて、つぶやいた。
「背」


 「せ?」
真耶は混乱した。今さっき背が低いためにチアのバランスを崩すから、こよりはチームから外されると聞いた。ところが今度はその背が低いおかげで新しい役割を任せられるというのだ。
 でも。真耶の知っている背が低いほうが有利なことはただひとつ。そして自分がこうして呼ばれている。ということは…。さすがのおとぼけさん真耶も、なんか分かってきた。と、その時。

 「遅れてごめんー、ついついウチナータイムで来てしまったさー」
通る声で独特のアクセント。寒風吹きすさぶ真冬の空に、さんさんと輝く亜熱帯の太陽が現れたかのような錯覚。
「あ、おはようございます! 全然待ってないから大丈夫です!」
千夜子とこよりが突然立ち上がり、深々とお辞儀する。真耶もつられて立ってお辞儀をする。
「あーもー堅くならんで、てーげーでいいさ、てーげーで。わたしが遅れたんだから頭下げるのはこっちさー。にしてもこれ、でーじ重いねー」
そう言っているお姉さんの肩には大きな荷物。真耶はその袋に見覚えがある。
「だからー、そういう雑用は私たちがしますから! 偉い人は手ぶらでいいんですよ!」
そして、真耶は突然大きな荷物をかついで現れた、千夜子やこよりと同じウィンドブレーカーを着ている女性がただものでは無い人物、つまりチアリーディング部のキャプテンだと分かった。だから真耶もすぐに礼儀正しくあいさつした。
「初めまして、嬬恋真耶と申します。本日は千夜子さんのたっての願いと言うことでしたので、お邪魔致しまし」
「あーもう、てーげーで言うてるのにみんなしてもう。はい、自己紹介はわたしがします。仲宗根ひかり。一応チアのキャプテンやってるけど、みんな堅くならずにリラックス、なんくるないさで行こうよう。だからー、友達みたいなつもりで接してくれればいいさー」
「いやだから、一定の威厳ってものがですね…、代わりに紹介します。私達のキャプテン、仲宗根ひかり先輩です」
千夜子が改めて紹介するまでもなく、真耶にはキャプテンの人となりが分かった。とあるベテランアイドルバンドの「リーダー」と同じポジションだ。一言で言えば怖くないひと。権威というものを利用しないのとも違う、権威というものを意識しないタイプ。だから真耶はほどほどの敬語で話した。
「改めて、よろしくお願い致します。部外者ですが、キャプテン、とお呼びしてよろしいですか?」
「もちろんさー。キャプテンでもひかりでものぞみでもなんでもいいさー」
新幹線に引っ掛けた駄洒落に苦笑する千夜子。気さくが服を着て歩いているようなこの感じ。それでも筋は通そうとするのが真耶。だから一応敬称を付けて質問することは変えない。
「ひかりキャプテンは、沖縄の出身なんですね?」
質問というまでもない。また真耶の神使としての旅が役立った。沖縄の人々は独特の信仰を持ち、それは神道とも仏教とも違うような同じような、という興味深い形を持つ。真耶は沖縄にも何度か行っているので、ひかりの言葉遣いと雰囲気にピンときた。このキャプテンさん、南の島のかおりがする、と。

 大学チアリーディングは、附属から上がって来た部員が有利だ。附属校でもチアの形態は大学のそれを踏襲しているわけで、長い期間それに触れて来た分それが身体にしっかり染みつき、大学に入ってからも学年が進めば重要職の筆頭候補となる。千夜子は高等部からの在籍だが、それでも中学からの内部進学組と比べたら不利だと感じていた。
 しかし現キャプテンは、沖縄から大学受験でやって来てからチア部に入ったにも関わらず、キャプテンの座に上りつめた。もっとも本人は、
「気が付いたらキャプテンになっててー」
と、まるで気負いが無い。だがそこが逆に先輩たちの目に留まった所でもある。自分を飾らず、素の自分を惜しげもなく出し、踊る時はとにかく楽しく。南国の太陽にむけて咲くハイビスカスのような笑顔がまぶしい。芯から踊る事を楽しんでいるのがわかる。その上後輩思いで、力仕事も自分から買って出る。そんなところが今までの我が校チアリーディング部、いや、体育会的ノリに支配された大学チアリーディング界には足りなかったと先輩達は思った。今までのやり方が間違いだったとは思わないが、ひかりのチアはどこか突き抜けている。そんな感じを誰もが受けたのは確かだった。
 その大抜擢を受けたキャプテンがどすんと下ろした荷物。それを見て、真耶はすぐに中身が分かった。
「なるほど、これはこよりちゃんに適役かもしれませんね。私が呼ばれたってことはそうかな、と思ってましたけど」
「そういうこと。これはこよりじゃ無いと無理。それは体格もあるけど、この子の性格がでーじマッチしてるのさ、この役に」
「うんうん、分かります。あたしが教えてる子でも、こよりちゃんみたいなタイプは上達して、子どもに好かれるようになります」
千夜子はハッとさせられた。真耶が大きな袋を見ただけで中身を察したのは当然だと思った。それのために呼んだのだから。だが、キャプテンと真耶が会話しているうちに、こよりの表情がやわらいで来た事にも気付いた。そうか、自分に足りなかったのはこれだ、前向きな見方でこよりを褒めること。それが自分には出来なかったのだ、と。
 とは言え、過ぎた時間は取り戻せない。名誉挽回はこれからだと切り替えた千夜子。今日は二人の言動を見習う日。そう決めた。

3

 そして相変わらず自ら巨大な袋をかついで行くキャプテンと、それを慌てて下から支える千夜子とこより。真耶は涼しい顔で、
「一度かついじゃったら勢いで行っちゃえるから大丈夫だよー」
中身の正体を知っているから言えることだ。そのかわりに、すっとひかりの前に出て、
「はい、どうぞ」
建物の扉を開ける。このほうが荷物を担いでいる方にはありがたいと分かっている。
「にふえーでーびる」
と礼を言うひかりに、
「なんくるないなんくるない」
と返す真耶。あっという間に意気投合したようだ。
 建物の中には色々な運動部の部室が並ぶ。その中の一室に一行が入った。はっと気づいた千夜子とこよりが真耶より先にと慌てて駆け寄り扉を開けた。

 チアリーディング部は屋内やそれほど広くない場所でも練習ができるので、主な練習場は池袋か新座。二つのキャンパスに学部が分かれているのでどちらかに偏るのは不公平になるという問題はあるが、別々のキャンパスで練習をして全体練習を交互に二つのキャンパスでやるなどの工夫もしている。
 だからこちらの運動部グランドで練習をすることはあまりないし、部室も無い。だが今回のプロジェクトにあたって空き室が用意され、そこを使って良いこととなった。ついては昨日グランドの守衛所に届いた道具等一式を運ぶのが千夜子たちの最初の仕事のはずだったのだが、ひかりキャプテンがすべて持ってきてくれてしまったのだった。
 では、そんな臨時の仕事に、なぜ部員でもない真耶が呼ばれたのか。答えは、臨時の仕事だからこそ、だ。このプロジェクトにおいて適役なのは、こより。そしてそれを指導するのに適役なのは、真耶、ということ。

 だが。
「うわ、ぜんぶウレタンだ、厳しいなあ、初心者にはー」
肝心の真耶が、ひかりキャプテンのかついできた荷物の中身を見て、難しい顔をした。
 もう説明するまでもない。真耶が呼ばれ、身長の低いこよりが適役だとして抜擢され、さらに真耶が荷物の中身を見てすべてを悟る。

 着ぐるみだ。

 大学のチアリーディング部は、応援団の一組織であることがままある。真耶達の大学もそうで、正確な大学への登録は応援部チアリーディング班。体育会の応援を、詰襟の男子学生とともに行うのも重要な活動である。
 そして応援という活動は同時に、大学の広報活動という大きな役割も担っている。特に真耶達の大学は東京を代表する六つの大学で作る野球リーグに入っており、プロ野球にも偉大な選手を数多送り出している。だからリーグ戦は世間の注目を嫌でも引くし、それは選手にとどまらず、応援席もひとつのエンタテイメントになる。
 とはいえ、近年では高校球児達の選択肢も増え、全国あらゆる所に高レベルの戦いを繰り広げる大学リーグが発足。そこに所属する選手たちがプロ野球や、はてはメジャーリーグを目指すことも夢ではなくなった。それまで地元だけで知られるような大学が、野球に限らず優秀なスポーツ選手を集めることで一躍全国に名をとどろかせるようになった。かつてのように東京の大学野球リーグ出身者の名ばかりがドラフト会議で何度も何度も呼ばれる、ということもなくなった。
 つまりスポーツでの学生の活躍はそのスポーツをプレイする人のみならず、それを見るだけの人や、電車で隣のサラリーマンの読む新聞が唯一のスポーツ情報源であるサラリーウーマン兼受験生の母に至るまで、大学の名前を知らしめるチャンス。ただ悲しいかな、真耶たちの大学は野球でこそ実質永久シード権を得ているものの、他のスポーツにおいては苦戦している。ラグビー然りアメフト然り駅伝然り。正月にテレビでやるスポーツは大学にとって恰好の宣伝の場でもあるというのに。
 何せ日本は長い長い少子化のトンネルというか底無し沼にはまって久しく、学生の獲得合戦も激化している。そんな中、駅伝にめっぽう強いことで有名な山梨県の大学が、駅伝の応援に更なるひと味を加えた。それが、

 ゆるキャラ。

 自然の豊富な山梨の象徴、カモシカをモチーフにした着ぐるみキャラを応援団の仲間に入れたのだ。もちろんカモシカ達は他のスポーツの応援や大学のイベントにも参加する。着ぐるみゆるキャラの強みはなんと言っても子どもを引き寄せること。子どもがお出かけするなら保護者も大抵いるし、まもなく受験生になるお年頃のお姉さんお兄さんがいるかもしれない。高校生でなくても構わない。囲い込みは小中の段階で激化しているから。あるいはその子自身が、将来星の数ほどある大学の中からその名前を思い出し、受けてみようと思うかもしれない。
 大学もコマーシャルセンスが問われる時代。萌え風イラストのイメージキャラクターを作った大学もあるし、そうなると日本中に名を知られている難関校である真耶たちの大学もうかうかしてはいられない。
 そんなわけで、大学はゆるキャラの作成に乗り出した。イメージアップで受験生を増やすことも重要だし、本業である学問の方で優秀な人材も多く求めたい。キリスト教の大学ということから堅いイメージもあるので、それも払拭させたい。一方でキリスト教の大学ってお洒落という声も特に女子からは多く上がるが、池袋西口という立地がそれと結びつきにくいとも言われる。もちろん池袋には池袋の魅力があるが、いろんな意味で大人の街だとは言えるだろう。そういった意味でも、子どもに愛される大学を目指すというのはいいことだ。 

 にしても。
「話きた時から思ってたけど、これはこじつけなんじゃないの? シスターはカトリックのものでしょ?」
「いや、プロテスタントには確かにシスターというか修道士いないけど、うちの大学聖公会だから『修士』って呼ばれる修行僧はいますよ。確かに若い女の子がそれをするかは分からないですし、この格好はたぶんしないと思いますけど」
 着ぐるみのテーマは「シスター」。教派を越えてキリスト教の持つ慈愛などの教えに従う象徴だと大学の広報は言うのだが、それは後付けで、可愛いキャラクターを考えた時に大学のイメージにぴったりくるキャラクターがそれしか無かったというのが本音だろう。池袋という土地が危険な街、お洒落じゃない街、というレッテルを貼られていることも長年の課題だったし、大学の運営側にも学生にもそれを払拭したいと奮闘している人はいる。今回の着ぐるみゆるキャラもその一環である。
 最初は池袋の地名にかけてフクロウという案もあった。猛禽類は女子にも人気だし良いかと思ったが、このネタはすでに区内のあちこちで使われている。猛禽類つながりで言えば、「すすきみみずく」という民芸品があるが、売られている場所が大学から遠いうえにお寺の縁起ものなのでシスターよりも宗教的にズレている。
 結局、昨今の「萌え」路線に乗ってしまおうという結論となり、修道女(あくまで大学の教派的には修女なのだが)のリッちゃんと修道士(これも大学的には修士である)のキョウくんの二人が産まれたのだった。


  
 ただ、真耶が苦い顔をしたのはそれが理由ではない。真耶は神社の神使だが現にキリスト教系の大学に入学している時点で宗教的な縛りも無ければ大学側も学生にキリスト教信仰の強要はしていない。
 それよりも、真耶が心配するのは着ぐるみの作りにある。

 最近の着ぐるみは、操演する人の負担を軽減する工夫がなされることが多くなった。特にゆるキャラは自治体や公益法人の旗振りで作られることも多く、そうなると昨今の世論を鑑みれば専門のスーツアクターを呼ぶ予算もできれば削りたいところ。むしろ自分のところの職員に休日手当と出張手当を払って着させた方が安上がりとなる。
 だが公務員は着ぐるみ操演のプロではない。だから出来る限り動きやすく苦痛の少ない着ぐるみが求められる。例えばハリボテの中は空洞で、ヘルメット状の帽子に支えを付けて固定し空間を取りつつ頭の大きさを確保する、いわば張り子タイプ。またはもともとペチャンコの布の中に空気を送って膨らませるタイプ。いずれにしろ頭が大きい方がキャラっぽさが出るので如何に軽くて動きやすい頭でっかちの着ぐるみを作るかにメーカーは苦心している。
 だが、中の人の快適性を求めると犠牲になるものがある。手触りだ。

 まずは昔からのオーソドックスな、かぶり物プラス背中にチャックの付いたワンピーススタイル。レンタルの動物着ぐるみなどにもある、着ぐるみと言えばみんなまずこれを思い出すというタイプ。これはフリースなどで出来ているのでふわもこ感を出せる反面、生地がそこそこ厚いので熱が溜まるし布だから汗を吸う。アフターケアが大変だ。それに誰でも着られるように服がゆったり出来ているので中に人がいると分かりやすい。有名ディスカウントショップなどで売っている着ぐるみパジャマに動物の頭を付けただけのようなものなのだから。
 では、張り子タイプはどうか。これは図体は大きいが中は空洞なので軽いのと、換気性に長けているのがメリット。だが欠点として体積だけはあるので保管や持ち運びに困るのと、薄くても丈夫さは必要なので素材的に堅めのものになってしまい、触り心地で劣ってしまう。子どもは動くキャラクターに触れたがるので、その時ふわもこもふもふを感じると喜んでくれるのだが。しかも首から下はワンピースタイプと同じであることも多く、結局メンテナンスの手間は変わらない。
 そこで登場したのがエア着ぐるみである。これはバッテリーでファンを回して内部に空気を送り込み、ぺしゃんこの布を大きな着ぐるみにするもの。このタイプは言ってみれば大きな風船のようなものなので弾力があるし、空気が入れ替わる分操演者への暑さなどの負担も少ない。が、その代わりバッテリーの持ちを常に気にしないといけないこと、またバッテリーは操演者が背負うのだが消費電力が大きいのでとにかく重く、肩や腰を痛めてしまうリスクも伴うのが欠点となる。それでもかなり操演者の負担は軽減されているが、着ぐるみと戯れる側からすれば空気を送り込むファンのモーター音が気になるのと、空気圧のため弾力が強すぎて子どものさわり心地は犠牲になってしまうのが不満となる。
 要するに、中の人の負担を軽くしようとすると何らかの部分を犠牲にしてしないとならないのが着ぐるみの持つジレンマである。では、このリッちゃんキョウくんはどうであるか。

 この子達の材料であるウレタンは、触ったときの気持ち良さでは群を抜いており、テーマパークなどでは圧倒的に採用例が多い。だが外から触れる子どもたちに文句無しの感触を与えられるということは、中の演者を楽にする仕掛けが犠牲になっているということでもあり、もっとも着こなすのが大変な着ぐるみでもある。
 まず、重い。頭の大きいキャラクターが多いのはテーマパークも同じだが、そお頭の中をウレタンでほぼほぼ埋めてしまう。このため頭の重量だけで十キロを超えてしまうのはざらで、首にものすごい負担がかかる。その負担を軽減するためにも首から下の部分もしっかりとウレタンを詰め込んだ構造になっているのだが、これによって着ぐるみ全体の重さはますます増えていく。
 しかもウレタンは通気性が悪く、ものすごく暑い。夏などは操演と休憩を必ずセットにしないとすぐに熱中症になってしまう。だから着ぐるみのすべての部分をウレタンにするのではなく腕やもも・すねの部分だけタイツにすることもあるがそれは焼け石に水でしかないことがほとんどだし、このリッちゃんキョウくんは全身をウレタンで作ったフルウレタン仕様。その重さは数十キロにも及ぶはずで、初心者にはあまりに酷と言わざるを得ない。

 「ま、真耶ちゃん、どうだろ。引き受け、て、くれる、か、な? だめ、かな?」
この着ぐるみが最上級者向けだということを思うと、真耶は考えこんでしまった。果たしてこの依頼、受けていいものか…。着ぐるみショーの後輩指導は真耶もしたことがあるが、いきなりオールウレタンの着ぐるみを着るということに耐えられるだろうか。しかも春の他休部公式戦まで二か月あるかないかでは、段階を踏んで着ぐるみに慣れて行ってもらうのも難しい。そんなことを考えていた真耶はかなり険しい顔になっていたので、ついおそるおそる千夜子が尋ねてしまったのだ。そしてハッとして首を振る真耶。
「う、ううん、そういうんじゃなくて、これ、すっごく着るの大変だなって。あのね…」
「大丈夫です! どんな苦難でも、耐えて見せます!」
真耶の言葉を遮って、こよりが元気よく答える。
「ね、ね、佐伯もこう言ってるし、引き受けてくれないかな?」
千夜子もアシストする。でも真耶はしばし無言で考え込んだのち、
「ごめん、ちょっと返事待ってもらえるかな? 考えたいことがあるから」
意外な返事だった。真耶が頼みごとを断ったことなどめったに無いことは千夜子がこの中では一番知っている。唯一断るといえば試験前のノートの貸し借りくらいで、まじめに全部の授業に出ている真耶は授業にも出ずに単位だけもらおうとする輩が許せないというか、それは神の使いたる自分がズルに手を貸すことだから厳に慎まなければと思っているからだ。もっとも文部科学省に勤める父から、
「大学ってのはそういうところだから。テストの成績なんてどうでもいいのだからどノートでもなんでも貸してあげればいい。その代わり見返りの要求は忘れてはいけないよ。昼ごはんの一回くらいはおごってもらうくらいのことは言ってあげるのがお互いのため。大学が社会に出る前の最後の教育機関になる学生がほとんどなのだから、世の中は持ちつ持たれつのギブアンドテーク。そこを自分が不利にならないようにする方法を知ることも大事だよ」
と言われたりもするのだが。まあ実際昔の大学はそうだった。教授みずから、授業なんか出てる暇があったら街に出ろ、夜の繁華街をさまよって、朝まで酒を飲め、なんてことを言いだしても何のおとがめも無い時代だったのだから。

4

 「どうかなあ、こないだの件」
千夜子からのSNSで真耶は目が覚めた。毎日早起きが信条の真耶だが、着ぐるみの仕事が忙しくて疲れが出ているらしく、珍しく八時過ぎまで寝ていた。それでも誰かから連絡があればガバッと起きるあたりは真耶の律儀さの象徴。
「うーん、もう少し考えたいなあ」
「やっぱ、バイトとの両立厳しい?」
新たな大学のマスコットキャラクターに入ることが決まったチア部のこより。彼女は着ぐるみを着るのは初めてだし、指導できる人材も部内にはいない。そこで着ぐるみアクターとして頑張っている真耶に手ほどきをしてもらいつつ、二人いるマスコットのうちの一人、キョウくんの操演をして欲しい。それがチア部の希望だ。
「忙しいわけじゃないけど、やっぱムリが無いかなあ」
ため息をつく少女マンガキャラクターのスタンプと共に真耶は返信した。ウレタンの着ぐるみを着こなすのが至難の業であること、初心者のこよりには酷ではないかということ、それを真耶は説明し、自分はいいけどリッちゃんだけはプロに任せた方がいいのではないかと真耶は意見した。
 しかし、イベントごとにプロの着ぐるみアクターを呼んでいては予算もかかる。そもそも予算をかけずに大学の知名度を高めるのが目的なのだから、お金をかけることはできない。それに、
「でもキャプテンは部員がやるから意味があるって言うし、何より佐伯がやる気だから。あの子はああ見えて持久力も体力もあるから」
千夜子の返信の通り、このプロジェクトでは着ぐるみもチア部の一員として位置づけられる。本当なら部員全員が体験すべきだとキャプテンは考えていたくらいだ。だが演者の身長に制限がある以上それは無理だし、ならば部員であるこよりが適役だとキャプテンは判断した。身長だけが理由では無い。こよりは努力家で気遣いもできることにキャプテンは気付いている。それに背が小さいせいかチアをやっていても観客の子どもに懐かれやすく、こよりも子ども達を面倒がらず丁寧に相手する。だいいちこより自身も部のために貢献出来るならと、やる気になっている。
「それは分かってるよ、こよりちゃん頑張り屋さんだってのも分かったし」
ウレタンの着ぐるみがいかに着用者にとって負担であるか、真耶は包み隠さずこよりに説明し、実際に着ぐるみを持ってもらい、重さを実感してもらったりもした。それでも、
「やります!」
力強く返事するこより。真耶はだからこそ迷った。
「この子、あたしと似てるかも…」
人のためにと思って、頑張りすぎて、自分が潰れてしまうタイプ。この努力はこよりのためになると思う。でも過ぎたる努力は負の結果しか残さない。それが真耶は不安だった。



 「うーす」
「真耶が起こしてくれて助かった。夕方まで寝るとこだったよ」
SNSの相手は苗。苗も真耶も二十歳を迎えたので飲酒が出来るようになった。苗の大学も全ての後期試験が終了し、ゆうべはそのお祝いでゼミ仲間と打ち上げがあったのだが、ちっちゃな身体のどこに入るのかと思うくらいに苗が飲む、飲む、飲む。子どもの頃から痩せの大食いとは言われていたが、その上ウワバミだったとあってはたまらない。飲み放題の元を取るどころか、店の収支が赤字で店員の顔が青くなりそうな飲みっぷりだった。
 そんなわけでゴキゲン気分でマンションに帰った苗は即爆睡。しかしこの先がまた恐ろしい。事情を知らない真耶が昼前に送ったSNSを受け取るや否やガバッと起き上がり、普通に寝坊したかのように着替えて髪と肌をお手入れして(と言っても石鹸でバシャバシャ洗うだけだが)ブランチの準備を始める。休みの日に寝てるなんて勿体ないというのが彼女の信条、さて寝坊した分を取り返すべくジムにでも行くか、などと考えている。普通、これだけのんだら二日酔いになる、というくらいの量なのだが。なんたって千夜子に真耶が起こされてから三十分も経っていない。あれだけのアルコールはどこに行ったのやら。

 で、真耶が珍しく自分から苗にメッセージを送ったかと言えば、こよりに着ぐるみを着せていいかの迷いを何とかしたいので、誰かの意見を聞こうと思ったときに、親友中の親友である苗の顔が思い浮かんだのだった。優柔不断な真耶と違い、即断即決でなんでもこなす苗なら何かいいヒントをくれるかもくれない、と。
 朝の支度と並行しつつ、真耶の悩み相談に乗る苗。真耶の不安要素を一通り聞いた上で、真摯に答えるかと思いきや、
「その子と真耶がやりたいっつーならやりゃいーじゃん、やりたくないならやんなきゃいい、そんだけ」
突き放した。
 しかし真耶は、それが一番思いやりのある答えだと真耶は気付いている。
「ありがとう」
だからそう返事する。できるできないは問題にならない。大事なのはしたいしたくないの二択。相談事なんて、する時にはもう自分で答えが出ているというのはよくあること。自分で答えが出てないのに相談しても結局は決断できないのもよくあること。
 でも苗は、稀代のお人好しで頑張り屋である真耶が認めるほどの頑張り過ぎ屋、こよりについてはアドバイスする、というか入れ知恵をする。
「真耶、苦手だと思うけど、取り引きしなよ」

5

 真耶の大学も全ての後期試験日程が終わった。今度は入試シーズンとなるので逆に在校生が大学に出入り出来る日も限られる時期に入った。
「で、決めた? 真耶ちゃん」
こよりと千夜子のみならず、キャプテンまでもが真耶の家がある世田谷区までチンチン電車に乗ってわざわざ返事を聞きに来た。駅近くのカフェで真耶の向かいには現キャプテンと佐伯こより。真耶の隣には、逃すかとばかりに通路側の席で窓際の席に座る真耶を見張る、李千夜子。千夜子は日本人の父と韓国人の母の間に生まれ国籍も日本を選んでいるが、婚姻よりも血族を重視する妻の意志にならって母方の性に統一している。その結果「チヤ・リー」と千葉や仙台のプロ野球チームで外国人に呼ばれたりサインをされたりしたので尚更ダジャレでチアリーディングやってる感が強くなったきらいはある。
 ともかく、である。真耶的にはあちらからご足労いただいて、まして学年が上だからとは言えキャプテンに奢ってもらっていると、言うべきことを言う覚悟が鈍るかもしれない。だがそれはそれとして主張すべきことはすべきだという価値観も日本的なあなあリズムに流されない木花っ子の意地の見せ所。真耶は心の中で喝を自分に入れる。
「えっと、まずは、こよりちゃんに話があります。心の準備はいいかな? こよりちゃん」
「はい!」
気合の入った返事が帰ってきた。真耶も真剣な表情で言う。
「あのね、着ぐるみを着るって大変なことなのは分かったよね。特にリッちゃんはウレタンっていう材料で作ってあるからより大変なの。どのくらいかって言うとね、まず重いよね。たぶん二十キロ、いやもっとかもしんない。それに今はいいけど、夏はすっごく暑いよ。冷たくなるスプレーなんか効かないし、氷まくら背中に入れても一分持たないし。だから水分は絶対取らなきゃダメなんだけど、それだけ汗かくってことだから着ぐるみさんの中は臭くなるし、あと水飲み過ぎてトイレ行きたくなったりお腹痛くなったりしてもイベントの進行具合とかで行けないこともあるから。それでも、やる覚悟、ある?」
 一瞬ひるんだかに見えたこよりだったが、首をぶるんと横に振って迷いを振り切り、
「あります!」
「ぜったいに、弱音吐かない?」
「はい!」
カフェの中だから音量を抑えてはいるものの、チアリーディングで鍛えた腹からの声でこよりは答えた。こよりが出すその気迫は千夜子もキャプテンも初めて見たほどのものだった。

 そして、真耶が答える。
「…失格。この話、お断りします」

 数秒のことだっただろう。でも当事者たちには相当長い時間に感じられたろう。その直後、
「ええーっ! どういうこと? こんなにやる気があるのに失格? それとも、まだこれでも足りない?」
千夜子が立ち上がり、テーブルに両手をばんっと突いて激しく抗議する。そうだそうだとばかりにキャプテンも呼応し、
「うん、やる気あるのが伝わってきたよ、私にも。それなのになんで? でーじ納得行かない! なにか? 報酬か?」
と言ったその時、千夜子がすかさずキャプテンの言葉を止めた。
「真耶ちゃんが、そんなことで物事を引き受けたり受けなかったりしない子なのはわたしがよく知っています。だからこそ謎なんです。ねえ、どうして受けてくれないの? もしかして、ホントは自分の着ぐるみのお仕事が忙しいの?」
「忙しく無いと言えば嘘になるけど、学業優先って約束を会社でもしてくれてるからそれは問題じゃないよ。それより…」
真耶は、涙目でうつむくこよりに向き直り、
「…あのね、こよりちゃん。お断りってさっき言ったけど、訂正。あたしと、約束してくれるかな?」
「な、何を、ですか?」
さっきまでとは打って変わった、細々とした声でこよりが答える。
「さっき、ぜったい弱音吐かないって言ったでしょ?」
「はい…でも、それに嘘はありません」
最後の方では、しっかりとした口調が戻っていた。やはりこよりのやる気は本物だ。だが。
「それ、禁止」

 もはや、余りにも予想外な真耶の答えに、他の三人は二の句が継げない。もう思考力がついていかない。でも真耶は構わずに続ける。
「弱音吐きたい時は吐く、休みたい時は休む、それをちゃんと言える、って約束してくれたら、あたし着ぐるみさんになる方法教えてあげる。あと、千夜子ちゃんも、キャプテンさんも、こよりちゃんが危ないと思ったら止めてくれる、って約束してくれませんか?」
その発想はなかった。真耶以外の三人にその発想はなかった。頑張ってはいけない。弱音を感じたら言わなければならない。これまで体育会的価値観に固められて来た三人にとっては唖然となるような言葉だった。しかし、真耶にその理由を聞いて次第に納得がいってきた。
「着ぐるみさんは大変なお仕事。だからこそ、頑張りすぎは命に関わるんです。ぜんぜんやる気が無いのは困りますが、そもそもそういう人は最初から断るでしょう? だからやる気があり過ぎて、一線を超えちゃう人の方が危ないんです。うちの会社でも、ロリショタ、って言うんですか? ちっちゃい子と触れ合うのが大好きな女の子がいて、合法的に子どもと握手したり出来るからって入って来た子いますよ。でもそういう不純な動機の子がいまパエリアのショーではナンバーワンですから。人を楽しませるには自分が楽しくないとダメなんです。だから、頑張り過ぎない、それを約束してくれるなら、安心してお引き受けできます」
三人の目からウロコがポロポロ落ちた。否、こよりの目からは涙が溢れかえった。
「あ、ありがとうございます…ぐすっ…頑張り過ぎないように…ぐすっ…わたし、頑張ります…」
「さっきから頑張っちゃ駄目だって言ってるさー、リラックスしなさいリラックス」
そういうキャプテンも、目から涙がこぼれている。
「もう、キャプテンの威厳が台無しですよー」
と言う千夜子も泣いている。
「なんくるないよ。ウチナーンチュは今までいっぱい涙を流してきた歴史しょってるけど、うれしい涙は宝さ。宝石さー」

6

 というわけで、万事まあるくおさまって、真耶とこよりのレッスンが始まり、いよいよ本番、と、なるはずだったのだが。
「まさかー、こんなことなるとはねー。琉球がまた本土と引き離された気分だよ」
突如日本に上陸した新型ウィルス。その強い感染力で世界がパニックとなり、日本でも人が集まるイベントや興業が次々と中止となった。当然リッちゃんキョウくんのデビューは見送り。大学の授業すら開始の当てがつかない。
「まあ、練習時間が増えたと思えばいいさー。深く考えず、なんくるないさで行こ」
パニックが始まる前に沖縄の実家に帰っていたキャプテンは沖縄で足止めを食う形になってしまったが、深刻に考えてはいない様子。そもそも就職もできれば沖縄でと思っていたし、東京の有名大学卒ということであっさり内定ももらってしまった。
「明けない夜は無いし、止まない雨も無いよー。ウイルスだってなんとかなる、なんとかなるよー」
「はい。あたしもそう思います。神様が守ってくれます、きっと、なんて。たまには神社の娘らしいことも言わないと、です」
「キリスト教の大学で言っても説得力ないってば」
千夜子が突っ込み、こよりもくすくす笑う。ただし、お互いの顔は液晶画面の向こう。いつの間にかこうやって、リモートで集いながら語り合うことも増えた。ゼロとイチの組み合わせでしかないデジタルの世界が、四人のきずなを少しずつ築き上げていく。

 それにしても。
「真耶ちゃん、うれしいのは分かるけど、何も部屋の中でまで着なくても…ガサガサする音マイクが拾っちゃってるよ?」
「なんくるないさー、むしろそうやって気に入ってくれたことが、でーじ嬉しいさー」
 真耶がこよりの着ぐるみレッスンを引き受けたはいいが、何の報酬も無しではチア部側としても決まりが悪い。だから真耶に何が欲しいかを尋ねた。何もいらないという答えは絶対禁止という千夜子の圧力があったので、真耶は正直に欲しいものを答えようと思った。
「でしたら、すっごく、あつかましいお願いなんですが…ダメならダメで全然構いません、何せ神聖なものですから…」
そして自分が欲しいものを恐る恐る告げる真耶。しかしキャプテンは、
「なんくるないなんくるない、つーかそれだけでいいの? それは最初っから嬬恋サーにあげるつもりだったんだよ? 嬬恋サーもうちの部員と同じだからー」
そのお言葉に舞い上がるような嬉しさを感じた真耶。だから、そう言ってくれるだけで十分ですと応じるのだが、キャプテンも引かず、部の名誉にかけてもお礼はしなければ、と言う。そう言われては真耶も何か欲しいものを他に言わないとかえって失礼。そこで、
「じゃあ、おなじのもう一セット下さい。サイズは…」 

 というわけで、真耶の元には妹の花耶の分も含めてチアリーディング部のユニフォーム等一式が届けられた。念願のユニフォームとウインドブレーカーに部の公認で袖を通せる喜び。しかも愛しい妹花耶ちゃんとのお揃い。最近は二人してこの格好でおうちタイムを満喫している。でもおうちにこもってばかりでもいけないので、せっかくのスポーツスタイルなんだからと、花耶に連れ出されて公園で運動してみたり。真耶は相変わらずドジでのろまだけど、なんだか楽しそうに身体を動かしている。

 しばらくは、お互い会うことも簡単ではないけれど、今を乗り切ればなんとかなる。そんな確信をみんなそれぞれが持ち、それに励まされていた。

宗教観の相違? その5

また月日が経っての新作です。しかも今回は執筆中にコロナショックが起きてしまい、真耶たちを活躍させる機会が無くなってしまった、と言うのは言い訳ですね、はい。遅筆は相変わらずです。
それでも、真耶が大学の中で「女子」として交友関係を広げていく様子は記しておきたかったのです。気がつけば真耶も三年生。彼女たちにはリアルタイムで歳を重ねさせているのでこちらも急がねばなりません。社会人となるとまた新たなフェーズで書かねばならなくなりますから。
一方、別の書きたい事というのも溜まってますし、ネタはあるんですが、時間が無い…。それも自分の時間の使い方が下手なせいなんですけど。

宗教観の相違? その5

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-24

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