僕らの無法奇譚


僕らの無法奇譚(むほうきたん)



両手でかき集めた砂は
なんとなく自分の物な気がして
落ちていた大きな枝は
自分だけの剣にした

そうやって武装(ぶそう)した
幼い僕たちは
誰かの真似事で息をしていた

やがて大きくなり
自分を探し始めた僕らは
砂に汚れることも
枝を拾うこともしなくなって


時間旅行 頭の中にある未来図は
いつも自分だけが王様の世界
ねぇ、聞こえる?
君の声がそう問いかける
僕らは走り出して一等賞を狙った
あの夜空は
深く、深く君が渡してくれた自由



暗い森の中にひとつだけ存在する
水辺にはいつも君がいる

僕らのイメージなんて浅はかで
人一人取って違う
(そろ)わない足並みだと知る

不安を取り除くたびに
新しい問題を抱える
苦しくって 両手を明け渡したくなる



僕らの無法奇譚 空想で描く未来図は
大きな筆で塗り潰した世界
うん、聞こえる
それは誰かが呟いた魔法
不器用に想い続ける事だけが
不確かで
捧ぐ、捧ぐ君が生み出した自由



約束なんかは守らなくてもいい
君が君のまま
私の空を思い出してくれれば

それだけでいいから


僕らの無法奇譚
それは遠い底に仕舞った記憶
何をしたっていい
それが君ならそれでいい
何処へ行くのも 誰と生きるのも自由だ
ここは君だけの世界
遠く、遠い 深く、深い
私があげた 君だけの夜空


隠れている不安を 白色で塗り潰した
君が思い出せない
不確かで不透明な夜空

僕らの無法奇譚

僕らの無法奇譚

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-24

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